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[第17話]戦闘

ナタは吹き飛ばされるもむくりとすぐに立ち上がりスーツについた泥を払う。


「あんまダメージ入ってなさそうだな」


いい一撃が入ったというのにここまで無反応だと少しばかりショックを受けてしまう。


「今のが本気ですか?だとしたらすぐに終わってしまいますよ」


腕と首をならしまだまだ余裕だと見せつけてくる。


「初陣がこれかよ!」


地面から無数の棘を生み出しナタを貫くように動かす。

だがひらりとかわされ持っていたノミで先端を斬られ、金属音が鳴り響く。

指の先が割れるような激痛が走りどうしても怯んでしまう。

ナタはその隙に距離を詰め横薙ぎの一閃を振ろうとするが、瞬時に新たな壁を地面から生み出しその一撃をつぶす。


本体で受けようが、生み出したもので受けようが痛みは共通だから本来意味のない行為だが、情報を知らない相手からすればノーダメージに見えるだろう。

これが焦りにでもつながってくれたら良いのだが。


壁からびっしりと棘を生やし後ろへと飛び退かせる。

そこを2本の棘を伸ばし追い詰めるが共にたどり着くことなく空中で切り落とされた。


ナタはそのままノミを振りかぶり2本の斬撃を飛ばす。

壁をつくり1つは受けれたが、もう1つは深々と腕を抉っていった。


「チッ!」


「今のは当たったんですね。差が未だ分かりませんよ」


空中から拳を生み出しナタを殴りつけようとするもナタの拳とぶつかりあい相殺される。

空いている横を狙い左右に腕を生み出し攻撃するもジャンプで避けられ激しい土煙だけが舞った。

逃げたナタを追って無数の棒を繰り出すも、どれも紙一重で避けられ手痛い反撃をくらい続ける。


「これはキツイ…」


攻めてるはずなのに何一つ当たらない。

というか最初の不意打ち以外一切まともに入っていない。

戦闘に慣れてないとはいえこうも一方的になるとは。


「考え事…ですか」


注意を外してしまったのが運の尽き、瞬時に距離がつまり顔を掴まれ地面へと叩きつけられる。

地面に強打させられ、打ちつける激痛が全身を走り、呼吸が止まる感覚に陥った。

地面に体の半分が埋まり馬鹿力で上から押さえ込まれ、動けなくなる。


「ウゥ…」


「私、運と才能だけの人に負けるのが嫌いなんです」


ミシミシと言う音が体から鳴り、割れるような痛みに苦難の声をあげる。


「スキルとポテンシャルだけしかなく、動きは全て荒削り、自分にあった型を使うこともなく、おまけに魔法すら使わない。努力を何もしていないように思えてしまいます」


「魔…法ってなんだよ!?」


腹部を棘のように変形させ突き刺そうとするもそれすらひらりと避け高台へと逃げられる。


「魔法を知らないとは、田舎者なのか無知なのか。まぁここで終わりなのですから知らなくていいと思いますが」


ナタは胸の前で両手を使い輪っかを作る。

その内部で空気の波のようなものが蠢き始めた。

まずいと感じた時にはもう遅かった。


「冥土の土産にどうぞ。『清一(きよひら)』」


そう唱えた瞬間、空気が震えた。

両手から眩い光が放たれ数え切れないほどの見えない斬撃が飛んだ。

その斬撃は近くにあるものを平等に塵へと変えていき、それはポルナスも例外ではなかった。

ポルナスにも無数の斬撃が襲いかかってきたが、流動化を使い可能な限り斬撃をすかすことに成功した。

数秒間その嵐は止むことはなかった。


「…卑怯だと思いますよ」


地面の中からむくむくと生まれてくる俺を見ながらナタはため息をつき、そう呟く。


「俺は魔法なんて使ってるほうがずるいと思うけど」


理不尽な斬撃の雨を思い出しながら言い返す。


「…あなたには分からないでしょうね。弱者の気持ちが」


「弱者?」


スキルには良し悪しがあるとはいえ大差ないと思うが。

代償も強いほど高いって聞いたし、強ければ強いほど燃費が悪くなるはずだ。


「私が肉体を鍛え上げ、魔法の極致へと努力を続け、たどりついたとしても超えることはできない。スキルとはそういうものです」


どこか悲壮感の漂う表情でポツポツと話し始める。

だが妙な違和感を覚えた。

俺を見ていないような、何かに注意が向けられてるような。


「手数が増え、相手に択を迫らせ、圧を生み出せる。場合によっては初見殺しも可能と…これだけ強力なのになぜ平等にもたらされないのでしょうね。心の底から発現者のことを羨ましいと思ってますよ」


平等には配られるが平等に使えるわけではない。

妬む気持ちも少しばかり分かる。


「使えないスキルを持っていたという可能性もありますけどね。その場合はもう割り切って考えられて楽ですが」


何かひと段落したのか注意が俺に向きまたもや武器を握りしめられる。

どうしても戦闘する意思を見せられてしまうと身体がこわばってしまう。


「まぁ最近使えないと割り切って動いているんです、だから私にはスキルを補う何かが必要なんですよ」


そう言ってナタは俺の顔をじっと見つめ始めた。


「先程から何か引っ掛かってたんですよ。ですが今分かりました。目線です」


「目線?俺は仮面つけるから見えないと思うけど」


「いえ、その仮面の目線です。特殊なものに見えるので完全に制御出来てないのではと」


まったく意識していなかった。

完全に無意識で動いてしまった。

そして闘いの最中どうしても気になる悩みの種が2つあった。

1つは捕まっていた亜人が大丈夫かどうかで、もう1つはーー


「とうも上を気にしてると思い私も少し見たんですよ」


ナタは上を向き何かを見つけ首の動きが止まる。

同時に俺の心臓もバクンと跳ねた。


「なんであんなところに亜人の子供がいるのでしょうか」

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