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蠢くは悪の意思13

 私達の目の前に落ちてきたレブロパルドの死体、ひどく損傷してて臭いも凄くて吐きそう

 その死体に寄り添うようにしてそのレブロパルドの子供、子猫が泣いている

 こんなひどいことをしたのは一体何かと上を見上げると、ぐちゃぐちゃと喰いちぎったレブロパルドの肉を咀嚼する得体のしれない化け物が木の上にいた

 なんておぞましくて、心が不安定になる姿なのかしら

 それにそいつはこっちを見ながら笑っているように見える。 気持ちが悪すぎるわ


「あんなの、知らない。 あんな魔物、この世界にはいないです!」


 アエトちゃんが震えながらそいつを見て叫ぶ

 この世界に、いない魔物? そんなのが何でこんなところに


「グジュルルルルルル」


 そいつはレブロパルドの血と自分の涎をたらしながら私達の前に落ちて来た

 得体のしれない力を感じて私まで足が震えて来る

 そんな中でもリィリアとフロレシアさんだけはしっかりと相手を見据えて武器を構えた


「この化け物では私の友愛の力は通じないようです。 リィリア、貴方は私の後ろへ。 ナリヤ、私と連携を! セリセリとライラは後方から支援をお願い! アエトはあの魔物の分析をして!」


 的確にフロレシアさんの指示が飛んたことでみんな気が引き締まった

 おびえている場合じゃない。 きっとこいつを野放しにしたらヤバいことになるわ


「あ、あれは…」


「そうです。 きっとあの時の」


 どうやらリィリアとライラ、それにセリセリはこの化け物に会った事があるみたい


「悪魔が生み出した怪物…。 まさかもう一体いるなんて」


 リィリアは前にこの化け物に出会ったときにその神力で吹き飛ばして倒したみたい。 それこそ粉々になったらしいんだけど

 それじゃぁこの化け物みたいなのが何体もいるってことなの!?


「とにかくこいつを倒さなきゃ先には進めないわ。 行くわよ!」


 フロレシアさんの合図で私はその動きに合わせて剣を振るった

 何とかフロレシアさんの動きについていけている。 それなのにその化け物は私達の攻撃を喰らっても平気な顔でただ不気味に笑っている

 底知れぬ恐怖を感じるわ


「ナリヤ、フロレシアさん、離れて!」


 リィリアの怒号が飛んだからすぐに化け物への攻撃をやめて離れるとリィリアが走ってその化け物のお腹に右手を触れさせた

 

「神力、“破滅の右手”!」


 これは元々リィリアが“悪魔の右手”と名付けてたんだけど、悪魔がこの世界に暗躍していることが分かったから名前を変えたみたい

 その右手が化け物に触れてるはずなんだけど、化け物は首をかしげているだけ

 嘘でしょう、リィリアの圧倒的な力まで効いていない?!


「そんな、私の一番強い力が…」


 リィリアはものすごくうろたえている

 前に倒せたはずのこの化け物に傷一つつけられないのが信じられないといった顔

 それは私やフロレシアさんも同じで、今まで培ってきた技術や技がいくら攻撃しても全く効果を成さないことに心を乱される


「ぶ、分析できました! それは、その人は、人間です!」


 人間? これが!?

 一体何をどうしたらこんな姿に…。 それに人間がリィリアの力を受けて平気なのもどういった理屈なのかわかんない

 それよりなにより、何でこいつは攻撃してこないの?

 まるで余裕と言わんばかりにケタケタと笑ってこっちを見ている


「に、逃げましょう! こんなの勝てる訳が!」


「ダメです! ここでこいつを野放しにすればもっと被害、がっ、え?」


 逃げようとするアエトやライラに叫んだリィリアのお腹から化け物の腕が生えている

 そこから滴り落ちる血…

 リィリアは化け物にお腹を貫かれていた


「いや! リィリアダメ!」


 化け物が腕を引き抜くと大きな穴が見え、リィリアの内臓が零れ落ちるのが分かった

 思わず込み上げた胃の中身をその辺りに吐き出し、リィリアが倒れて血だまりが広がるのを見ることしか出来なかった

 リィリアが、死んだ!?

 現実を受け止めれずにその場に立ち尽くしていると、ライラが必死に私の腕を引っ張った

 その直後に今私が立っていた場所に化け物の腕が伸びてきて地面に突き刺さった

 ライラが私を引っ張ってくれなかったら、そう思うと背筋が凍るような思いがしたわ

 倒れたリィリアはピクリとも動かない

 本当に、死んじゃったの?

 化け物は突然攻撃を激しく加えてき始め、リィリアを助けに行けない

 お願いだからリィリア、まだ死なないで! 微かにでも息があれば、ライラと私でなんとかできるはずなのに!

 化け物がそれをさせてくれない

 攻撃はどんどん激しくなって、リィリアから段々と引きはがされてしまう

 そうやってリィリアを助けれずにもやもやしていると、リィリアが微かに息をしているのが見えた

 よかった! まだ生きていてくれてる! 頑張ってリィリア! 絶対私が助けるから!

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