第14章:美絵子ちゃんを懐かしんでいた頃が、もう懐かしい
・・・ぼくは、美絵子ちゃんの「近影」を見て、いかに彼女が、この令和時代まで、苦労されてきたのかが、手に取るようにわかった。
・・・どんなに我慢して、歯を食いしばって生きてこられたのかがね。
この「減量期」だった、1990年前半・・・
19歳の頃のぼくは・・・
美絵子ちゃんが、「お嬢様女子高生」として、ぼくみたいな、みすぼらしい「農業大学校生」とは、まるでレベルの違う・・・次元そのものが違う、高校生活を送っているものとばかり、思い込んでいたのだが、実際には、どうもそうではなかったようだ。
きっと美人の美絵子ちゃんは、ボーイフレンドに囲まれて、チヤホヤされて育っていた・・・
そんな、軽い女生徒ではなかったのが、いまとなっては、はっきりと分かる。
家庭の事情、生活上の、経済的な事情・・・
いろいろとあったかもしれないが、間違いなく、いま言えることは、あの「魔物事件」が、ぼくが想像していたよりも、はるかに長く・・・そして、深く彼女の心を締め付け、最近まで苦しめていた・・・
その「重い事実」に、ようやくぼくは、気づいたのだった。
セレブ婚、おしゃれで華やいだ結婚生活・・・
そういったイメージとは、まるでかけはなれた、実像の美絵子ちゃん。
ぼくが、ずっと一方的に、好き勝手に抱き続けてきたイメージの美絵子ちゃんとは、まさに「180度」違っていたのだ。
だからこそ、ぼくは言いたい。
「やはり、ぼくが認めた女性だったよ、美絵子ちゃんは。立派だ・・・。ぼくは、ずっと彼女だけを好きでいて、本当によかった。ぼくの目に、狂いはなかったんだ。」
・・・とね。
だから、1990年が懐かしい。
前述のような、実際とは違う「幻影の美絵子ちゃん」を、夢中で追いかけていたころのぼくが・・・
いまではもう、「なつかしい」のだ。
m(_ _)m




