終わりの始まり5
天の神ラシュアは神々をまとめる役目を帯びている
どこにどの神がいるのかを大体把握しているが、大まかな場所までしかわからない
そのため全ての世界の管理をしているアカシックレコードのパリケルと協力して神々の居場所を正確に把握していた
電子の神マキナは今現在神々の集まる神界にいるようだ
彼女は時折パリケルの元へ来ては手伝いをしているため大体は神界かこの場にいることが多い
ラシュアはすぐに回廊を抜けてマキナの元へと急いだ
「マキナ、聞こえていますか?」
「聞こえてるよん兄様」
「少し頼みたいことがあります。それとエイシャが…」
「分かってるよん兄様。でもあの子ならきっと大丈夫だよん。あの悪夢を乗り越えた子だから」
「ええ、ええそうですね」
ラシュアには全ての神々の状況が分かる
彼女の力を感じないということは彼女はもう消滅したということなのだろう
ラシュアはそれが分かったからこそマキナの言葉を肯定した
もちろんそんなことはマキナにもわかっている
でも二人は信じたかった
エイシャという愛する妹神の帰還を願う
「これに神力を注げばいいの?」
「ええ、頼みます」
「分かったよん」
マキナは装置に神力を注ぐとラシュアに返す
「兄様、アズリア姉様が」
「彼女は特にエイシャを可愛がっていましたからね」
「エイシャを探しに行ったんだと思うんだよん」
「まぁあの子にはプリシラが付いています。想像の女神である彼女なら大丈夫でしょう」
力の女神エイシャを探し飛び出した愛の女神アズリア、その彼女について行ったのは想像したものを創造する想像の女神プリシラ
プリシラは新参の女神でありながら協力無比な力を持つ
この世界の中でならほぼどんなことでも出来ると言っていい
「では私は行きます。最後に一つ、マキナ、今起こる異変をどう見ますか?」
「前と同じか、それ以上の何かが動いてるとは思うよん。私の監視用ドローンたちにも映らない何か」
「やはりそうですか。メルカさんからもそのように言われました。あの種蒔く者の血統である彼女なら何か分かると思ったのですが」
「とにかく引き続きパリケルちゃんと調べるからこっちは任せてよん」
「ええ、頼みます」
ラシュアは装置を手に神界を出ると回廊を通って異変への手掛かりを探すため旅立った
その後ろをパリケルから遣わされた闇人の一人であるミヤを連れ立っている
「これは他の神々には任せれませんからね。あまりにも危険すぎる。ミヤさん、危険が迫った時は私を置いて逃げてください」
「そ、そうはいきません。貴方を守るように言われています」
「しかしですね」
「そういうと思ったから俺がついてきたわけだが?」
「げっ! 何故あなたがいるんですかシンガ!」
「俺がそいつを守るからお前は集中しろ」
「まったく、仕方ないですね。ミヤさん、彼についていれば大丈夫だと思います」
「は、はぁ」
シンガは消滅の神
世界に危険を及ぼす者、または世界そのものを消滅させる神
その力は強力だ
三柱はそのまま連れ立って異変の調査へと乗り出した
白の少女は笑いながら世界を消すため中心となっている世界の根源、原初がいた場所へと進んでいた
原初はすでにいない
かつて全てを守るため自分を犠牲にしたメルカの母親
原初のいた根源でネイトの力を爆発させるつもりなのだ
「アハハハハ!! ねぇネイト! もうすぐ、もうすぐよ!」
世界を消滅させつつ根源を目指す
白の少女の笑い声が世界に響いた