因縁と転生
初めて書きます。
どうぞよろしくお願いします。
序章
因縁と転生
ある戦乱の世にいた二人の凄腕の忍者。一人は戦乱を終わらすため、仲間を率いて各地の戦を止めていた。もう一人も戦乱を終わらすため、そして、王や領主に復讐し世界を支配するため、一人で国を造り他国へ侵略を行っていた。そんな二人は同じ村の出身で友であった。だが、戦乱の集結に向けての価値観が食い違い別れてしまった。
燃え盛る炎の中、二つの影があった。そのうちの一つは、高校一年生くらいの背丈で黒髪の青年、もう一つは同じくらいの背丈で、白髪の青年であった。その男の子らは、戦乱を終わらそうとしていた、忍者であった。
二人は互いに刀を右手に持ち、冷たい瞳で睨み合っていた。ただ着々と炎が燃え広がる音だけが二人を包む。
「バチバチ!」と火花が散った瞬間、風を切るような速さで互いの距離を詰め合い、斬りかかる。それを受け止め、今度もう一人が斬りかかる。ただ繰り返す剣戟。だが、それはまるで嵐のごとく凄まじく光よりも早い。
至近距離でそんなとても激しい攻防が続くうち互いのからだに擦り傷は増えていく。しかし、致命傷には至っておらず、さすが凄腕の忍者だと言わんばかりであった。
だが、その均衡も崩れてしまった。黒髪の青年のほうが床に足を取られ、体制を崩し肩を斬りつけられ、深手をおってしまった。
そして、距離を取ろうと刀を向け威嚇しながら、後退した。息を切らしながら、こう言い放った。
「星洛しょうらく、なんでだ。なんで人を、世界を、支配しようとするんだ」
「無龍むりゅう、この世界は否、この世界のやつらをどう思う・・・ただ、欲のため醜い争いをし、王は争いを止めぬばかりか、勝つために民から俺からすべてをとっていきやがった」
「確かにそうだ。」と心の中で思う一方、それを肯定する気にはなれずにいた。なぜなら、仲間や今まで会ってきた人々のように、心の広く温かい存在がいることを知っていたからだ。彼は自分に言い聞かした。
「だ、だが、復讐は違うだろ。俺は戦乱を終わらしてみんなを、この世界を平和にする」
「そのざまでよく言えるな。まあいいや、そろそろ終わりにしてやるよ」
そう告げると星洛は音速のような速さで距離をつめ、刀を振り下ろした。その刀は見事に無龍の胴体を切断し、無龍を死に至らしめた。星洛は床が紅く染まるのを眺めながら、こう呟いた。
「じゃあな、来世でまた会おうぜ。無龍……」
そして、無龍は死に際、星洛の顔が燃え盛る紅蓮の業火のような怒りに満ちていたが、どことなく悲しい顔をしていることにふと気がついた。そして、ただ友である星洛に意識が掠れていく無龍は最後の力を振り絞り、こう呟いた。
「「ああ、誰か・・・・・星・・・・・洛を・・・・・」」
炎はいつの間にか彼らの出口であっただろうところでも激しく燃え広がっていて、出ることはできなかった。横たわっている無龍の体を炎が包む中、彼の魂は体から白い塊として出てきた。
すると、突如謎の渦が天井に現れ、彼の魂はその中に吸い込まれていった。その先は辺り一面真っ白な空間で、ひとつ大きな扉がそびえ立っているだけであるかと思えたが、そこには人らしい影をした者が玉座らしきものに座っていた。彼の魂はそこにふわふわと浮遊しながら、歩み寄っていた。
だが、魂であるがゆえに言葉を発することができず、ただその場に居座っていた。座っていた者はこちらを向き直り、こう声をかけてきた。
「よくぞ、来た!闇九無龍くらくむりゅうよ」
「……………」
「何故答えない、おい!」
そのまま、沈黙が続く中、声をかけたものはふと気づいた。
(彼は魂であるがゆえに話すことができない。)
手を彼の魂にかざし何か呪文のようなものを唱えると、青い輝きを放つと元の、人としての姿がそこにはあった。座っていた者は、間抜けずらのような顔をし、呆然としていた彼にさらに声をかけた。
「これでしゃべっれるであろう。改めて、はじめまして。闇九 無龍よ」
ふと我に返った無龍は言葉を返した。
「あんたはいったい何者なんだ。それにここはいったいどこのなんだ」
「私は君の世界でいう神々で、その中の一柱、名はソルキ。ここは転生の間、我らが選び、異世界へと転生することを許された者のみが来られる場である」
無龍は一瞬信じられないというような顔で戸惑ってしまったが、彼の頭はそれとは裏腹に学校に遅刻しそうな学生が駆け込んで門を潜ろうとするよりも早く回転し、数秒で理解した。それを見って取ったかの如くソルキは大丈夫かと声をかけた。そして、これからを送る異世界について話し始めた。
「その異世界には亜人・魔物・竜・女神・魔神・人・魔人などが生息していて、魔素マナというもので構築された世界だ。その世界は長い間、魔神が魔物を使役し、それら以外との間で戦いは続いている。人族は魔人に対抗するため、異世界から勇者を召喚し、他種族と協力している。そんな中、他の種族には知られず、ただ世界の均衡を守る上位魔人の種族がある、それは龍人族。それ以外にも、上位魔人のなかでは、魔神を信仰し仕える鬼人族や、他種族から孤立し、戦いに参加しない天狗族などがいる。・・・・・・」
しばらくすると、話は終わり、無龍は疑問を抱えた。
あれ、俺って何に転生するんだ。
すると、ソルキはそれに気づいたかのように一言だけ言い放った。
「無龍、君の転生は・・・・・、行けばわかるさ」
と言いながら、不敵な笑みを浮かべていた。
「じゃあな。」
「え、ちょっと。ソルキ様ぁぁぁぁぁぁぁ」
無龍は叫ぶ。それを微笑ましく見ながら、手を振るソルキ。そして、ソルキは聞こえないように声を潜めて呟いた。
「世界の均衡を守ってくれ・・・」
すると、閉まっていた門が急に開き、門はブラックホールのような物凄い吸引力で無龍の周囲の空気を吸い込み、凄まじい風を起こした。そして、無龍はその風に流されていった。門の中へと姿を消した。
ソルキは驚きを隠せず、かすれそうな声でこうつぶやいた。
(無龍・・・・。あいつは一体何者だ。)
門の中は何もなくただひたすらに白い道が続くのみであった。そこを歩く一つの影。その影はその道の先にある出口とも言える門に着いた。すると、辺りは一瞬にして真っ白に染まり、開いていた門をその影はくぐっていた。
次の瞬間、その影は赤ちゃんの姿へと変わり、大きな鳴き声を発した。そう、龍人の国で最も東に位置する山の麓の里に生まれた新しい命。彼の名は「暗九 無龍」ではもうない、新たな名は「アポロ・バルミュット」。神に認められ、この異世界の均衡を託された均衡の守り手である。
ここまで読んでいただきありがとうどざいます。
これからも頑張っていくので、よろしくお願いします。