表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/155

聖乙女生まれる23

 まずミィ達四人の戦闘形態についてだが、ミィ、キィ、イィが持ち前の機動力を生かして攪乱。 相手がひるんだところをメイルが一撃必殺を撃ち込むといったものだ


「メイル」

「頼んだよ」

「よ!」


「まか、せて」


 私達は攪乱されるのを防ぐために背中合わせになる。 ミィ、キィ、イィはやはり素早く、目で捉え辛い

 それに立体的に動くため、それが余計に混乱させられる要因となっている


「ナリヤ、拘束できますか?」


「やってみる…。 生命育む植物たちよ、私に力を貸して! フルジュラルバインド!」


 辺り一帯に大量の草花が咲き乱れてミィ達を拘束しようと迫る。 しかしながら明らかに植物が広がるよりもはやい速度で彼女たちは逃れて行った

 しかも逃げつつしっかり植物の蔓をすぱすぱと切り裂きながらだ。 木剣の筈なのだが風魔法を纏わせることで切れ味を増している

 当然人間相手に使えばただでは済まない。 だが彼女たちもバカではないので、私達に攻撃するときは魔法を解除していた

 その攻撃も目で追えないほどに速いため避けることに神経を注いで反撃できない


「エアバレット!」


 セリセリの魔砲銃で空気の塊を撃ち続けてみるが、簡単に避けられている


「当たらないです~ セリセリは悔しいのです!」


 セリセリがもう一つ魔砲銃を取り出した


「ツインエアバレット!」


 まるでサブマシンガンのように空気の塊が撃ち出され始めた。 これは速い。 三人を捕らえることができるかもしれない


「う」

「これは」

「想定外」


 当たってはいないがスピードが落ちた


「今です! ナリヤ、いきますよ!」


「うん!」


「「合成魔法、アクアドーム!」」


 これは二人でやってみようと言っていた初歩合成魔法だ。 この合成魔法というものは上位魔法の位置づけに近いのだが、二人分の魔力、詠唱が必要だ。 だが、一人では危険な魔力操作が二人で出来るため、高威力の魔法が簡単に使えるようになるというメリットもある

 今私達が放ったのがアクアドームという拘束系の魔法だ


「まずい」

「あれはまずい」

「大丈夫避けれるわ」


 少し二人の位置がずれていたため三人供は拘束できなかったが、キィを捕まえることができた


「キィ」

「キィ」


 二人は少し慌てたが、すぐに立ち直してまたこちらを翻弄し始めた

 

「さっきよりも、速くなってる!?」


 なんという速さ…


「それはそうですよ。 彼女達の神力は“速度”。 一人が行動不能になる度にその速度を増していくのです」


 女神様、なかなかにとんでもない力を与えてますね。 今の速度、恐らく音速になっていますよ。 体に負担が


「その点は大丈夫です。 あの子たちの体には自動で魔力の膜が張られて体を保護していますから」


 なるほど、それで二人とも涼しい顔をしているのですか


「あなたなら見えていますでしょう? ほら、頑張って止めましょう!」


 確かに私の眼があればなんとか追えている。 だが、なんとかだ。 一瞬でも目をそらせばたちまち見失ってしまうだろう


「私が、二人を眼で追います。 ナリヤ、セリセリ、援護を。 これを使うと眼に負担が。 ライラは常時回復をお願いします」


「分かったわ」


「オッケーなのです!」


「はい!」


 私は眼を開眼して二人を見た。 その動きがゆっくりと見える


「右に40度!」


「エアバレット!」


 セリセリがミィの体に空気の塊をぶつけた


「やったのです!」


 これでミィも戦闘不能だ。 だがやはりイィの速度がさらに上がってしまった


「掴まらないよ! ミィとキィ二人分の速度が乗ってるからね!」


 どうやら一人になるとちゃんと話すようになるみたいだ。 だが今はそんな流暢なことを言っている場合ではない。 眼が痛い


「癒しよ、女神の祈りよ、顕現せよ! ヒールアップ!」


 ライラの回復魔法のおかげで眼の痛みが和らいだ。 これならば視える!


「下に15度!」


「トライスラッシュ!」


 ナリヤの三連撃が見事にイィを捕らえた


「やった!」


「シャドーキラー」


「うっ」


 喜んだナリヤをメイルの木刀が殴りとばした。 一撃で気絶。 これが本物の剣だったらと思うと恐ろしい

 ナリヤは戦闘不能となってしまったのだが、こちらはまだ三人残っている。 メイル一人なら


「油断はだめですわ。 あの子の神力は“怒り”仲間がやられると発動する一騎当千の力です」


 なるほど、この子たちは相性がいいと言うわけですね


「ええ、ほら、メイルが来ますよ」


「ぐぅううううう!! アアアアアア!!」


 怒りのスキルが頂点に達したメイルはまるで獣のように動き、予想外の攻撃を繰り出してきた。 ひっかき、超低姿勢からの蹴り上げ、地面を軽くえぐるような大振りの手刀。 しかもそのどれもが音速を超えている


「グルガァアアアア!」


 まるでバーサーカーのようだ。 その動きに対応するのが遅れ、セリセリが殴られて気絶する


「ライラ、私の後ろに」


 ライラをかばうようにして眼を開眼させたまま動きをとらえ続ける。 その間もライラは回復魔法で眼を回復し続けてくれる


「仕方ないですね。 まだやったことはないですが試してみましょう」


 魔法のための魔力を練る暇がない。 そのため私は先ほど思いついたとある攻撃を試してみることにした


「悪魔の右手!」


 手を地面に触れ、力を込めた。 途端に地面が砂となり、メイルを飲み込む


「グルァア!?」


 驚いたメイルは飛びのこうとするが、足が砂に埋まり抜け出せなくなった。 もがけばもがくほどに体は沈み込んでいく


「う、ぐぐ、動け、ない」


 完全に肩まで地面にめり込んでメイルを拘束した

 なかなかに苦戦したが、私達の勝利だ


「うう」

「まさか」

「負けるなんて」


「悔しい、です」


 ミィ、キィ、イィ、メイルは私達に敗北したので、街でアイスをおごってもらえることになった

 実はこの街にとてつもなく美味しいアイスがあるのだ。 名物と言ってもいいだろう


「リィリアさん」

「すごく強い」

「ですね」


「これなら」

「ナリヤ様を」

「任せられます」


 三人はどうやら私を認めてくれたようだ。 美味しいアイスをペロぺロと嘗めながら友情の握手をし、お互い高めあうことを誓った


 さて、タップ先生なのだが、私達の戦闘能力の高さに驚き褒めてくれた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ