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[44話]朝の身の危険

「…ん」


「お、起きたか」


ラグドールが一番に目を覚ました。

眠そうな目を擦りながら欠伸をしている。


「起きるの早くないか?何時かわからないがまだ日が登ってすぐだぞ」


「私はいつもこの時間に起きますよ。この時間から出かけますから。あと、今は朝の4時です」


「なんでこんな朝っぱらから出かけるんだ?」


「食料調達ですね。連日とれないだけで死活問題ですから。行ける時に行きますよ」


「子供も行くのか…」


やはりこの世界は過酷な環境らしい。


「私にとってはそれがルーティーンなのでもう辛いとは思いません」


「…もうちょっと寝ててもいいんだぞ」


「…お言葉に甘えますね」


そう言ってモゾモゾと布団に戻って行った。

よくラグの眠る姿を見ているがやっぱり猫っぽいからだろうか。

猫はほとんど寝てるって聞いたことある気がするし。

それか燃費の問題かも。


まだ明るくなってないからかもう寝ついてしまったラグ。

子供の凄さを感じてしまい開いた方が塞がらなくなってしまう。


「…俺もあんなぐらい早く寝付けれたらいいのに」


寝ることができない体が少し忌まわしい。


「…というか何時にレイを起こせばいいんだ?」


今は四時らしいが何時にここを出る予定なのかとかすべて聞き忘れていた。

たぶん7時ぐらいに起こせばいいと思うが、念のため今起こすか。

寝過ごしたらヤバいし。


レイが寝ている布団へとおもむく。

こんもりとまんじゅうみたいに膨らんていた。


「レイ、起きれるか?」


トントンと布団を叩いてみる。

モゾモゾと動き反応自体はあるが出てこない。


「レイ何時に…」


ソッと布団をめくり、ソッと閉じた。


そこにいたのは猛獣のような威圧感に溢れる目をしたレイだったから。

一瞬でわかった。

朝機嫌悪い系の人だと。


「…何時に起こせばいいでしょうか」


「6.7」


「…その間にと言うことですね」


「…」


「かしこまりました」


危なかった…。

あと数秒あけていたら俺の手はもうこの世には無いだろう。

というかあと4時間あるのか。


「…朝風呂1人で行くか?」


本体を見られたらヤバいがこんな早朝に入るやつは少ないだろ。

いたとしてもちゃんと肌色にするし、全員朝ボケてるから案外気づかないんじゃ?


リスクを犯すべきじゃねぇが、意味もなくサッパリしにいきたい。


「…行くか朝風呂」


バスタオルを持って大浴場へと出陣した。


バレたらバレた時考えればいい。


できればいないで欲しい。

というかいないでくれ。


「頼むいないでくれ、頼むいないでくれ、頼むいないでくれ、頼むいないでくれ」


祈りを込めて風呂の扉を開ける。


「お、昨日の兄ちゃんやん。あんたも朝風呂か」


「いるっ!しかも知り合いっ!」


大浴場にいたのは昨日出会ったガロムだ。

湯につかりプロテイン好きにしてはあまり筋肉のない体をてからせていた。

神さまはいないらしい。


手早く体を洗い素早く風呂へと入る。


「なんや1人風呂がよかったんか」


「…1人が1番落ち着くし」


「わかるわぁ。自分も1人やったらむっちゃリラックスできるわ」


「まぁ1人だけだったし、まだ良かったけど」


正直ヒヤヒヤしながら入っててリラックスなんてできていないけどな。

言いふらすような人じゃないと思うがそれでもバレるのは避けたい。


「1人?もう1人おんで」


「え?」


増えるのは困るんだが。


「あ、今サウナからでてきたわ」


扉が開き中から人影が現れる。

髪は茶色、目はなぜか閉じられ、高身長、いかにも知的そうな人が現れた。


「セト〜!こっち来てや」


「あ、はい、向かいます」


セト、と呼ばれる男が目を開けることなくスタスタとこちらに向かってくる。


なぜ目を開かずに歩けるんだ。

糸目キャラってやつか。

ならこいつは強いってことだな。

だからあんたは強者の元にでも行ってきてくれ。


「この人が昨日言ってたポルナスさんや。挨拶しとき」


「…」


「セト?どした?」


「…あ!すみません少し頭がボーッとしてて…」


セトが頭を掻くような仕草をする。


「デビさんを助けてくれてありがとうございます」


「…いや、俺はほとんど動いてないんすよ。全部レイって人がやったことで」


「話は聞いてますよ。あなたが身を挺して庇ってくれことも。あなたがいなければ彼女は確実に致命傷をもらってました。謙遜しないでください。心の底から感謝しています」


「…こうも言われると少し恥ずかしく感じるんだが」


「お礼の言葉は遠慮なく貰っとくもんやで」


「お礼の品を渡したいところなんですが…今お金に困ってて…」


申し訳ないと苦難に満ちた表情を浮かべられる。


「あのアホが勝手にこんなとこ予約せんかったらまだ多少はあったやろ」


「本当にごめんなさい。次会った時に必ずこの恩は返しますので」


「いや、ほんと、大丈夫なんで」


仲良く団欒しているが実際ピンチだ。

2人に増えたってことはバレる確率も2倍、バレた時の被害も2倍、合計4倍面倒なことになる。

風呂に入ってサッパリするなんて言ってる場合じゃないなこれは。


「じゃあ俺はもう上がるんで、失礼」


「ん」


「さようなら」


危なかった。

恐らくバレてない。

さっさと体拭いて部屋に戻ろう。





「…ガロムさん」


「なんや?」


「さっきの人、ただの人間じゃありませんよ」


「あー…まぁそうやろうなぁ。筋肉のつきかた変やったし」


「というか…人じゃないかもしれません」


「そやな…俺らと同類かもしれんな」


「…このような高揚感は久しぶりです。『ドキ⭐︎スタ』65話『ホシノ覚醒!!』の時以来ですよ」


「じゃあ一昨日やんけ!なにが久しぶりじゃボケェ!」

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