終わりの始まり10 終話
最終回ですが…
別のに繋がる予定です
戦いは長期化が見込まれるだろう
なにせ白の分体の数は星の数、いや、世界の数ほど多い
白の分体をいちいち潰していたのではいくら時間があっても足りないだろう
とにかく分体ではなく本体を探さなければならない
しかしながらそれが一番難しい
なにせ白は本体である核を分体同士で移動させることができるのだ
どこにどの分体がいようがお構いなしに移動できるというのが彼女の強みである
つまり死にかけたときにどこかの分体に核を移動されれば元の木阿弥というわけだ
これほど厄介なことはない
核さえどうにかできればいいのだが
白を叩きなおして目を覚まさせるにしても分体では全く意味がないだろう
「まあ核は見つかり次第私が何とかするから、あなたはとにかく白の目を覚まさせるのに集中しなさい。あれの攻撃は全て私が受け止めるから。それと、ヨローナと言ったかしら? その子は力の女神よ。きっと他の神々が探しているだろうから、目が覚めたらこれを使いなさい」
「これは?」
「神々との通信用装置ってところかしら。だいぶ前にもらったんだけど、神々に用事なんてほぼないから忘れていたわ」
「ではありがたく使わせてもらうわね」
ヨローナは私に合流する前に死にかけの女神を一柱保護していた
その子は力の女神らしいのだが、相当なダメージを負ったのだろう、怪我が治った今も目を覚まさずずっとヨローナの背で眠っている
その表情は安らかで幸せな夢でも見ているのだろうか?
神々はその全てが兄弟姉妹であるという
この子も恐らくそうなのだろう
「う、ううん」
そんな話をしていると件の女神が目覚めたようだ
体は完全回復していたので時間の問題ではあったんだろう
「ここ、は? あなたたちは一体だれ?」
「目が覚めたようね、力の女神。全く、神とも有ろう者がそのような体たらくでどうするのですか」
「あなた誰よ。なんでたかだか鬼神程度にそんなこと言われなきゃ…。まって、兄様に聞いたことがある。神々よりもはるかに強くて全ての世界を裏から支える鬼神…。あなたがもしかして、絶桜鬼?」
「そう呼ばれるのも久しぶりだわ。なにせ長いこと戦いから退いていたから。あなた達がしっかりしないから仕方なくもう一度戦うことにしたのよ。まったく、私の子孫はうまく育てているんでしょうね?」
「は、はい! アマテラス姉様が育てているはずです」
「そう、まあこれからその子たちに会いに行くから、あなたはひとまず帰りなさい。ヨローナさっき渡した装置で連絡して」
「え? あ、そっか」
ヨローナは黒電話のようなものの受話器を耳に当ててどこかに通信を始めた
「あ、誰か出たみたい。はいこれ」
受話器を力の女神に渡すヨローナ
「あっと、えっと、兄様? うん、うんごめんなさい。でも私はもう大丈夫。え? アズリア姉様が!? うん、うん、あ、そうなの? よかった、それなら姉様はもう帰って来てるのね? ありがとう兄様。それで双子は? ・・・。そう、ならそっちは私が探す。あの二人のことだから無茶はしな…。いや、しそうね。特にサニアは。ええ、分かった。見つけたらまた連絡するわ」
受話器をヨローナに返すと力の女神はこちらに向き直る
「ねえお願い、私も連れて行って。あなた達が行く世界、私の妹たちがその世界の管理をしているの。何かわかるかも」
「いいけど、自分の身は自分で守りなさい。この世界には私の子孫もいるの。あの子達に迷惑はかけないで」
「分かってます。迷惑は絶対かけない」
サクラは力の女神にうなづくとついて来るようにと手を招いた
私達は連れ立ち次元を超える
「いい? 私の子孫は恐らくまだ私ほどの力には覚醒していないと思う。あの子達の力が覚醒するまではゆっくり待たせてもらうわ。白が狙ってるのはあなたなのだから、あなただけは私が守ってあげる」
サクラはそう言って私の胸に指をトントンと付きつける
守られるだけではだめだ。私自身も強くならなくては
それには黒の力を昔のように使いこなす必要がある
そう、ここから私の世界平和のための軌跡が始まるのだ