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悪魔15

 キャリーが死んだって言うのは分かったデス。ワタクシの大事な…

 ああもう! キャリーがいないと帝国の動きが分からないデス! これは久しぶりの依頼失敗もありうるんじゃないデスかね?

 まああんな糞みたいな男の魂なんていらないデスけどね。ワタクシたちの欲しい魂は純粋で汚れない魂デス

 汚れなき魂は悪魔にするんデス。真っ白な魂ほど染まりやすく、優秀な悪魔になれるのデス。だから生贄には乙女が捧げられることが多いのデス

 かくいうあのグズでのろまなヨローナもそうだったはずです。だのにあの馬鹿は出来が悪い。人間だったころの記憶がほんの少しだけ残っていたに違いないのデス

 本来なら記憶は悪魔に変えられるときに全て削除されるはずなのデスが、どういうわけかヨローナには少しだけ残ってしまった

 やつは悪魔の中でもイレギュラーなのデス。ミザリーもキャリーもそれには気づいていないデス

 異質な何かを持っているはずデス。それが分からないから、ワタクシはあいつが怖い。力のない今、殺した方がいいはずデス。それなのに、アザゼル様は殺してはいけないとおっしゃった

 下級悪魔を殺す程度日常茶飯事。ヨローナを殺すくらい何のお咎めもないはずなのに、爵位を持つ方々はことごとくヨローナのことを目にかけていた

 一体あの子には何があるというのデスアザゼル様。なぜ忠実だったワタクシにも何も教えて下さらないのデス


「エスター様! シュライナ様からの緊急の連絡です」


「シュライナ? ああ、魔人の…。どうしたというのデス?」


「エ、エスター! ようやく会えたわね。お前の寄こしたあの悪魔、魔王を攫って逃げたわ! 何を企んでいるのかしら?」


「ふん、あの馬鹿のことなら知っていマスよ。ちょうどあいつのことを考えていたのデス。まぁあの馬鹿を逃がしたのはお前らの責任じゃないデスかね?」


「な、何を言ってるの! お前があんな裏切り者の悪魔をよこしたからこんなことに! おかげで計画がめちゃくちゃよ!」


「何言ってるはこちらのセリフデスよ。お前は監視もろくにできないのデスか? そんなのだから魔王にもなれないんデスよ」


「なっ! 私のせいだというの!? くそっ! もうお前らなんて信じない! お前には私の糧になってもらうわ!」


 フフン、大した力もない雑魚魔人の癖に粋がってやがるデスね。おおかたワタクシの姿を見て子供とあなどっているのデしょう。相手の力量も測れない時点で、雑魚なんデスよ


「もうお前は用済みデスね」


 シュライナは鞭をワタクシにうちつけてきましたが、それを中空で止めてシュライナ自身に討ち返したデス


「あぐっ!」


 そのまま鞭でシュライナの首を絞める


「ぐぅげっ、あっ、ぐがぁ」


 苦しんでるデスね。なかなかいい声で鳴くデス

 目が飛び出そうなほど見開かれ、小便を垂れ流しながらシュライナは本当に簡単に死んだデス

 弱い、あまりにも弱すぎるデス

 魂も汚れてて使い物にならないデスね。本当に、クソの役にも立たないデス

 死体はせめて家畜どものエサにするデスよ。久しぶりの肉で家畜も喜ぶはずデス


「おいそこのお前、このゴミをすりつぶして肉団子にでもするデス。家畜にでも食わせるデスよ」


「は、はい!」


 ふん、今命令したこいつの方がよっぽど役に立つデスね 

 それにしても、キャリーが抜けた穴をどうするか、それが問題デス

 魔界に帰ったキャリーを再召喚するにも時間がかかりすぎるデスし


「エスター。問題ないわ」


 うわ、びっくりしたデス、ミザリーはいつもワタクシを驚かせるのが好きみたいで、突然後ろに立ってることが多いデス


「ミザリー!」


 ミザリーに抱き着くと血のいい香りがするデス


「大丈夫って言うのは?」


「私のテラーナイトメアに帝国を滅ぼすよう頼んでおいたの。皇帝は一応人質として連れて来たわ。あの聖女を悪魔にするためにね」


「何を、言ってるんデスミザリー。そんなこと、爵位を持つ悪魔にしかできないデスよ。一体どうしたって言うんデスか?」


「いいえ何ともないわエスター。ただ単に私の力が強まっただけよ。あの少女を素体にすれば、私でも悪魔を作れるはずよ」


「素晴らしいデスよミザリー! さすがデス!」


 これは思っても見ない収穫デスね。まさかミザリーにそこまでの力が備わるなんて思っても見なかったデス

 こいつら死恐はワタクシのために組織されたワタクシのための悪魔たちデス

 ワタクシの役に立つためにだけ生かされているのデスよ

 でもミザリーは違う。ミザリーはワタクシの大事な悪魔。ミザリーさえいれば本当は何もいらないのデス

 そんなミザリーがワタクシのために強くなっている

 ああ、愛とはかくも素晴らしいとは思いませんか?

 悪魔だって愛を知っているのデス


「ではミザリー。その聖女を捕まえましょう。ワタクシも強力するデスよ」


「いいのエスター? 魔王のことは」


「そっちはどうとでもなるデス。ヨローナじゃ何もできないデスよ。()()


 ワタクシはミザリーに付いて行くことにしたデス

 ワタクシの可愛いミザリー。まるで自分が一番強くて、ワタクシのことを可愛がっているように思っているところが、また可愛いのデスよ

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