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ギフターズの思い

 複数人が集まり鏡のようなモニターを眺めている

 そこには少女が映っており、その少女の目の前にはおぞましい姿をした化け物が一体

 その化け物は元々聖女と呼ばれる少女だったが、悪魔によって無理やり姿を変えられて哀れな肉人形と化している

 その化け物と少女が対峙している姿をモニターごしに見る何者か

 彼らはそれぞれの思いで少女を見守ることしか出来ない


「う~ハラハラするわ~」

「そろそろ誰かの力が発現してもいいんじゃないかな?」

「だりのだろうねい、オリのだったりしてえ」

「は? 冗談だろブルメロ。お前の力なんて使い時無いっての」

「おいこらゼルシア、オリを馬鹿にすんのも大概にしろよお。オリの力はすごいんだあ」

「違う違う、強すぎて使ったらアブねぇだろってことだよ」

「ああそっか、オリかんちがいしてたあよ」

「ところであの子は今誰の力を目覚めさせたの?」

「えっと今発現してる力は、ベイ、アリュア、ハスカ、メイオーサの四人の力かな。ベイが“吸生”で、アリュアが“再生”、ハスカが“神速超え”で、あとメイオーサが“模倣”だから…。うん、やっぱりこの四人の力だね」

「見て見て見て見て、ほらほらほらほらあの子があの子が力を使って使うよ」

「キノペ、お前の言い回しは分かりにくいからもう少し言葉を減らしてはくれまいか?」

「えーえーえーえー、それがそれが僕の僕の個性だってのにのにー」

「うるさい、ほら使うぞ」

「囁きかけてよかったよ。僕の力を使ってくれたね」

「んだとエススゴラァ! てめなに抜け駆けしとんのじゃ!」

「エススの力かぁ。まぁこの状態なら最適なんでない?」

「あーあ、クーの力を発現すればこんなの一気に粉々なのにぃ。ねぇなんでこの子はクーの力を使わなかったのかなぁ?」

「クーシェラ、適材適所です。今回はエススの力が適していたというだけのこと。きっとあなたの力もそのうち発現するはずですよ」

「ホント? クーの力使ってくれるかな?」

「ええきっと」


 少女が新しい力に目覚めたことに全員が喜んでおり、次は自分かと口々に言い合っていた

 今回はエススと呼ばれる少年の力が少女に発現し、その力が少女の友人を救った

 もはや元に戻ることはないと思われていた彼女をその力で救ったのだ


「エスス、発現したはいいけどまだ使いこなせてはいないみたいですね」

「まぁ一朝一夕の能力じゃないからね、僕のは」

「今回はエススのだったでござるけど、次はきっと多分拙の番さね。拙の力は使い勝手がいい故!」

「確かに、チーチーの力は彼女に合致するかもしれないわね」

「ふっふー、拙の力“宝玉”は絶対的な守る力でござる故、あの子が他者を守りたいと強く願うときに発動するはずさね」


 くノ一の服を纏い、頭頂部の髪を結って一本の角のようにしている少女が得意げに胸を張る

 彼らはこうして自分たちの力を発現させていく少女を応援しているようだ

 未だ彼らが何者で、何のために少女に力を与えたのかはつかめないが、それでもその少女の味方であることには変わりない

 彼らは鏡をのぞき、満足そうにうなずいている

 その中で浮かない顔の者がいた

 その少年は自身がなさそうでおどおどと仲間たちの様子を陰から見つめていた

 少年のことを気にかける者は一人もおらず、彼はただ一人その輪の中に入って行けずにいるようだ

 少年は羨ましそうに彼らを見つめる

 本当は彼も仲間と共に語り合い、自分の能力が少女に発現する様子を近くで見たい

 だが彼の能力はその力ゆえに疎まれていた

 “死”

 それこそが彼の能力であり、発動した時点で周囲に死が訪れるという危険な力

 彼の仲間ならば彼の能力によって死ぬことはないが、少女がそれを使えば自らにも死を与えてしまうだろう

 つまり発動した時点でその少女は死を迎えるのだ

 だからこそ彼の能力の発動条件は限りなく不可能に近くしてある

 彼女が死ぬことの無いよう厳重に

 なぜ彼もその力を少女に与えたのか?

 それはその力が諸刃の剣であると同時に切り札となり得るからである

 確実な死を与える力、それが必要になるほどの相手との戦いを想定しているかのようだ

 少年はふぅとため息を吐くとそっとその場から消えた

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