レヴァ3
最初に三人が訪れたのはあの白の少女が訪れたらしき小さな世界
恐らく人はもう滅んでいると考えられた
しかし白が来たにも関わらず消えていないことに、ライラの装備となったレヴァは驚いた
「ライラ、ちょっと調べたいからここに行って」
「は、はい」
鎧から聞こえるレヴァの声にこたえてライラ達は世界に降り立った
途端に周りを混在する多種族の兵に囲まれた
「え? ちょ、ちょっと何よこれ」
「待ってください、私達は」
すぐに弁解しようとしたが、兵たちは武器をこちらに向けたままだ
その武器も何やら不思議な力を感じ、レヴァはまたしても驚いた
「私が話すから、三人供少し下がって」
「分かった」
ライラの鎧から元の姿に戻るレヴァ
彼女は一歩前に出ると兵のリーダーらしき男に両手をあげて敵意がないことを示した
「お前たちは何だ? まさかサクラ様を襲った者の仲間ではあるまいな? 無駄だぞ。ここの兵は白に対抗できるよう鍛えられている。犠牲は多数出るだろうが、四人ならこの人数で倒せる」
「な!? 白を倒せる人間が、いるというの?」
レヴァはここに来てから驚き通しだった
「でも、だったら話は早いです。私達はその白と戦うため来たのです」
「…。確かに、お前たちから白のような邪悪な気配は感じない。しかしだからと言って我らの敵ではないとそう簡単に信じれるものではない」
「そうですか、では私にあなたの攻撃を受けさせてください」
「なに?」
「それで私達が敵でないことは分かるはずです」
「罠か?」
「だったら私の命が脅かされるようなことはしませんよ」
「分かった。だがいいんだな? もし君に少しでも悪意があるならばこの攻撃で消えるぞ?」
「構いません。私はその覚悟を常にしていますから。愛する姉妹を守るために」
「そうか、では行くぞ」
男は手に持つ特殊な刀を鞘に納めると、居合のように構えた
「全身全霊で行かせてもらう」
「はい!」
「究極なる善奥義、那由他」
するりと流れるように刀が抜けると、レヴァの胴をゆっくりと通り抜けた
そう見えたのだが、次の瞬間には男は刀を抜く前と同じ居合いの体勢から動いていないようだった
動いているのに動いていないという矛盾がそこに生まれている
しかし男の刀の軌跡はレヴァの体を通り抜けたままだ
「ふむ、全く悪意が無い。それどころか純粋そのもの…。まるで赤子のような純粋さだ」
「え、あれ? 私今確かに切られて」
「これは悪意のみを切り裂く攻撃だ。少しでも悪意があれば死ぬ。だが君は生きている。今までの非礼を詫びて歓迎しよう」
「あ、ありがとうございます!」
確かに斬られたその体に一切傷はなくレヴァもかなり驚いたが、兵は皆武装を解除して城の中に案内してくれた
「実を言うとこの世界を治めていたサクラ様はもういらっしゃらない。だが今はその一番弟子であったエイティア様が女王の座につかれておられる。気さくな方だが礼節だけは欠かさないでくれ」
「分かりました」
案内されたのはいきなりの玉座で、そこには少女とも見える女性がちょこんと王座に座っていた
レヴァは彼女から流れる大いなる善の力に驚き目を見開いた
「まさか、一世界の住人がこれほどまでの力を」
「えと、あの、あなたは?」
「エイティア様、この方たちはあの白を追っている方たちです」
「まぁ! ではサクラ様と同じなのですね!?」
「あの、そのサクラ様という方は一体何者なのですか?」
「はい、あの方は千年ほど前にこの世界に来て、争い続けていた全ての種族をあっという間にまとめ上げて平和な世界にしてくださった女王様です!」
嬉しそうにサクラについて話すエイティアだったが、レヴァはまったくと言っていいほどサクラという者に心当たりがない
白を単独で倒せるほどの実力者、それも一世界のただの鬼神程度がいたという事実
話を聞いたレヴァはまずそのサクラという人物に合流することに決めた