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[第14話]鈍痛

張り裂けるような痛みが腕全体に走りそこら中に腕だったものが散らばった。


「痛っってぇぇ!!」


あまりの激痛に耐えきれず切断面を抑えその場でうずくまってしまう。

呼吸が荒くなり脳が点滅するかのような感覚におちいる。


「あなた…もしかして同業者ですか?」


俺の腕を吹き飛ばしたであろう男が申し訳なさそうな顔をしながらこちらによってくる。

若葉色の髪が特徴的で顔が鼻ばっており、少し不健康そうな印象を覚える男だった。

山の中だというのに小綺麗なスーツと革靴を着用しており、どうしても違和感を覚えさせられる。

手にはノミをもっておりあの距離でどうやって俺の腕を吹き飛ばしたのかは不可解だがこのチャンスを逃すわけにはいかない。


「そうだよ同業者!いきなりこんなことしてどうしてくれるんだ!」


男を睨め付け吠えるように言い放つ。

この態度で正しいのかは分からないがあちら目線1人気絶と1人拘束、まだごまかせるはずだ。

ならばできだけ自然に被害者ぶらないと。


「も、申し訳ありません!こちらの勘違いでお怪我をさせてしまいどうお詫びすればいいのやら」


焦ってることが手に取るように分かり、ぺこぺこと頭を下げ始めた。


おっとこれはいけそうだ。


「まずは慰謝料かなー。あと治療費と、入院料は必須で、確定医師固定散財料と安全保障診察費、あとはー」


レイが到着するまでここに留まらせる。

ついでにお金ももらう。

目的を遂行するため話を引き延ばしできるだけの時間を稼がないと。


俺1人でもやれるかもしれないが相手の手の内が分からない以上やるべきではない。

相手に負けて逃げられでもすれば目も当てられん。


「す、すいません。私忙しくてもう行かないといけないんです。だからこれを。私の会社の名刺です。ここに訪れてもらえれば、その、いくらでも払うので」


そう言って幾何学模様が幾千と書かれた用紙を手渡し、縄をつかみ足早にこの場を去ろうする。


まだだ!


痛いほど強引に肩を掴みその動きを無理やり止める。

なんでもいい、適当に時間を潰さないと!


「ま、まだ、なにか?」


「やっぱり、その、亜人が少しほしいなーって」


「無理です」


掴んでいた手を握りしめられ、握力だけでその手を離させられる。

先程までのオドオドとした様子は消え去り、一眼見て冷酷だと分かるほどの雰囲気へと変わっていた。


「もう言っていいですか?」


「ちょっと待って!マルチ商法に興味ない?」


「やりませんし何故邪魔するのですか?」


「…」


「あなた、雇い主は誰ですか」


「…ト・テモ・エライーニョ」」


「そんな人いません」


片付けられていたノミを取り出され、臨戦体制へと入られる。


「いるかもしんねーだろ!エライーニョさん!!」


共鳴するかのようにこちらもボクシングポーズを構え戦闘の意思をみせる。


戦闘が今始まる。

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