悪魔8
現在から一年前
さて、まずは生贄をたくさん用意しなくちゃね
これまでのテラーナイトメアは失敗続きだったけど、エスターのおかげで人間の生贄は驚くほど集まっているわ
これなら最高のテラーナイトメアができるはず、なんだけど、まずはならしとして普通のテラーナイトメアを作ってみましょうかね
私はエスターの用意した人間の男を選んでまぐわうと、悪魔の力を男に注ぎ込んだ
次にその男の目の前で家族を残虐に殺して見せた
特に二人いた娘は苦しめて苦しめて念入りに残虐に殺す
すると男からは憎悪を絶望の感情が沸き上がって来た
これでテラーナイトメアの土台が出来上がったわ。 あとはこの男に怨念のこもった魂を注ぎ込めば恐怖の象徴の出来上がり
怨念のこもった魂は同じ要領で家族を目の前で殺された人間の死してすぐの魂を使えばいい
ここには家族持ちの人間が大勢いる。 殺し放題
「フフ、貴方と、貴方、こっちへいらっしゃいな」
今度は母親と思われる二人の女性を部屋に呼んで私の力を注ぐ
その直後に夫と子供の手足をもいで見せた
苦しむ家族を目にした女性二人は発狂せんばかりに叫んでいる
「アハハ、もっともっと悲鳴を聞かせて頂戴」
さらに夫と子供を死なないように切り刻んでいたぶって殺してあげると、今にも食いつきそうな勢いで私を睨んだ
そのまま首を落として殺し、怨念が渦巻く魂を手に入れると男に注ぎ込んだ
「もう少しで完成かしら。 良い怨念だわ~フフッ」
男の姿がグチュグチュと変化して素敵でグロテスクな異形へ
私好みの化け物へ変わっていく
もう少し怨念を注げば心の弱い者ならば見ただけで死ぬテラーナイトメアに至るはず
まあ試しだからそこまで強い個体にはならないわね
選んだこの男も素材が大したことが無いし
「さてと、貴方の名前はそうね、ダニエルでいいわ。 ダニエル、そこの人間たちを殺しなさい」
「グジュジュルル」
口から大量の涎をたらしながら集められた人間を見るダニエル
ああ、何て可愛らしいの! 人間であった頃はそんな感情みじんも湧かなかったけど、ダニエルになってからは非常に魅力的だわ
悲鳴が聞こえる
人間たちは次々にダニエルに殺されてその魂を喰われて行っている。 良い子、いい子だわぁ
濡れてきちゃう
「そうそう、もっと残虐に殺すのよ。 その方が怨念が溜まりやすいからねえ」
私は手取り足取りダニエルに怨念を大量に得るための殺し方を教え、育っていく彼に歓喜した
それから数時間でその場にいた千人ほどの人間を殺しつくすと世にもおぞましい化け物として成長を遂げた
素晴らしいわぁ。 素材はよくなかったのに、なかなかの個体が出来上がったわね
これなら少し外を歩かせて人間の恐怖をいただくのも悪くないわ
私はまるでパーティーで殿方にエスコートされるようにダニエルに手を組んでもらい、一緒に他国へ行くことにしたわ
この国との関係を勇者とやらに悟られないためにもここから遠く離れた国がいいわ。 そういえば、唯一神を信仰している国があったわね。 神なんて崇めてる鼻持ちならない人間でも殺そうかしら
「そうね、メストローゼって国から行こうかしら。 そこから南下してティライミス聖国へ入って…。 聖女とかいうのがいたわね。 素材にちょうどいいかも」
まずはメストローゼという小国からね。 情報によるとここの勇者はつい最近死んだと聞くわ
それなら勇者とエンカウントする率も大幅に下がるし、守りの薄い国ってことで人間も気づかれずに殺せるかも
その後に二つ国をまたいでティライミス聖国へ侵入。 聖女を何人か攫って素材に
フフ、よだれが出てきちゃうわ。 女の子の悲鳴こそ私の大好物
体の底から感じさせてくれるものね
「ダニエル、飛ぶわよ。 私に掴まっていなさい」
ぐちょぐちょヌメヌメとした体がいい感触で、まるで人間の内臓を触っているかのよう
私の一番好きな感触
そういえば魔界にいた頃はよくエスターやキャリーと人間の内臓まみれになりながら愛し合っていたのを思い出したわ
その思い出だけで濡れてきちゃった。 早くあのバカ王との契約を終えて三柱で…
「あそこがメストローゼね。 貧相な国。 良さそうな魂もあまりなさそうね」
この国は作物の育ちも悪く、人々が飢えている
聖国からの支援はあるものの住人全てを賄えるほどではないらしいわ
それにしてもつくづく聖国は気に食わない。 善行ばかり積んで、輝く魂ばかりの国
眩しすぎて壊したくなる
ひとまずメストローゼに降りると近場にあった村に乗り込んで、ダニエルに皆殺しにさせたわ
貧弱な魂だけどダニエルの足しになれるだけありがたいと思ってもらわなくちゃね
ダニエルも心なしか喜んでいるように見えるわ。 殺しが好きなのね
素敵、素敵よダニエル
私はダニエルと共に殺しを楽しみながらティライミス聖国へと向かった