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[24話]

扉を開けると体育館のような広い空間が存在していた。


「ここは集会所なのか」


宿を求めて数分しか経ってないのに迅速に用意され舌を巻いてしまう。

それとも恩を返すときに使う場所としてもともと考えられてたのか。


「私は少し仮眠をとる。最近まともに眠れてないのでな」


レイは横についていた梯子を登り二階へと上がっていく。

岩の上で寝ていたことを思い出しながらその姿を見送る。

その後外へと出かけ目的もなくぶらぶらと町を歩き始めた。


「そういやさっき七時だなんて言ってたな。こっちの世界でも時間の感覚は一緒なのか?」


1人で頭を悩ませながら町をうろつく。


「レイの口ぶりてきに俺以外の転生者もいそうなんだよな。だとしたら同じでも別におかしくはないし」


レイが転生者だと驚かなかった姿が脳裏に浮かぶ。


「俺が初めてならあんな淡白な反応はできないだろ」


顎に手を当て眉をひそめるポルナスの隣でヒソヒソと話し始める女将さん達。


「やることやってるらしいわ…」


「やっぱり一緒にいた方よね…」


顔を紅潮させながら新たな噂を生み出す2人。

その言葉がこちらの聴覚に届くことはなく、足を進め脳をゆっくりと回し続ける。


「でもこの世界とあの世界じゃ勝手が違うだろうし色々と噛み合わない気がするが。いや、1日を24分割したら多少長さは違えど時刻としては似たようなものになるな。同じように一年の日数をいじればいけるか」


納得できる考察が生まれ自己満足する。


「けどそれを考えついても実行できるのか?よほどの権力者じゃないと無理な気がするが…まぁ昔の人天才だったんだろうな」


頭を掻きむしり思考を放棄する。

納得できるものが生まれたとしても何にもならないし、というかこの考察があってるわけでもない。

でも暇つぶしとしては良いお題だったと思う。


考えに一段落つき、することもなくただ町を眺めながら歩き始める。

黄昏ながら景色を堪能していると空いていた手をいきなり握られた。


透き通るような白髪に燃え盛るような真紅の瞳。


「ラグドールか。どうしたんだ?」


ついさっき別れたばかりのラグドールが目を輝かせながら現れた。


「今さがしてたので。少しついてきてください」


抑揚のない声でそう言い有無を言わさず歩き始めた。

子供とは思えない力で引っ張られ体のバランスを崩してしまい、踏ん張りながらも後ろをついていく。

数十秒に及ぶ過酷な運動の後、ある一軒家の前で足を止めた。


「入ってください」


「えっ?」


「入ってください」


「あっはい」


言われたことに従い家の中へと入っていく。

外見も内装もおかしなところはなく普通。

恐らくラグドールの家なのだろう。


足の裏を取り払い、形を整え居間へと入る。


「よく来てくださいました」


「…」


ラグドールの両親と思われる方がテーブルへと並んでいた。

ぺこりと頭を下げられこちらも同じように頭を下げる。


「座らせてもらいます」


「どうぞどうぞ」


親父さんは新聞みたいなものを読みながら寡黙な雰囲気を出しているが亜人の特徴である耳がピコピコと動いており親近感を覚えてしまう。

親父さんの対面へと腰掛け、当然のようにラグドールが隣へと座る。


「私たちの娘をありがとうございます。なんと礼を述べればいいのやら」


「礼なんて大丈夫ですよ!感謝するなら全部連れがやったことですからそっちに!」


助けを求められたわけでもなく、自発的に助けようともしていない俺にはこの感謝を受け取る資格がない。

そう思いながら手を横に振り受け取りを拒否する。


「それでなぜ私を呼んだのでしょうか?」


「私も知らないのですよ。ラグが言いたいことあるって言って」


「…」


全員の視線がラグドールへと集まる。

ラグドールはポルナスへと向き片膝をつく。


「わたしはこの方に忠誠を誓い、この方の剣となります。どうかお許しを」


空気が固まった。


「…つまりついて行くってこと?」


「…はい」


「「…ええええええ!?」」


「…!?」

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