表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冥府の先まで 〜記憶喪失なんだけど、闇も執着も底が見えない男に捕まった〜  作者: アマヤドリ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/42

3-⑨

永遠の女神の手がかりが、手に入ります。

3章も残り僅かになりました。


ーーーーーーーーーー


通りを暫く歩き進んでいくと、大きな黒い扉のある建物の前に就いた。


「ここです。」

「随分と大きな建物ですね...。」

レリアは屋根についた、カラスと思しき風見鶏を見上げながら言う。建物の外壁をよくみると、レリーフがあちこちにあり、蝋燭と炎が彫られていた。


「ここは、冥炎の神の祝福を持つ者だけが就ける、通称「黒の使徒」の支部です。」

「黒の使徒…?」

馴染みのない言葉に、レリアは首を傾げた。


「私の仕事仲間が集まる所...でしょうか。一応、使徒に関する多くの職が、国家公務員の仕事です。昨日の「声」を聴いていないか、確認をした情報源でもあります。」

「…という事は墓守り仲間ですか?」

(墓守りって、有志じゃなくて、ちゃんとした職業だったんだ…。)

レリアは内心、違う所に関心していた。


「そうとっていただいて、かまいません。」

言い終えると、扉の中へと入って受付へと進む。

中へ入ると、茶色や黒の色味の壁や床で、全体的に暗い感じだったが、この支部も祭りに参加しているのか、青や白のドライフラワーのリースが、いくつか飾らせていた。



「ご用件は何でしょう。」

黒い服を着た女性が、此方を見ながら訪ねてきた。


「…黒主こくしゅが来たと、お伝えください。」


「…?!!!」


シルドの言葉に、物凄い勢いで驚いていた。

椅子から飛び上がり、そのまま固まる受付嬢を見て、レリアも何事かと驚く。


「いいですか?」

「はははは、はいーーー!!」

シルドがもう一度訪ねると、金縛りが解けたのか、慌てて奥の部屋へと駆け込んでいった。



「お、お待たせしました、主様!!」

何人かの使徒と、支部の長と思しき人が、一列になって礼をしてきた。


「あ、主…??」

彼らの緊張感漂う様子を見て、その後シルドを見る。

シルドは、特に動じてはいなかったため、慣れているのかなとレリアは思った。

(もしかしてこの「黒の使徒」の中で、位が高い人なのかな、シルドさんって。)


ーー他から見たら、とてものんきな事を考えていた。



「いえ、今回、本当は寄る予定ではなかったのですが、緊急の案件がありまして。」

「貴方方に、協力をお願いしたいのです。」

シルドの言葉を聞き、支部長だけが顔を上げ、彼に近づいた。


「そういう事でしたら、是非!こちらへどうぞ。」

広そうな奥の部屋へと、シルドは促された。


「レリア、貴方は祝福を持つとはいえ、ここから先は入れないので、しばらくお待ちください。」

「分かりました。」

素直にレリアは同意し、カチコチに固まる受付嬢と共に、この場所で残る事になった。


「それから…。」

ばさりと音がし、一瞬レリアの視界が暗くなった。


「え、なんでこれを?」

シルドの外套を掛けられ、頭も被せられる。

「別に今は寒くないのですが…?」

何故という疑問ばかりが、レリアの頭を占めた。



「いいから、被って下さいね。いい子で待っているのですよ…では。」

自分の肩にふんわりと黒火を置くと、素早く使徒と一緒に奥の部屋へ移動してしまった。


「あの、ちょっ!」

ばたんと、扉を閉められる。




「理由ぐらい、言ってくださいよ…。」

ふよふよ顔の横で飛んでいる、護衛の炎が、慰めるかのように頬を撫でていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーー賑やかに聞こえてくる祭りの賑やかさとは裏腹に、室内では暗い雰囲気が漂っていた。


「本当なのですか?美の女神の祝福が、残っていると?この国にですか?」

「しかも、貴方様のお連れに危害を…?」


1人の男性とシルドが話していた。


「生きているとは、言い難いですがね。まさか、1000年経ってその事実が出てくるとは、私も思っていませんでしたから。」



次々と昨晩放った、シルドの使い魔である黒い鳥が、冥炎の神の使徒の支部へ集まりはじめる。


部屋に沢山のありとあらゆる物を持ち込んでは、床に置き始めた。


ネックレス

古銭

宝石の塊

絵画


貴重な物が多く積まれていく。


「まだあの女を覚えている記憶が、こんなにあったとは。しかも、どれも値打ちがありそうなものばかり。」

シルドはそう言うと、ある程度山になったモノ向けて、黒い火球を放つ。

やがて頂上から流れる様に、黒い炎が燃え広がっていった。



ーーー「…さま。」

背筋を撫でるような、おぞましい「声」に、ぎろりと赤色の瞳が苛立ち気に睨む。


「いい加減、消えてほしいと思っていた所でしたから。宣言通り…」



ごうと、黒い炎が一層勢いを増す。



「お前の記憶も、思いも、全て灰にしてやりますから。」



燃え残しがない様、憎々し気に、黒い炎の塊を見つめている。


「宜しければ、主様、我々も手伝いましょう。」

見ていた上級の使徒達も、前へと出る。


「いえ、この女は燃え残しがあってはなりませんから。」

「場所を提供して頂き、感謝しています。」


シルドは使徒らを制し、見守るように促す。


「しかし...あの存在は、厄介極まりないですね。」

「狡猾さは、やはりお前の専売特許でしたか。」

燃え盛る山を見ながら、骨が折れますねと言う。


「これらを、あの女の痕跡を消した後、全て持ち主に、丁寧に返して下さい。」

「かしこまりました。」

支部の長が礼をし、部下へと指示を出す。


ふと、シルドは炎の中にある、一際大きい白と金で出来た陶磁器が目に入った。

「確か…あの白い壺は、博物館の物ですから、もしかしたら騒ぎになっているかもしれません。先に説明をお願いしてきても?」


「分かりました。手配いたします。」



「貴方たちも、手伝いなさい。」

まだ自身の影に戻らず、棚の上に止まる鳥に声を掛けた。

了解したと言わない代わりに、首を縦に振ると主人の影の中に、するりと音もなく戻っていった。


「記憶も記録の一種ですから、永遠の女神ムネマ・グラフィの権能と相性が良く、記憶から自身の権能を自由に取り出して、見つかりそうになれば隠れてを繰り返していたのでしょう。」


「誘惑を使える依り代となる記憶が、これで随分と減りました。あの女の力を、大分削げたでしょう。」




「…ですが、大元を断つには、やはりその永遠ごと、葬り去らなくては。」




ーーーー永遠の女神様は、助けてあげられるんでしょうか。



段々と小さくなる黒い火を見ながら、シルドは彼女とのやりとりを思い出す。

そして、ふと、レリアが言ったあの言葉が、頭の中に居座った。



「…。」

険しい顔をし、暫く沈黙を続ける主に、支部長が心配そうに見た。


「憂えずとも、今夜中に解決できますから。」

「では、朗報を、信徒一同、お待ちしております。」

シルドの言葉に安堵したのか、そう言うと深々と礼をした。



黒い火が徐々に消え、何の声も聞こえなくなった品の1つを手に取る。



「…おや、懐かしい。」

銀の細工と蒼い宝石が施された、アンクレットを摘み、シルドは眼前で眺めていた。

「持ち主は…この方でしたか。」

記憶を読み、持ち主へと返さねばと、名残惜し気に元の山へと戻す。


すると、窓の壁から、太い蛇の様な黒いモノが入ってきた。

シルドの元へと近づき、やがて腕へと巻きつく。

黒々しい口が開き、見ている使徒たちには聞こえない言葉で、何かを囁く。



「…早かったですね。見つけましたか。」

「そうですか、もう…。」

目を伏せ、シルドは、もうある女神が手遅れだったことを知る。


「…はぁ。」


溜息をつくと、彼女の待つ扉の先を見た。


「…貴方は、永遠も燃やせば、悲しむでしょうね。」

あの時の様にと呟いた。

そして、少し悩む素振りを見せ、仕方ないと頭を振る。



「彼女が嫌だと縋りつくなら、やはり…縛っておかなくては、いけなくなりますかね。」


自身の腰にある鎖をそっと撫でた。

まるで、レリアに使ったことがあるかのような手振りだった。




「例え、貴方を悲しませることになろうと…。」


「貴方の命には かえられませんから。」



完全に沈黙したモノを背に、シルドは再び彼女の元へと戻っていった。

燃やせ 燃やせみたいな歌、ありましたよね。

書いてる時、ずっと頭から離れなくなって、困りました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ