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紹介3作品目 「砂場遊びの夜」

この作品はフィクションです。


 作品名: 砂場遊びの夜

 作者名: 花桃けやき さま


 【あらすじ】


 とある小学校では、夜の砂場に出没するというお化けの噂があった。

 クラスで仲間外れの小学四年生、沼田翼はひょんな偶然から噂のお化けと遭遇してしまうのだが……。


 これはちょっとだけ怖くて、ちょっとだけ切ない、小さな夜の冒険譚。



◆◆◆


 子供のころ、大事にしてたおもちゃを砂場でなくして大泣きしたことがあります。

 砂まみれになりながら探したんだけど、結局見つからなかったなあ。


 それはおいといて今回紹介するのは、これまでの紹介作とはだいぶ毛色の違うほのぼの感が漂うジュブナイルホラー短編。


 家族やクラスメイトと上手く折り合いがつかない少女が、悲惨な死を遂げたお化けと出会って、交流を深めながら互いの抱える問題を解決するために奔走するというお話です。


 ……まああらすじから分かる通り、ぶっちゃけ怖くはないですね。

 とくに序盤から中盤はホラー描写よりもハートフルなエモさが勝る感じで、カテゴリーエラーではないかとすら感じました。

 なろうの文芸ジャンルで言えば、ヒューマンドラマに近そうです。


 ただ、詳細は伏せますが本作はかなりバッドエンド気味に着地するため、読後感は結構辛いものがありました。

 作品タグにも「胸糞注意」とありますので、苦手な方は要注意かと。



【本作の良いところ】


 主人公の翼ちゃんと噂のお化けの交流が、とても微笑ましくて素敵でした。

 およそホラーの長所ではない気もしますが、これに尽きます。


 序盤は学校で孤立気味な描写のため、お化けとの友情を少しずつはぐくむ過程はかなりグッときました。

 夜の砂場の情景が詩のように描写される箇所があり、そこがなんだか幻想的で私はすごく気に入っています。


 ただそのうえで訪れる後半からラストの救いのなさは、残虐描写があるわけでもないのに絶望感と虚無感がはんぱなかったです。

 現代社会の闇……。


 私はとにかくキャラへの感情移入をしすぎてしまい、この子たちが可哀そうすぎて今でもまだ胸のつかえが取れないような感覚がぬぐえません。

 子供が酷い目に遭う作品は、ほんと心が辛くなっちゃうなあ。


 この絶望感をみなさんにも是非体験してほしいと思い、今日は筆をとりました。

 短編なので文量も少なく、サクサク読めますよ。



【本作の気になった点】


 すでに書いた通り、ホラー小説としては恐怖感が薄いと感じました。


 ラストはたしかに辛いしぞくぞくしたのですが、それ以上に序中盤がほのぼのしすぎです。

 絵本まではいかなくとも、低学年向けの児童書のノリでしたし。


 そう言う意味では終盤の胸糞展開になんだか唐突感があり、悪く言えば取ってつけた印象です。

 ギャップとかどんでん返しとかの効果を狙ったのかもしれませんが、個人的には「最後まで気持ちよく人情系ホラーとして締めてほしい」と思っちゃいます。


 まあだからこそ私の心に刺さる作品になったのかもしれませんが。



【総括】


 こんなオチってないよ、酷すぎる。

 だけどこの結末からしか得られない読後感が、確かにある。


 そんな矛盾するような感想で、私の心はもうぐちゃぐちゃですよ。

 皆さんも是非読んで、私の気持ちを味わってほしいですね。


 それでは、今日はこの辺で!


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