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悪魔2

 私は魔王を抱えあげるとしっかりと抱き締めて、魔王城と呼ばれる禍禍しい城から連れ去った

 きっとこの子は、私が守らなくちゃダメなんだ

 私を見つめるこの子は魔王カレアナ。 魔王なのに監禁され、ろくにご飯も与えられていなかったのかガリガリに痩せ細っていた

 年齢は8歳くらいの小さな女の子で、服は何だか見窄らしい

 勢いでカレアナをつれてきてしまったけど、これからどうするかなんて何も考えてない

 きっとキャリーやミザリーに話せば二人とも殺される

 かと言ってこの子を放置なんて出来なかった


「お姉ちゃんは、あたしの、新しい飼い主さん? あたし、ちゃんと、言うこと聞く、から、殺さ、ないで」


 なんて、何て悲しいことを言うんだろう

 私は涙が込み上げてくるのを押さえてカレアナをぎゅっと、そっと抱き締める

 こういうところが悪魔らしくないって言われる所以なんだろうけど、今はそんなことどうでもいい

 カレアナは不思議そうな顔で見つめている


「お姉ちゃんと一緒に行こう。 一緒に逃げるの!」


「逃げる? って、どういう、ことなの? あたしは、魔王だから、城で、魔物に力を、あげ続けないと、ご飯、貰えないんだよ?」


 やっぱり、この子は...


「大丈夫よカレアナちゃん、これからは沢山ご飯を食べさせてあげる。 それにきれいな服だって着せてあげるし、楽しいこともいっぱいさせてあげる! だから、一緒に行こう」


「ホント!? あたし、もうあんなことしなくていいの?」


 私が頷くとカレアナちゃんはやっと笑顔を見せてくれた

 何て可愛い笑顔なんだろう

 悪魔なのに私は子供の笑顔が好き。 平和が好き。 誰かが悲しむ顔何てみたくない

 そうだ、どうしてこんなことに早く気付かなかったんだろう。 私は、悪魔じゃないんだ

 いや、悪魔なんてやめればいい

 これからはこの子と二人で、平和に暮らそう。 それしかないって言うくらいにいいアイデア!


「カレアナちゃん、私と家族になろうよ。 これからは私がお姉ちゃん、カレアナちゃんが妹ってことで」


「家族? いいの? 私はグズでのろまで、役立たずだってシュライナさんが言ってた。 だからきっとお姉ちゃんにも迷惑かけちゃう」


 今にも泣き出しそうな顔のカレアナちゃんの笑いかける


「それがどうしたってのよ。 私だって同じ同じ。 ってことで、私の事はヨローナお姉ちゃんって呼びなさい! 私もカレアナって呼ぶから」


 するとカレアナは嬉しそうに私に抱きついた。 可哀想に、きっとこれまで愛を知らずに育ったんだ

 監禁されてたんだもん、これからはこの子にいっぱい愛を注ぐんだ

 私はカレアナと手を繋ぐと、城近くの茂みから飛び去った



 何てことデスか!

 あのバカヨローナが魔王を連れ去ったデス!

 見つけたら、ゆっくり拷問して後悔させてから殺して、魂を抜いたらそれも永遠に拷問してやるデス

 腹立たしい! 本当にイライラするデス!

 ワタクシはその辺りにいた人間の首を引っこ抜くと、別の人間に投げつけてミンチにしてやったデス

 ともかく早くヨローナのバカと魔王を見つけるデス

 魔王はまた監禁して、いかさず殺さず、もっとひどい目に合わせてやるデス

 それにしてもシュライナとかいう魔人は使えないやつデス

 お仕置きが必要デスね


「来たわよ、エスター」


 この声は!

 突然声がして振り向くと、わたくしの後ろに立っていたのはキャリーだったデス

 ミザリーにも会いたいデスけど、ミザリーは今新しいテラーナイトメアを作ってるから忙しいんデスよね

 でもキャリーに会えたから寂しくないデス


「またあのバカが、バカなことをやらかしたそうじゃない」


 さすがキャリーデス、情報が早いデス


「そうなんデスよ。 捕まえて永遠の牢獄で苦しめてやるデス」


「それはいいわね、皮をゆっくり剥いで、そうね、足から少しずつ切り落として…」


 キャリーとの拷問、それもまた楽しそうデス

 絶対捕まえて、私たちのオモチャにしてやるデス

 ヨローナめ、ワタクシ達を裏切るなんて許せないデス

 またイライラが込み上げてきたので、適当に人間の女を選んで拷問部屋へ

 男よりも女の方が高い声で鳴いてくれるから楽しいんデスよね

 これからこいつらで遊べると思うと、クヒヒヒ、よだれと笑いが、クヒヒヒ、ああ、今日はこいつらの悲鳴で絶頂するデス


「エスターもこれからお楽しみの時間なのね。 それじゃぁ顔も見れたし、私はヨローナを捕まえに行くわ」


「うん、ありがとうデス。 捕まえたら一緒に遊ぶデス」


 さて、キャリーも帰ったことだし、怯えるこいつらの相手でもするデス

 よだれを拭き取って、三人の女を引きずりながら拷問部屋へ入ると、扉を閉じたデス

 さぁ、お楽しみのの時間デスよ~

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