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蠢くは悪の意思21

 そんなことって本当にあるの?って私も驚いたんだけど、まともに戦っているリィリアはもっと驚いたわよね。目の前であの悪魔の異常性と強さを味わっているんだもの

 とにかく今から聖都に戻らなくちゃ。急いでね

 リィリアの後に続いて私達は走った。アエトちゃんは召喚した魔物に騎乗していたけど、私達の走りは鍛えられているのと身体強化魔法でとんでもない速さを誇っているわ

 翌朝にはなんと聖都に到着してその日のうちにハイプリエステスのレニさんに会えた


「お帰りなさいリィリア。かなり修行を積んで研鑽しているようですね。魔力や聖力が充実しているのが分かります。私がハイプリエステスになったときよりも力強いわ」


 レニさんはリィリアを見て満足したようにうなづいた後私達の方を向いてニコリと微笑んでくれた

 可愛らしい笑顔の人ね


「リィリアのこと、よろしくね。しっかり見てあげて。この子いつも自分のことを顧みないから心配なの」


「はい! 慣れてます。でもリィリアにはいつも助けられてばかりで、私達なんか全然役に立てなくて…。」


 セリセリがしょぼんとして答えてるんだけど、その気持ちは私も同じ。ライラもアエトも同じようでうなづいてる

 私達は自分自身のことをよく分かっている。圧倒的な力を、才能を、どんどん開花させていくし、どうやら神力を超えるような力すらも持っているみたい

 リィリア、貴方は一体何者なの? ときどき私はこの子が怖くなるときがある。うーん、違うわね。この子自信が怖いんじゃなくて、この子が力をつけすぎてどこかへ行っちゃうんじゃないかって言うのが怖いの

 いつか、私達の手の届かないどこかへ…


「ではリィリア、ついて来なさい。あの悪魔は教会の地下に幽閉してあります。今は特に暴れる様子もなくおとなしくしているようですね」


 確かにこの聖都全体から聖なる力や神力が感じられる

 様々な場所に聖女が配置され、交代で魔力、聖力、神力を込めて結界を張ってるみたいだわ

 こうでもしなけらばならないほどに悪魔は強力ってことね

 レニさんの後に続いて教会に入り、地下へ続く階段を降りていく

 今でこそ聖王様のおかげで犯罪は軽犯罪くらいしか起こらないこの国だけど、昔はそれこそ殺人も起こっていたみたい

 私が生まれるよりも前の話だからよくは知らないのだけど、その頃は犯罪者をこの教会の地下に幽閉してたみたい

 死刑制度のないこの国ではそこで一生を過ごす犯罪者もいたようね。俗に言う終身刑だったかしら

 一応この国の法律も習ってはいるのだけど、この国は犯罪に走る者が少なすぎてあまり機能してないのよね

 地下は意外と掃除が行き届いていて、光魔法で明かりもついてるから結構明るい

 その一番奥に魔方陣が見えて、その中央には椅子とつくえやベッドなんかが置かれていた。トイレは、ないみたいだけど、悪魔ってトイレするのかしら?


「あらあらあら、来たわねクソガキども。今お前たちをどう残酷に殺してあげようか考えていたのよ? ほらこっちに来なさいよ。その小さなおててを引きちぎってあげるから。アッハァ、ハハハハハ!」


 下品な笑い方。本当に、なんて憎たらしいのかしら

 こいつは、ロクサーナさんをあんな目に合わせて笑っている。許せない


「アハハハハ! その顔! その顔大好きよ。いい憎しみに満ちた表情だわぁ」


 く、こいつまったく動じてない。きっとここから簡単に抜け出せると思ってるんだわ


「キャリーと言いましたね」


「待ってリィリア! 近づいたら危ない!」


「もう遅いっての! その腕引きちぎって叫び声あげさせてやるよ!」


 キャリーがリィリアの腕を掴んで、引きちぎった。吹き出る血に思わず目を背けたけど、もう一度恐る恐る見てみるとリィリアの腕はちぎれてなかった

 ちぎれたのは、悪魔の腕!?


「ぐがぁああああ! どういうことだてめえ! 何しやがったクソガキィイイ!」


 千切られた左腕を右手で押さえて止血するキャリー

 あまりにも突然のことでキャリーも驚きを隠せないでいるけど、それは私達だって同じ

 リィリア、ものすごく怒ってる?


「質問するので聞かれたこと以外喋らないで下さい」


「馬鹿かクソガキ! 俺がそう簡単に」


 直後に今度はキャリーの左耳がリィリアの手刀で切り落とされた


「ああああ! 俺の耳が! ぐぁあ! なんでだ! 何故再生できない!?」


「そりゃそうですよ。ここには聖女たちの結界が張っている上に私の力で再生を阻害してますから」


 キャリーが今にも殺しにかかりそうな目をリィリアに向けて吠える


「どういうことだクソガキ! てめぇの力はもっと弱かった筈だろうが! どうやってここまでの力を短時間で! くそっくそっくそがぁあああ! 痛ぇ、痛ぇえ!」


「いいですか? 質問しますよ? まずはあなた方悪魔が何を考えてこんなことをしているのかです」


「は、アハハア…。いうわけないじゃない。私は信用されているのよ? 簡単に口を割るわけ、ないじゃない。いいわ、私じゃお前に勝てない。今この状況ではね。殺しなさいな。何をされようとも何も言わない」


「そうですか、ではもう一つ質問を。聖女リアナの行方を知っていますか?」


「ふん、そうね、それは、教えてあげるわ。そのリアナとかいう聖女はもう人間ではなくなっているわね。つい数週間前に私の愛しい悪魔が聖女を一人捕らえたと言っていたわ。今頃すでにテラーナイトメアに変えられているわね。ふふ、お前らはぁ! 仲間の一人も救えない無力なただの人間ってことだぁ! 残念だったな!」


 それを言い終えると悪魔の首が転がり落ちた

 リィリアの手が一閃されてその首を落としたんだ


「そうですか、リアナさんはもう…。」


 リィリアの目から一筋の涙がこぼれ落ちる。リアナさんもあんな化け物に変えられてしまったってことなのよね…

 しかもテラーナイトメアとかいう化け物はもう二度と人間に戻ることが無いらしい

 私はリィリアの小さな肩にそっと手を置いた

 でも有益な情報は聞けたわ。悪魔は、まだいるのね

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