レヴァ4
サクラを探そうと思ったが、どう探すかが問題だった
彼女の力についてもわからず、どこにいるかもわからない
レヴァは再びライラの鎧に戻るとひとまずエイティアの匂いからサクラを辿ろうと思った
わずかだが次元を超えたときにその残り香が感じられたため、それを頼りにするしかなかった
「ライラ、そのまま進んで。多分いくつか壁を超えれば匂いが強くなると思うから、そしたら私の力で一気に近づけると思う」
「は、はい」
レヴァはライラに指示して次元の壁を越え、回廊に沿って進ませる
かなりの世界を超えたであろう彼女に追いつくためにとにかく急ぐ
こうしている間にも白は全てを消し去るために動いているだろう
レヴァは焦っていた
「あの、レヴァさん」
「なに?」
「リィリアはきっと抵抗しているはずです。白の思い通りになんてならない。私はそう思います」
「…。そう、そうよね。あの子は昔から強かったもの。私達が生まれてから、ずっと一緒だったんだもの、知ってる。だからこそ、あの子の弱さも私は知ってるの。あの子は今あなたたちが死んだと思っている。だからこそその心の隙間を白に奪われた。早く見せないと。私たちが生きてるってことを。そうすればきっとあの子は元に戻ってくれる」
レヴァの不安な気持ちがライラに伝わったのだが、レヴァは自らを奮い立たせるようにそう言った
「ねぇ、あなた達ってどういう関係なの?」
「私達は同じ黒の核から生まれた姉妹よ。そう、親友で、姉妹。あなたの着ているセブのみんなもそう。私達はみんな姉妹だから。白とは少し違う。あっちはそうね、クローンみたいなものかしら?」
「クローン?」
「そっか、あなた達の世界にはその言葉はないのね。 簡単に言えば同じ人間、全く同じ個性と姿を持った者たち。それが白よ」
「なるほど、じゃああの時私達を殺したのも」
「そうね、あれはただの一端に過ぎないからあれを倒したとしても本体に何の影響もないわ。私達と違ってね」
「それはいったい」
「私達黒は一人一人が核の力を分け与えられて、つまり核が分裂して生まれたの。その中でも中心を担ってるのがネイト、つまりリィリアね」
「じゃぁリィリアが死んじゃったら」
「ええ、多分私達全員が消える。でも白は恐らくネイトを消さない。だって白は黒を愛しているんだから」
「愛している?」
「ええ、正確には核であるネイトを愛している、かしら? ネイトが死ななきゃ私達は死なないけど、私達が死ねばネイトに少なからず影響がある。私達は皆繋がってるから」
話はそこで終わる
急に目の前に現れたボロボロの少女。彼女はこちらを見るや否や戦闘態勢を取った
「何よあんたら、なんでこんな、とこに…。くっ、なんとか逃げ切れたと、思った、のに」
少女はそういうとフラフラと倒れ、意識を失った
「この力、多分神の一人ね。恐らく白にやられたんだと思う。消滅しかかってるわ」
「助けないと!」
「だめよ、そんな暇はないわ。一刻も早くサクラってのに合流して一緒に戦ってもらわないと」
「ならあたしが連れていくわ。足手まといにはならない」
そう言ったのは悪魔のヨローナ。彼女は倒れたその女神を抱え上げてうなづいた
「わかった。でもその子が目覚めたときどうするの? あの様子じゃいきなり攻撃してきそうだし。そうじゃなくてももう消えかかってる。放っておいたら死ぬわよ」
「それならこうすればいいじゃない」
ヨローナは自分の力を分け与えた
それにより消滅は何とか免れたようだ
「こ、これでいいわ…。さ、行きましょ」
「自分の命を…。なんでそこまで」
「分からない。でもこの子は助けなきゃいけない気がするの。私の中の何かがそう訴えかけてる」
その時レヴァはヨローナの魂に重なる誰かを見た
その誰かが微笑み、大丈夫だとうなづいている
それが誰なのかは分からないが、不思議な安心感があった
「いいわ。行きましょう。急がないと」
「ええ」
ヨローナにその女神を任せて先を急ぐ
段々とサクラへと近づいているのか匂いが濃くなってきた