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悪魔12

 くそがぁああ! あのガキどもは必ず殺す! 殺さねぇと俺の気が修まれねぇ!

 

「ハァハァ、くそ、だめね、こんなに心乱してちゃミザリーに笑われちゃうわ。あのガキはまず捕獲して、目の前で大切な者たちを苦しめて殺してやる、ヒヒャヒャヒャ、見てなさいクソガキども。聖国に乗り込んで家族を全員攫って見せしめてやるわ」


 ようやく少し落ち着いた私は帝国のことを魅了で支配したロクサーナに任せて聖国へ向かった

 あのガキの家族や友人を見つけ出して全員をゆっくりと解体してやるのよ

 楽しみだわぁ、悲鳴に歪む人間の顔を見るのも、あのガキが泣き叫ぶのを見るのもね


「聖国、一騎当千の聖女が多いって聞くけど、私達が本気を出せば簡単に殺せる。でも今はそのときじゃないわ。とりあえずはあのガキに復讐するのが先ね」


 ガキがどこまで逃げたかは分からないが、あの速さ、尋常じゃなかった。それに私の顔を焼くほどの聖力、あんな力この世界にあるはずがない

 もしかしたらあのガキは特異点なのかもしれないが、もうそんなことはどうでもいい

 私の頭は復讐のことでいっぱいだった

 それが思わぬ失敗を呼ぶことを考えもしなかった


「臭いがするわ。あのガキと同じ臭いが。恐らくあのガキの家族がこの辺りにいるはずね」


 人間に化けた私は聖国を悠々歩いていた

 愚かな人間どもは誰一人として私のことを悪魔だと見る者はいない

 なんて簡単なことだったんだろう。帝国を支配する必要なんてなかった。私が本気を出せばこの聖国なんて簡単に滅ぼせたんだ

 そうやってほくそ笑んでいると、私は突如体が動かなくなるのを感じた

 

「あ、れ? どういうこと? 体が動いてくれない。苦しい? この私が、苦しいって? 一体どういう」


「やっぱり現れましたね」


 動けない私の前には恐らく聖女だろうと思われる人間が立っていた

 私を見下ろすなどなんて無礼な女、こいつは体中の皮を剥いで痛みにもがきながら死んでもらうわ


「無駄ですよ。あなたはもう動けません。この結界はハイプリエステスである私とこの国にいるほぼすべての聖女で発動した特別製ですから。どうです? 力がどんどん抜けていくでしょう?」


 な、んだこの力…。あり得ない。この世界の人間では私達悪魔を押さえつけることなどできないはずなのに、こんな結界程度で私を抑える? 冗談にもならないじゃない! ミザリー! 助けっ

 私はそこで力を奪われ、聖女どもに掴まってしまった


 ここは聖国地下にある牢のようね

 まさか悪魔たるこの私が捕まるなんて思ってもみなかった。聖女を嘗めすぎていた私のミス

 ミザリーは恐らく助けには来てくれないだろう

 私が捕まったと知れば来てくれるかもしれないけど、ここに行くという連絡さえしていなかった私をミザリーは見つけることはできない

 く、気配察知に一番優れているのはあの馬鹿ヨローナなのに、あいつは私達を裏切って逃げている

 そうだ、あいつも殺さなきゃね。聖女も、この国の人間も、私を捕まえたハイプリエステスとかいうやつも、ヨローナも殺す。殺してやる


「さて、貴方には聞きたいことがいくつかあります。まずは帝国を支配して何を企んでいるのかです」


 驚いた。なぜこいつがそれを…。いや聞くまでもない。あのガキが情報を共有していたんだろう。この世界には伝達魔法とかいう便利なものがあると聞いたし

 だがそれが知られたからと言って計画に支障はでない。私が殺されでもすれば魅了が解けて帝国の支配も解けてしまうけど、こいつらに私を殺す意思はないのはすぐわかった

 ハイプリエステスのこいつは聞きたいことがあると言って質問しているだけ

 それに私を抑える結界を張るので精いっぱいで他に何もできないということも分かった


「帝国の支配、ね。特に意味はないわ。楽しいからやっているだけ」


「そうですか、では人間を素体に化け物を作り出していると聞きましたが、元に戻す方法はあるのですか?」


「フフフ、戻せると思ってるのならおあいにく様。テラーナイトメアを元に戻す方法なんてやった本人も知らないわ」


 もしかして、こいつら私が作ったと思ってるのかしら? あのガキ、言ってないの? うっかり、いやそんな感じには見えなかった。まあそれならそれでミザリーの名前を出すわけにはいかないわね


「では次の質問です。聖女リアナの行方を知りませんか? 他国へ書簡を持って行ったきり行方知れずです。伝達魔法にも応答がありません」


 そう言えば聖女を捕まえたってミザリーが言ってたわね。恐らくそいつはもうテラーナイトメアに変えられてるはず


「さぁ、知らないわ。どっかで道草でも食ってるんじゃない?」


「そうですか、知りませんか…」


 フフ、悲しそうな顔がそそるわ。こいつら聖女はお互いを家族のように思い支え合ってると聞いた。ならその家族が化け物に変えられたと知った時、どんな顔をするかしら?

 その表情を見るのが楽しみで仕方がないわ


「何か思い出したら教えてください。それまでここにいてもらうことになりますが、食事などは運びます。不自由はさせません」


「アッハハハハハハ! なんてお人好しの寄せ集めかしら! ばかばかしすぎて笑っちゃうわ。いい? 人間の聖女ども。私が自由になったらまずこの街にいる人間、お前たちの家族から苦しめて殺すわ。お前らの前でな! だから精々今のうちに家族を逃がすことでも考えときな糞ども! まぁ逃げれねぇけどな! 俺が追って殺すからなぁ!!」


「なんて醜い…。悪魔とはこのような輩ばかりなのでしょうか? 皆さん、ひとまずリアナの情報を集めなさい。何としても探し出してください」


 甘っちょろい女ども。簡単に殺せるけど、今はおとなしくここにいることにするわ

 こいつらくらいなら簡単に殺せるもの

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