第十四話 お祖父様とお祖母様
ちょっと遅れましたが、更新!
それでは、どうぞ!
ダン・バルトリアとマノン・バルトリア。この二人が、私のお祖父様とお祖母様の名前だった。そして……。
「う、うぉぉおっ! マノンっ、こんなに小さいのか!? 孫というのはっ! こ、これでは、どう触れて良いやら分からんっ」
「全く、あなたは……。ロンドの時と似たようなことを話している自覚は?」
「ロンドはロンドだっ! それに、ロンドは男だっ! こ、こんな……触ったら壊れるかもしれないじゃないかっ!!」
「では、一生触れなくてよろしくてよ? 私は、リコちゃんと毎日触れ合いますので」
「っ、マノン!? それはズルいだろう!?」
お父様よりも巨漢で、お父様と同じ豹柄の耳と尻尾を持つお祖父様。黒い髪に、モサッとしたおヒゲが特徴のその人は、お母様に娘だと紹介された直後からこの状態だ。
「それよりも、いつまで玄関に立たせておくつもりですか? ダン、そろそろそこから退きなさい」
「マ、マノンーっ!」
綺麗な白髪に、優しそうな青い瞳を持つ人間の女性。とはいえ、その顔には年相応のシワが刻まれた彼女は、私のお祖母様。
お母様からは、お祖母様はお祖父様にだけ厳しいのだと話を聞いていたものの、こうしてみると、なるほどと納得できる。
「ルミアも久しぶりね。来て早々に、ダンが馬鹿なことをしてしまってごめんなさい」
「いえ、そんなことは……」
「それと、はじめまして、リコちゃん。私は、あなたのお祖母様のマノンよ?」
「はじめ、まして。……マノン、おばーさま?」
マノンお祖母様のダンお祖父様に対する様子を見てビクビクしていたものの、お母様に背中を押されれば隠れているわけにもいかない。
「まぁっ! ちゃんと挨拶ができるのね? 偉いわ。リコちゃんっ」
「え? あ、う……?」
優しく撫で撫でと頭を撫でてもらう私は、まともに言葉を紡げない。
挨拶ができるくらいは当然だ。むしろ、前世の記憶があるのに、この程度の挨拶しかできないということの方が問題だろう。
「マ、マノン、わしも……「あなたは、まず身綺麗にしてからいらしてくださいな」……うむ……」
マノンお祖母様の言葉でそっとダンお祖父様を見れば、何だかとてもかっこいい服を着ているのだが、土で汚れてもいるようだった。
「さぁ、お腹が空いたでしょう? 食事にしましょう。可愛いデザートも用意しているから、楽しみにね?」
シュンとうなだれて、トボトボと去っていったダンお祖父様を全く見ることなく、マノンお祖母様は明るく提案をしてくる。
「リコ、マノン様のデザートは、本当に凄いから、楽しみにしておくと良いわよ」
「うん……」
どうやら、嫌われてはいない。それだけで、私は少し、勇気が出た気がした。




