第十七話 平和に遊ぶ
昨日はワクチン接種でダウン(T_T)
今日はどうにか復活です。
それでは、どうぞ!
ダンお祖父様はとても豪快で、マノンお祖母様はとても優しい。ただし、ダンお祖父様は不器用で、マノンお祖母様は格好いいという面までしっかりと認識するまで、そう多くの日数はかからなかった。
そう、あれから、私は一週間ほど、ダンお祖父様とマノンお祖母様の家で暮らしていた。
「ぬぉぉおっ、や、やはり、ワシには無理だっ! こんな、こんなっ、小さな生き物、ワシでは押し潰してしまうっ!!」
「あら? そんなことを言うとリコちゃんが悲しむわよ?」
「ぐむぅっ!?」
動きやすい服に着替えて、いそいそとやってきた場所で、ダンお祖父様は私を見て、いつも通り狼狽えている。ただし、今回ばかりは、ダンお祖父様にはしっかりとしてもらいたいところなのだ。何せ……。
「おそとっ」
大人の事情なのか何なのか、しばらくは外に出られないと言われていた私は、今日、一週間ぶりに外に出ていた。
ダンお祖父様が所有する山。そこを完全に立ち入り禁止にして、私達は訪れていた。それも、ダンお祖父様とマノンお祖母様が一緒でのことだ。
「お嬢様は外が大好きですからね」
お母様は用事があるらしく今回は不参加だが、代わりにジーナが付いてくれている。
「ジーナっ、あそぶ、の、いい?」
「はい、きっと、ダン様が良い遊び相手になってくださいますよ? 何せ、ダン様は元騎士団長ですからね」
「きしだんちょー?」
「騎士達を取り纏めるリーダーのことです。とってもお強いと有名ですよ」
「ダンおじーさまっ、つよいっ!」
まさか、ダンお祖父様がそんな立場の人だとは思ってもみなかった。引退して何年かは経っているとのことではあるが、それでもその実力は国一番のものであり、今でも部下だった人達に慕われているのだと、ジーナは話してくれる。
「おじーさまっ、いっしょ、はしるっ! きょーそーっ!」
それならば、きっとダンお祖父様は走る速度も速いのだろう。そう思って、私はダンお祖父様へと競争をしようと提案する。
「っ……相手がリコであろうと、ワシは負けんぞ?」
「んっ!」
そこは全く問題はない。むしろ、ダンお祖父様が勝てば、私は異質なものじゃないと、化け物ではないと、そう証明されたようなものなのだから。
やる気になってくれたダンお祖父様にうなずけば、早速競争に良さそうなコース探しとなる。
「よしっ、では、ここをこう回るコースで」
「では、私が魔法でコースを分かりやすくしますから、楽しく遊んでらっしゃいな」
「おぉっ! やはり、ワシのマノンは頼もしいな!」
『魔法』という言葉に、一瞬疑問符が浮かんだものの、ダンお祖父様から準備運動に誘われれば、そんなことは頭の中から完全に消え失せる。
私は、喜んで、ダンお祖父様の元へと駆け出していた。




