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冥府の先まで 〜記憶喪失なんだけど、闇も執着も底が見えない男に捕まった〜  作者: アマヤドリ


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43/54

3-11

読みにきてくれた方、ありがとうございます。

3章もいよいよ終わりが見えてきました。



(声を聞かせて 女神様)


レリアはどっぷりと、底なしの沼に沈んでいくように、意識をなんとか保ちながら、彼女...永遠の女神の「声」を探す。



(慌てちゃダメ...集中しないと。)

更に奥へ奥へと、潜り込んでいく。


そして、直ぐに全身に絡みつくような「声」が聞こえた。



ーーー「わたしを 助けにきてくれたの? 」


美しいたおやかな手が、手招きする。

その感覚を、レリアは嫌と言う程よく知っていた。



ーーー「 ねえ 助けてちょうだい 」





「 違う 貴方じゃない! 」


その助けての「声」に、レリアは真っ向から拒んだ。



-----「 !! 」



無理やり自分の意識の中に入ってこようとする「誘惑」を振り払い、レリアはもっと奥にある、小さな囁き声を捉えた。



「...いた!ようやく 会えましたね!」



「永遠の女神ムネマ・グラフィ様!」


「!」

驚いた様な気配があり、レリアは「彼女」を離さない様、優しく両手で掬い上げて捕まえた。



「...シルドさん!」

「はい、行きますよ!」


ずっとレリアの意識に寄り添っていたシルドが、力強く永遠の女神と一緒に、意識を引っ張り上げていった。




------ー------



「...はっ、うわ!」

「レリア、大丈夫ですか?」

レリアは意識が沈んでいる間、力が抜けていたのか、シルドに背中から支えられていた。



「すみません、シルドさん!」

そう言うと、レリアは慌てて姿勢を立て直した。


「...レリア、彼女が話したがっています。」

シルドが玉の箱を、目の前に差し出した。


「暫くの間は、美の女神の意識を押さえ込んでいられますが、融合しかかっている以上、私もあまり長くは持ち堪えられません。」

「分かりました。ありがとうございます、シルドさん。」



レリアは少し、緊張した面持ちで、緑に光る玉に向かって、話し始めた。


「はじめまして、永遠の女神様。レリアといいます。」

「貴方の声を聞いて、助けに来たんですが...。」

言い淀む素振りを見せるも、レリアはちゃんと伝えなければと、女神に向き合った。


「貴方の神格は、もう...。」


最後まで言おうとするも、永遠の女神がそっと話に入ってきた。

「...いいの、随分前から、そんな気はしてたの。美の女神を倒しにきたんでしょう。私の神格ごと破壊しなければ、彼女の残した呪いは断ち切れない。」



諦めた様な口振りで、レリアに伝えた。

「貴方の命を、助けてあげられなくて、ごめんなさい。でも...。」


レリアは、女神自身、既に命を諦めているのに、何故自分へ助けてと言ってきた理由が気になった。


「貴方の命が、天神に還る前に、もし私に助けて欲しい事があったら、お手伝いしたいんです。」





「...本当に、本当に助けてくれるの?」


レリアの言葉に、暫く沈黙したが、女神は震える様な声で縋りついた。


「どんな事かにもよるんですが...。」

「なら、ラトリアという人間の男性が、フィリア王国の革命の時、どうなったか知りたいの。」


教えてほしいと、女神がレリアに言う。

「革命の時と言うなら1000年以上も前...。」

もうとっくに亡くなっているだろうし、今から調べるとなると、難しいかもしれないと、レリアは隣に立つシルドを見た。


すると、シルドは何か考えこむ様な素振りをした後、口を開いた。



「ラトリア...もしや、ラトリア・アナモニですか?」


「そ、そうです!何故、ご存知なのですか?」

驚いた様な女神の声がする。

レリアも、1000年以上前の人を、何故知っているのだと、シルドを見ていた。



「ラトリア・アナモニの手紙...。博物館に展示されている、石板の手紙を掘った本人、そして...。」



「大分存在が薄れかかっているんですが、その手紙に、1000年、地縛霊として残る、手紙の霊がいるんです。」




------------



シルドが少々お待ち下さいと言い、目を瞑る。

「...何してるんですか?」

「...石板を使い魔に取りに行かせました。」

「使い魔??」

(シルドさんって、色々な祝福を持っているんだなぁ)

使い魔と聞き、何かの生き物なのかと、レリアは興味が湧いていた。


「説明はまた今度...地縛霊なので、石板ごと持ってこないといけないですし、今ここを離れられないので。」

「...え、それって大丈夫ですか?」

無断で博物館から持ち出すって事ですよね、とレリアは尋ねた。




「...大丈夫ではないですね。」

「大丈夫ではない?!」



焦る彼女を尻目に、使い魔と思しき、黒い蛇の様な生き物が、レリアの手に石板を渡してきた。

「ほら、もう持ってきましたよ。」

「早っ!」



図らずも窃盗の共犯者となってしまったが、今は仕方ないと割り切る事にした。


「...この手紙?石板にはなんて?」

「...恋文です。」


シルドはレリアの持つ石板を見ながら、古代、使われていた神語を読んだ。


---「待ち合わせの あの場所で 再び会える日を」


「...そうですよね、アナモニさん。」



「...誰だ?」



シルドが言葉を言い終えた時...

本当に、霞の様だったが、確かに幽霊が出てきた。



「ねえ、ラト、貴方なの?」


「その声...まさかムマラか?」


泣きそうな、だが、とても嬉しそうな声で、女神はラトと呼ばれた男性と話し始めた。



------------


長くなったので、次に分けました。

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