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3話 精霊チーチとお料理教室

カップにお粉をひとすくい。


「ボールにいれまぁす」


つぎは卵。両手でしっかりもってボールのうえに浮かせます。


「風さん風さん、卵をパカってしてください」


スパ!ってほそい風さんが卵をわった。中身がとろんとお粉のうえにでた。ふふふ、これが風魔法!


「お粉をまぜまぜします!」


泡立て器をギュッともってハッとした。となりを見上げる。


「やる?」

「そうだな、やってみよう」


じめんに座って見てたイアスにはい、と泡立て器をあげる。もち方わかるかな?


「たくさん混ぜてよいのか?」

「ちょっとでいいんだって」


イアスはじょうずに片手でもってカシャカシャした。

ぼくはボールをのぞいて確認するお仕事だ。


「これくらいか」

「んー……まだ」


カシャカシャ。


「これくらいか」

「まぁだ♪」


カシャカシャカシャカシャ。

音を聞いてたらおもしろくなってきちゃった♪

音にあわせてお尻をフリフリ♪ カシャカシャ、カシャカシャ♪


「どうか?」


まっしろのお粉がきいろくなってとろ〜としてる。


「いーよー!」


両手で大きいまるをつくる。

よぉし、そうしたら焼こう。イアスははじめてだからフライパンを使ったほうがいいよね!


「ちょっとまってて!」


ぼくはお椅子をずりずり引きずって棚のまえにもっていった。

このお椅子はすごく重いんだよ。どうして作ったの……?


「はあはあ……んしょ、ん、んしょ」


お椅子のあしにしがみついてよじよじして登る。

座るところまできたのでお椅子にペタンと座ってちょっときゅうけい。


「なにをするのだ?」

「あのね、フライパンとるの。まっててね」


「フライパンとは?」

「生地をね、やくんだよ」

「私がとろう、どれだ?」

「わあ!」


イアスがぼくをひょいって抱っこした。人族は力もちでびっくりしちゃう。

棚のちかくにしてもらって、フライパンをおしえてあげる。


「ふむ……。かまどはこれか」

「かまど?」


ちゃんとフライパンを当てたイアスは、すぐそばの大きい台のうえにおいちゃった。ぼくはイアスの片方のうでに座ってみてる。なにするんだろう?


「ファイア」

「わあ火魔法だ! だいじょうぶ? もえない?」

「……かまどを知らないか。人族が火で安全に料理をする場所をいう」

「そうなんだぁ」


イアスはものしりさんだね。

フライパンがあったかくなるのをふたりでみつめる。


「生地は三分だったか?」

「うん! それで、できたらひっくり返すの」

「ムーブ」


イアス指をスイっとするとボールがふわふわ浮いてかまどに来た。片手でボールをつかまえたら、フライパンのうえに生地をたらす。とろ〜とした生地はまんなかから広がってまるくなった。


「わあ、きれいなまるだね」

「そうか」

「うん!」


それじゃあ三分まとう! 


「いーちにーのさーん♪ シーシーチイ♪ なーなごーいーち♪ ふんふんふーん♪」


三分って10よりいっぱいかな?

イアスの腕のうえで体をゆらしておうたを歌う。


「穴があいてきたな、返そう」


イアスが指をふったらパンケーキがくるんってした。いいかおり! もうちょっとだね。あっお皿じゅんびしなくちゃ!


「イアス、イアス、おろして。お皿がいるんだよ」

「ああ」


おろしてもらって、お皿のあるところまでスキップ。

イアスのはじめてのお料理だからすてきなお皿にしよう!


「チパチパお皿♪イアスのお皿♪ どれにしようかなぁ♪」


しろいの? みどり? あおいのもかわいいね♪


「お星さまのいろにしましょー♪」


お星さまのいろはイアスの髪のいろ。ぎんいろでキラキラしてるよ。ぼくは両手でどうぞ、とイアスにお皿をあげる。


「とてもきれいな皿だ。ありがとう」

「うふふ!」


イアスはまたぼくを抱っこしてくれた。

お皿をテーブルにおいて指をスイっ。パンケーキがふわふわ飛んでお皿にぽすんと着地。


お星さまのお皿にお月さまみたいに黄色くてまんまるなパンケーキ。


「おいしそうだね!」

「ああ、チーチのおかげだ」


あたまをなでなでしてくれた。

ふふふっうれしいなぁ。


「おみせやさんができるね」

「たくさん作らなくてはな。このパンケーキははんぶんこしようか」

「うん♪」


イアスがはじめてつくったパンケーキはとってもおいしかったよ。

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