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蠢くは悪の意思7

 帝国の世界に対する宣戦布告、この出来事に各国の勇者も度肝を抜かれたように騒がしくなっていた

 帝国は確かに隙あらば他国を侵略しようともくろんでいた

 それでも、()()()()()()()()()()()は他国と友好関係を結ぶために奮闘していたって聞く

 それなのに、その女帝自らが宣戦布告!? 何が起きているの?


「姉様、一体どうして…」


 いつの間にか私の横に帝国の勇者フロレシアさんが立っていた


「あの」


「あら、ごめんなさい、確かあなたは聖国の」


「はい、ナリヤ・フランベルクです」


「私はフロレシア・デトロライト。 同じ新人同士仲良くしましょう」


 握手をしてくれるフロレシアさん。 彼女の雰囲気はなんというか、安心と優しさの塊って感じ

 初対面なのに親近感も湧いてくるくらい

 “友愛”の力かもしれないけど、それだけならこんなふんわりとした雰囲気は出せないと思う


「私が女帝ロクサーナの妹ってことは、知ってるわよね?」


「はい、今大変なことになっていますね」


「そう、そうなのよ。 お姉さま、なんで…。 お姉さまはいつも優しくて、お父様のような人間にはならないと言っていたのに…。 これではまるでお父様を見ているようだわ」


 確かにおかしいわね

 先代はとにかく戦争戦争、他国を攻め落とすことしか頭にないような男だった

 でも先代が逝去して今のロクサーナ陛下になってからは他国との友好に重きを置いて国の指針を決めていたはず

 それがここに来ていきなりの宣戦布告、以前映像を見たときと顔立ちもまるで違って、今は狂気じみている

 何かが、裏にいるのかもしれない


「確かに前の陛下と顔立ちが違いますね」


「ええ、まるで別人。 お姉さまであってお姉さまじゃない何者か…。 私がいなかったこの数ヵ月で一体何があったのかしら…。 ハッ! もしかして今のお姉さまは、操られている?」


 私もフロレシアさんと同じ考えに至った

 前に見た映像、あの時のロクサーナ陛下はもっと人当たりのよい優しい笑顔だった

 それがたった数ヵ月であそこまで変わるはずがない

 一体だれがロクサーナ陛下を操っているんだろう


「私は一旦帝国に戻りますが、ナリヤ、あなたも一緒に来てはいただけませんか?」


「へ? 私、ですか?」


「はい、貴方はあの最強勇者であるビアルゴさんをあそこまで追い詰めました。 潜在的な力は恐らく私よりも上の筈です」


「そんな、買いかぶりすぎです。 私はそんな強くないですよ」


「そう、でもね、本当に強い人は自分の弱さを知っている。 あなたはもっともっと強くなれる。 だからお願い、一緒に来て」


 その言葉は一人で勇者活動をしているフロレシアさんが本心から出した言葉だとわかった

 きっと身内である陛下が何者かに操られていることに不安で押しつぶされそうになっているんだ


「分かりました。 でも一度エリミーナさんと相談させてください」


「エリミーナ、貴方と共にいる聖女様ね。 分かったわ。 それまで私は待ってる」


「すぐに聞いてきます」


 私はそう言ってその場にフロレシアさんを残して走り、エリミーナ先輩のいる部屋へと駆け込んだ


「先輩!」


「何ですか? ナリヤ、少し落ち着きなさいな」


 エリミーナ先輩はどうやら瞑想をしてたみたい。 魔力が洗練されているのを感じる

 瞑想は自分の魔力の流れを感じ取って体中に充実させ、よりうまく魔力を扱い、魔法を行使するには絶好の修行方法


「あ、あの、実は先ほどフロレシアさんに会って、それでその、一緒に帝国に来て欲しいって言われて」


「大体の事情は分かったわ」


 さすがエリミーナ先輩。 私の言いたいことを先読みして感づいてくれる


「フロレシアさんは今不安なんだと思います。 身内、お姉さんが突然宣戦布告何てしたから」


「そうね、あの方はあんなことを言うような人物ではなかったはずよ。 普通に考えれば、操られていると見てまず間違いないわ」


 エリミーナ先輩はすでにその考えに行きついていたみたい

 やっぱりすごい人だなぁ先輩は


「ではナリヤ、行きましょう。 助けを必要とする方の元へ行くのがあなた達勇者です。 私も微力ながらお手伝いします」


「ありがとうエリミーナ先輩!」


 先輩に抱き着いてお礼を述べる

 そしてすぐにフロレシアさんの元へ戻った

 だけど、彼女は先ほどいた場所から移動したのか、いなくなっていた


「フロレシアさん、どこに行ったのかしら」


 しばらく城を探し回ったけど見当たらない

 どこかの部屋にいるのかな?

 ひとまず最初にいた場所に戻って待ってみることにした

 それから30分ほどたったころにフロレシアさんは戻って来た

 私の大好きな、あの子と一緒に!

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