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悪魔16

 キャリーの気配が消えて彼女がこの世界で死んだことが分かった

 まあ悪魔は死んでも魂が無事なら魔界に戻って行くはず

 でもこの世界には彼女を再召喚できる技量持つ者はもういないわ

 私達への脅威が一つなくなったことで少し安心できたけど、問題はキャリーよりもミザリーで、あいつは四恐のリーダーだから当然その強さも群を抜いている

 下級悪魔である私達の中でも中級悪魔に近い存在


「お、お姉ちゃん大丈夫?」

「え、ええ。大丈夫よカレアナ。それよりも聞いて。私達を追う脅威が一人やられたみたいなの」

「ほんとう!?」

「だからしばらくはミザリーもエスターもそっちにかかっててこっちのことは気にしないかも」


 絶対とは言い切れないけど、この世界には悪魔を倒せるだけの力を持った人間がいる

 その人間たちに賭けて私達はあの二人が倒されるまで身を潜めておこう

 そうすれば晴れて私達は自由の身。きっと幸せになれる

 カレアナと、それにアエトも見つけ出して、三人で静かに暮らすんだ

 そうと決まればどこか隠れれる場所を探さないと

 いくら魔力の気配を極力減らしているとはいえ、エスターには見つかりそうで怖いもの

 あの子、何か力をまだ隠してる気がしてならないのよね


「そういえばカレアナ、さっきからあなたの魔力を感じないけどもしかして」

「うん! いっぱい練習して隠せるようになったよ!」

「すごいじゃない! いい子いい子」


 カレアナはたった三日で魔力を隠す方法をマスターしてしまった

 やっぱりこの子は天才なのかも

 もし上位の悪魔に見つかりでもしたらこの子まで悪魔にされかねない

 純真無垢な魂に悪魔にも匹敵しそうな魔力量

 なんとしてもこの子を守らないと

 私の命に代えてもこの子を悪魔になんてさせないから


 街に着いた

 ここは確かエンダール王国とかいう比較的豊かな国だったはず

 確かに街並みはきれいだし人々は笑顔に満ち溢れてる

 それに様々な人種がいるからここなら魔力を抑えれているカレアナも、ちょっと変わった魔族くらいに見えるわ

 街の色々なお店を見ながら時々気に入ったものをお買い物

 カレアナもすごく喜んでくれてる

 考えてみればこの子、生まれてこの方監禁されててこういった楽しみも与えてもらえなかったのよね

 だからこそ楽しませてあげたい。今この時を

 お金の心配はない。魔物を倒してはぎ取った素材を売って結構持ってるのよね

 この国、いろんなお土産物やマジックアイテムなんかを売ってる上にご飯が美味しい

 そこが重要よ

 美味しいご飯は心を豊かにしてくれる

 今までの監禁生活で残飯のようなご飯しか与えられていなかったカレアナにとってはどれもこれもが美味しいみたい

 ただの屋台の串焼きにまで感動しているもの


「お姉ちゃん! これみて下さい!」


 カレアナが走って行った先にはお祭りのようなものが開かれていた

 なんでもこの国の伝統的なお祭りで、年に一度五穀豊穣を豊穣の女神とやらに祈るんだそう

 でもおかしいわね。この世界の女神は一柱だけお筈なのに、なんで他の女神があがめられてるのかしら?

 それもこの祭り、何百年も前に始まったって言うじゃない

 もしかしてこの世界の女神は力を失っている?

 そうだとしたなら魔界からここまで離れている世界に私達が召喚されたのも合点がいくわ

 力のあるルシファー、ベルゼブブと言った王クラスの悪魔ともなればここまで自分で来れるとは思うけど、私達じゃ到着前に力尽きる

 でも女神が弱っていて、結界が無くなっていたとしたら?

 だから私達はこの世界に召喚された

 悪魔が今まで一度しか来ていない世界に


「お姉ちゃん、どうしたの?」


 私が考え込んでいるとカレアナがそでを引っ張った


「ごめん何でもないわ。楽しそうねお祭り、行ってみましょっか?」

「うん!」


 ふふ、無邪気な笑顔が可愛い

 今はもう何も考えずにこの子と精いっぱい楽しむことを考えましょう

 私達はそのお祭りの真っただ中に飛び込んで、屋台や出し物を目いっぱい楽しんだ

 魔法による射的や輪投げ、お化け屋敷まである

 こういった出し物は遠い遠い昔に異世界から来た人が伝えたものらしくて、それが今でもお祭りの大定番として世界中に広がってるみたい

 そう言えばここには異世界人もいるんだっけ

 まあ私達悪魔も似たようなものかしら

 魔界だってここにとっては異世界だものね


 その日は夕方までお祭りを満喫

 次の日も続くみたいだから、明日は回り切れなかった食べ物の屋台で豪遊しようかしら

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