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冥府の先まで 〜記憶喪失なんだけど、闇も執着も底が見えない男に捕まった〜  作者: アマヤドリ


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3-12

ここまでお付き合いありがとうございます!


物語の折り返しに入りました。


------------



「革命があったあの日、待ち合わせに来なかったお前を置いて、ただあの国を去った。」

「てっきり、バルサールの奴が好きで...心中を選んだのかと。」


シルドもレリアもいる中、もう完全に2人きりの世界だった。話しを聞く限り、随分昔にあったフィリア王国建国の際の革命が、どうやら関係しているというのは分かった。



「あいつと一緒にいるなんて手紙...紛い物だったのか。」

男は酷く後悔した様な声を出した。



「お前はもう既に、あの女神の手中にいたんだな。」

「守護神なら、神格まではとられないと踏んで...賭けたのか。」


「なんでそんな危ない橋を…。」

男性の霊が手と思しきものを、神格にのせる仕草をした。


「貴方にもう一度、会いたかったの。」

会えて嬉しいと、女神は綻ぶ様な嬉しげな音色で喜ぶ。


「俺も会いたかった。」

「愛してる。ムマラ。図書院の一書官だった時から、ずっと。」


「私もよ、ラト。」



1人と1神は、互いの長い別離を埋めるかの様に、言葉で満たし合っていた。



やがて、ゆらりと男の陰が揺れ、どんどん薄くなりはじめた。彼もまた、1000年の月日を待ち続けて、魂がすり減っていたのだろう。



「あの日、言えなかった事が、ようやく言えた。」

「本当に嬉しいよ。待った甲斐があった...。」


「本当に、長かった...。」


涙を流しているかのように、声を震わせながら、神格を手で愛おしげに撫でた。



「...先に向こうで待ってる。」


そう言葉を残し、未練の無くなった男は、光の粒となり、空気に淡く溶けていった。



宿り主のいなくなった冷たい石板を持ちながら、レリアは、その様子をシルドと共に見送る。

そして、永遠の女神は、レリアへと声をかけた。



「レリア。本当にごめんなさい。」

「貴方の心が少しでも、穏やかになれたのなら...助けになりましたか?」

「ええ、ありがとう。」


隣のシルドさんも助けてくれたからと、レリアは言う。




「...シルドさん。...成る程ね。」

「?」


ふうんと言いたげな声で、女神が呟いた。



その後、2人へ最後にと、懺悔の言葉を綴る。




「私の愛の執着が、美の女神に付け入られて、権能を渡す羽目になった。そして、その力は…革命が終わってからも、様々な人々を不幸にさせた。」


「美しさは永遠となり、美しさを求める者に取り付き、永遠の呪いとなった。」



「もうこれ以上、美の女神に使われたく無い。...私を、あの人の所へ、天神の元へ、還らせて。」


「...はい。」

レリアは、胸が張り裂けそうな心を、仕舞い込んで答えた。


「それから、お礼に教えてあげる。」

「貴方、記憶が今抜けてるでしょう。」


何故それを...と言う顔のレリアに、女神がくすくすと笑う。


「分かるわよ、そのぐらい。私は、永遠(記録)の女神なんだから。」


「そうね...西の国、パトゥリーダに行ってみるといいわ。」

「貴方の欲しい手掛かりが、眠っている筈だから。」


「あ、ありがとうございます!」

レリアは笑顔で女神に感謝を伝えた。



そして、シルドへ女神がレリアには分からない言葉で語りかける。


-----「…記憶がなくても、優しい所は変わらないのね。今夜の事も、彼女、それなりに無茶したんでしょ。そんなんだから、貴方みたいな男に捕まっちゃったのかしら。」

-----「...礼として受け取っておきましょう。」


-----「彼女を 幸せにしてあげてね。」





------「やめろ!」

一瞬だが、あの女神の鋭い声がした。



「時間ね...さようなら。」

その言葉を最後に、緑の神格に白い色が混じりはじめ、声が小さくなっていった。



「レリア。」

本当にいいんですかと、シルドの目が語っていた。


「一緒に見届けます。」

悲しみの感情を飲み干して、レリアは吹っ切れたかの様に決意の籠った瞳で、彼を見た。



「彼女の心残りを、心を助けてあげられましたから。」

だから、笑顔で彼女の事を、送り出してあげたいですと、シルドに伝えた。



「..天神の元へ還る彼女が、また彼と再会を果たせるといいですね。」

「天神は慈悲深い神と言われていますから、きっと会えると思います。」





シルドは、暗い、神を滅する炎を手に宿して、神格の上に翳した。




------「や、やめて!あ、あああああ!」


---「いや....シ...グ......ドさ...ま」


哀れな女の最後の声が、響き渡る。





教会の天井高く、神格だったものの欠片が、星屑の様に舞った。




----ありがとう、2度も私を助けてくれて。


女神の言葉は拾われる事はなく、静かな鈴の音のように教会に反響した。



やがて、天にのぼった彼の後を追いかけていき、夜の彼方へと消えていく。






1000年にも及ぶ、長い苦しみの末に、永遠の女神は愛した人と共に、永久の眠りについた。

次はいよいよ月花祭の話になりますね。


2人のイチャイチャも入れますが、革命の歴史についても分かります。

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