第4章
ぼくは、在籍していた、農業科の1年生のとき・・・
まったく女子に相手にされなかった。
100キロを超える巨体になっていた、汗かきのぼくに告白してくる女子など、誰一人いなかった。
この学校はおろか・・・
ぼくを気に留め、「男」として注目し、きちんと見てくれる女の子など、プライベートの街中でも本屋でもスーパーでも図書館でも、もちろん、誰一人いなかったのである。
(さぁ、いまのしげちゃんは、果たして、どうなのかなぁ・・・? うふふ❤️)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ぼくは、1年間みなで課せられていた寮生活のとき、特に、食事のために向かうときの、「寮の食堂」への道中が苦痛で苦痛でたまらなかった。
太りきった体を左右に大きくゆすって、大汗をかきながら歩く、そんなユーモラスなぼくを見て、複数の女子が馬鹿にして笑っていたからだった。
この食堂だが・・・
寮の中には存在せず、実際には、500m以上はなれた位置にあった、校舎の建屋のいくつかのうちのひとつの中にある、学生と教師陣のための食事場だった。
この食堂には、調理師のおばちゃん3人と、栄養士の若くてかわいい・・・ちょっと美絵子ちゃんに似たお姉さんがいて、ぼくは彼女たちに頼んで、毎日・毎回、ご飯のおかわりを何杯もしていた。
「しょうゆかけご飯」が大好物だったぼくは、豚のごとく、ガツガツとたいらげ、すっかりおばちゃんたちの「お気に入り」となっていた。
それを見て笑う、生活科の女子連中から、冷たい視線を送られながら・・・。