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終わりの始まり3

 白の気配や力を認識できるのは白自体と私達黒のみ

 私達白と黒は元々同じモノだった

 記憶はないけれど感覚でわかる

 何故私達はこうも道を違えたのだろうか


「白の居場所がもう近い。黒は…。もうほとんど残っていないのか。レヴァ、私が不甲斐ないばかりに」


 私が来たのは次元をはるかに下へ下へと下がったかつて深淵と呼ばれた場所

 今はびこる人間と呼ばれる種族はここへアクセスすることで驚異的な力を得る者がいるらしい

 しかしながら力は人間を飲み込む

 心が壊れ、別の何かへと変化する者が多い

 今ではもう深淵を覗ける者は少なくなったみたいだけれど、それでも世界には数百人ほど確認できる

 彼らは唯一私達にダメージを与えられる存在。でもほとんどの心が壊れ、ただの化け物に成り下がっていた

 それにそのダメージも、擦り傷や打ち身程度であまりにも弱い

 彼らでは白と戦うには力不足

 私は誰にも頼ることなんてできない

 一人で戦うしかないんだ


 私は深淵へたどり着いた

 無が支配し、何もかもを消し去るこの世界で私達は生まれた

 無の反存在として、有として生まれた白と黒

 その世界の中心に白の根源、核と呼ばれるものがあった

 これこそが白の本体であり、私達黒の核と違って常に深淵と繋がっている

 それ故に白は多くの眷属を作り出して世界に解き放った

 それが私達黒と、この白との大きな違い

 黒の眷属は数人なのに対して、白は深淵から力を得ているため非常に数が多い

 私と同程度か、それ以上の力を持った存在が数千人もいると考えなければならない

 一人では絶対に勝てない

 でも私には秘策があった

 それはこの深淵の力を吸収して私自身が力を得ること

 大きな力を得て白自体を消し去るんだ

 私という存在はそれで消え去ってしまうだろうけど、それでいい

 全ての世界が白の脅威から守れるんだからそれでいいんだ

 覚悟を決めて中心部、白の核のすぐそばまで来ると深淵にアクセスした

 力を一気に吸収する


「くっ、許容量オーバー、最大出力を、限界を越えなければ…。深淵よ、私に、全てを超える力を…。もう誰も苦しまない世界に」

「そうはさせないっての!」


 声がした

 そっちを見るとあの白の少女がいた


「あなたは、私が殺したはず」

「あたしらは複数いるのよ。もちろん記憶も共有してる。フフ、あんたのお友達みーんな殺しちゃったから、あんたは今感情を制御できてない。だからもっと心を乱せば、あんたはあたしたちのものになるのよ」

「そんな馬鹿なこと」

「あんたはもうあたしのもの!」


 彼女は私にあの時の記憶を見せた

 大好きだった、大切な人達が無残にも殺されていく様子、拷問されて苦しみもがいて死ぬ様子

 それが私の頭をかき乱す


「あああああ!! やめ、て! もうやめ…」

「ほらほら、もっと見なさいよ」


 楽しそうに笑う白の少女

 私の中で悲しみと怒り、憎しみが渦巻いて目の前の白を殺そうと感情を爆発させる


「ほら、もう少し、あと少し、私のものになりなさい! ネイト!」


 感情の渦が私を包み込んで、何もかもが分からなくなる

 全ての負の感情が私の心を支配して、そこに白がなだれ込んできた

 白に塗りつぶされた私は、彼女の言うことを聞く人形へとなり果てた


「ふふ、アハハハハハハ! ようやく手にいれた! 黒の核! これで、全て壊せる!」


 誰も気づかなかった

 ネイト自身も

 黒の核は彼女自身だったということに

 それ故に彼女は不滅で、ずっと白に狙われていた


「全く手間をかけさせてくれちゃって。数億年もの間お前を見つけるのにどれだけ苦労したことか…。さぁネイト、私と一緒に、全て全て全部壊しましょう」


 ネイトはコクリとうなづいて白の少女の後をついていく

 白の少女は大笑いしながら再び世界を壊すために動き始めた

 今の彼女には大いなる深淵から力を得たネイトという強力な兵器がある

 世界全てが破壊しつくされるのも時間の問題だった

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