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蠢くは悪の意思5

 カロさんたちとビアルゴさんの模擬戦が始まって闘技場は歓声と熱気に包まれてる

 こんな中私はこのあとソロでビアルゴさんに立ち向かわなきゃいけない

 緊張してお腹が…


「それじゃぁ行くっすよ! 炎纏い!」


「炎刃!」


「変化!」


 マドゥさんが足に炎を纏って、カロさんが炎の刃で翼を作り、リネハさんが剣に変化してカロさんの手に収まった


「いきなり全力で行かせてもらいますよ!」


 カロさんは炎の翼で空を飛びながらリネハさんが変化した剣でビアルゴさんを斬りつける

 模擬戦と言ってもそこは真剣に、カロさんたちは本気で挑んでいる

 ビアルゴさんの持つ武器は竹刀という刀を模した竹の武器

 いつも持っている神剣で戦えばカロさんたちを殺してしまいかねないからという配慮みたい

 それほどまでにビアルゴさんは強いの


「うむ、いい動きだ。 もう少し姿勢を低くした方がいい」


 本当にあっさりとカロさんの必殺の一撃を竹刀で防いだビアルゴさん

 

「これ、自信あったんだけどなぁ」


 カロさんはがっかりしてたけどすぐに立て直しながら次の攻撃へ移ろうと構えた

 それをじっと見ているビアルゴさんの背後からマドゥさんが猫のようにしなやかに忍び寄って蹴り上げる


「甘い」


 ほんの少し、最小限の動きだけで攻撃をかわし、その足を掴んで地面に叩きつけた


「ぐかっ!」


 背中を思いっきり地面に打ち付けたためにマドゥさんは呼吸ができなくなってるみたい


「どうした? すぐに立て! 本当の闘いならもう5度は死んでいるぞ!」


 ビアルゴさんの怒号に闘技場が震える。 これが現最強勇者。 私じゃ絶対敵いそうにない


「ま、まだまだバッチこいっすよ!」


 マドゥさんはジャンプして立ち上がるとさらに炎を体全体にまとわせた

 まるで炎の精霊イフリートのみたい


「レッドフルボディ!」


 炎がブーストのようになっているのか、マドゥさんのスピードが上がった

 それに合わせるようにカロさんも動く


「二爪、二連裂き!」


 マドゥさんの炎の爪、カロさんが剣であるリネハさんの刃に炎を宿らせた斬撃

 その二撃がビアルゴさんを襲う

 

 ガキンと闘技場中に金属音が響いて土煙が上がった

 ゆっくりと土煙が引いて行くと、ビアルゴさんは当たり前のように無傷でそこに立っていて、逆にカロさんたちがボロボロで倒れていた


「強くなったじゃないか。 俺に傷を負わせれるほどにな」


 無傷かと思ったビアルゴさんの肩にはちょっとした切り傷があった


「うう、やっぱりビアルゴさんは強いっす」


「うん、僕らももっと精進しなきゃね。 ビアルゴさん、あとでアドバイスしてもらえますか?」


「うんうん、俺ちゃんたち、もっともっと上を目指すよ!」


 三人ともさらに張り切っている

 すごいなぁ、私ももっと頑張らなくちゃ


「さて、試合も終わったから部屋に戻ろうっと」


「あら、次はあなたの番じゃなかったかしら?」


 う、このまま逃げようと思ったけど、先輩に掴まっちゃった

 腹をくくるしかなさそうね


「ナリヤ、がんばるっすよ!」


 マドゥさんたちに激励されながら私は闘技場へと降りた

 緊張で手が震えるけど、私はリィリアにプレゼントしてもらった剣と自分で買った剣を握る


「ナリヤ、その実力、俺に見せてくれ」


 ビアルゴさんは動かない

 なら先制攻撃を


「行きます! 亜空接撃!」


 間合いを詰めて二振りの剣を振りぬいた

 空間ごと切断するので避ける以外にこれから逃れる術はない

 でもやっぱり、ビアルゴさんは少し引いてこれを避けた

 この攻撃の間合いを正確に理解したみたいね


「大波状斬り!」


 今度は回転しながら斬りつけていく

 当然この攻撃も空間ごと斬ってるから少しでもかすればただじゃすまない


「ほほぉ、いい攻撃だが、まだまだ荒いな。 もう少し洗練されればちゃんとした技まで昇華できそうだぞ」


 そっか、これはまだ技だって認めてもらえてないってことね

 それならこれは?


「一双、大断災(だいだんざい)!」


 リィリアと一緒に練習した一撃必殺の技

 これにはみんなを守るために強くなりたいという思いが込められている

 空間を切り裂きつつ周囲の空気や魔力など、全てを切断し、何もかもを消し去る、一歩間違えばとても危険な力だけど、私はこれを気の遠くなるほど練習した

 まさに隠し玉


「ぐ、うお!」


 攻撃は届いた!

 届いちゃった!?

 ど、どうしよう! あんなもの人間に当てたら骨も残らず消し飛んじゃうじゃない!


「ぐ、今のは、君の全力だな? これはなんと、俺に剣を抜かせるとはな」


 私はほっとした

 ビアルゴさんの左手には愛剣が握られていて、それで私の攻撃を防いだみたい

 これがビアルゴさんの神剣セーヴァリーナ

 神々しく、うっすらと光るその剣に見惚れていると、その切っ先を首元に突き付けられた


「油断はいかんぞ?」


「あ、は、はい!」


 結果は当然負けだったけど、大健闘ということで闘技場が割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こった

 なんだかとっても恥ずかしいな

 その直後、速報がモニターに映し出される

 帝国が、全世界に宣戦布告をしたというとんでもないニュースが舞い込んだの

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