3-11
読みにきてくれた方、ありがとうございます。
3章もいよいよ終わりが見えてきました。
(声を聞かせて 女神様)
レリアはどっぷりと、底なしの沼に沈んでいくように、意識をなんとか保ちながら、彼女...永遠の女神の「声」を探す。
(慌てちゃダメ...集中しないと。)
更に奥へ奥へと、潜り込んでいく。
そして、直ぐに全身に絡みつくような「声」が聞こえた。
ーーー「わたしを 助けにきてくれたの? 」
美しい嫋やかな手が、手招きする。
その感覚を、レリアは嫌と言う程よく知っていた。
ーーー「 ねえ 助けてちょうだい 」
「 違う 貴方じゃない! 」
その助けての「声」に、レリアは真っ向から拒んだ。
-----「 !! 」
無理やり自分の意識の中に入ってこようとする「誘惑」を振り払い、レリアはもっと奥にある、小さな囁き声を捉えた。
「...いた!ようやく 会えましたね!」
「永遠の女神ムネマ・グラフィ様!」
「!」
驚いた様な気配があり、レリアは「彼女」を離さない様、優しく両手で掬い上げて捕まえた。
「...シルドさん!」
「はい、行きますよ!」
ずっとレリアの意識に寄り添っていたシルドが、力強く永遠の女神と一緒に、意識を引っ張り上げていった。
------ー------
「...はっ、うわ!」
「レリア、大丈夫ですか?」
レリアは意識が沈んでいる間、力が抜けていたのか、シルドに背中から支えられていた。
「すみません、シルドさん!」
そう言うと、レリアは慌てて姿勢を立て直した。
「...レリア、彼女が話したがっています。」
シルドが玉の箱を、目の前に差し出した。
「暫くの間は、美の女神の意識を押さえ込んでいられますが、融合しかかっている以上、私もあまり長くは持ち堪えられません。」
「分かりました。ありがとうございます、シルドさん。」
レリアは少し、緊張した面持ちで、緑に光る玉に向かって、話し始めた。
「はじめまして、永遠の女神様。レリアといいます。」
「貴方の声を聞いて、助けに来たんですが...。」
言い淀む素振りを見せるも、レリアはちゃんと伝えなければと、女神に向き合った。
「貴方の神格は、もう...。」
最後まで言おうとするも、永遠の女神がそっと話に入ってきた。
「...いいの、随分前から、そんな気はしてたの。美の女神を倒しにきたんでしょう。私の神格ごと破壊しなければ、彼女の残した呪いは断ち切れない。」
諦めた様な口振りで、レリアに伝えた。
「貴方の命を、助けてあげられなくて、ごめんなさい。でも...。」
レリアは、女神自身、既に命を諦めているのに、何故自分へ助けてと言ってきた理由が気になった。
「貴方の命が、天神に還る前に、もし私に助けて欲しい事があったら、お手伝いしたいんです。」
「...本当に、本当に助けてくれるの?」
レリアの言葉に、暫く沈黙したが、女神は震える様な声で縋りついた。
「どんな事かにもよるんですが...。」
「なら、ラトリアという人間の男性が、フィリア王国の革命の時、どうなったか知りたいの。」
教えてほしいと、女神がレリアに言う。
「革命の時と言うなら1000年以上も前...。」
もうとっくに亡くなっているだろうし、今から調べるとなると、難しいかもしれないと、レリアは隣に立つシルドを見た。
すると、シルドは何か考えこむ様な素振りをした後、口を開いた。
「ラトリア...もしや、ラトリア・アナモニですか?」
「そ、そうです!何故、ご存知なのですか?」
驚いた様な女神の声がする。
レリアも、1000年以上前の人を、何故知っているのだと、シルドを見ていた。
「ラトリア・アナモニの手紙...。博物館に展示されている、石板の手紙を掘った本人、そして...。」
「大分存在が薄れかかっているんですが、その手紙に、1000年、地縛霊として残る、手紙の霊がいるんです。」
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シルドが少々お待ち下さいと言い、目を瞑る。
「...何してるんですか?」
「...石板を使い魔に取りに行かせました。」
「使い魔??」
(シルドさんって、色々な祝福を持っているんだなぁ)
使い魔と聞き、何かの生き物なのかと、レリアは興味が湧いていた。
「説明はまた今度...地縛霊なので、石板ごと持ってこないといけないですし、今ここを離れられないので。」
「...え、それって大丈夫ですか?」
無断で博物館から持ち出すって事ですよね、とレリアは尋ねた。
「...大丈夫ではないですね。」
「大丈夫ではない?!」
焦る彼女を尻目に、使い魔と思しき、黒い蛇の様な生き物が、レリアの手に石板を渡してきた。
「ほら、もう持ってきましたよ。」
「早っ!」
図らずも窃盗の共犯者となってしまったが、今は仕方ないと割り切る事にした。
「...この手紙?石板にはなんて?」
「...恋文です。」
シルドはレリアの持つ石板を見ながら、古代、使われていた神語を読んだ。
---「待ち合わせの あの場所で 再び会える日を」
「...そうですよね、アナモニさん。」
「...誰だ?」
シルドが言葉を言い終えた時...
本当に、霞の様だったが、確かに幽霊が出てきた。
「ねえ、ラト、貴方なの?」
「その声...まさかムマラか?」
泣きそうな、だが、とても嬉しそうな声で、女神はラトと呼ばれた男性と話し始めた。
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長くなったので、次に分けました。




