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レヴァ1

 ウゾウゾと蠢く肉片

 壁に叩きつけられて絶命はしたものの、一度死んだからと言って大本が無事なラバ何度でも再生するのが白と黒の特徴だった

 それはレヴァとて同じこと

 彼女は破損の激しい体を再生させるのに時間がかかっていたが、それでも何とか元に戻ることができた


「ネイト、ネイト…。私のせいで…。私があいつに気づかなかったから、ネイトが大切にしていた者を壊された。ごめんね、ごめんねネイト」


 自分の周囲に死屍累々と積みあがったリィリアの大切な者たちの死体

 それらを見てネイトはうなだれる

 

「でも、魂の保護はできた。魂さえ残ってればいくらでも復活させる方法はある。まずはそこからね。ネイト、待ってて。あなたが悲しむのは見たくない。絶対に私が悲しいなんて感情を消し去ってあげるから」


 レヴァは死にながらも殺された者たちの魂を自らの力で守り切っていた

 白には一見魂ごと消滅したように見えていたが、すんでのところでばれないように回収していたレヴァ

 彼女が一番いやなことは親友だったネイトが悲しむこと

 必死に、潰れへしゃげたその体で力を使っていた


「あなた達、もう少し我慢してね。窮屈だろうけど、私の中にいれば安全だから」


 レヴァはその持っていた魂をそっと自分の魂で覆って保護する

 白はどうやらこの世界からもう去ったことを確認すると、レヴァはネイトが、リィリアが大切にしていた者たちの死体をかき集めて異空間に収納した


「これで良しっと。全部この場所で殺されたのが幸いかな? 一片も残さず回収できたもの。待っててネイト。この子たちは私が必ず復活させるから」


 レヴァはその場から消え、この世界のどこか安全そうな、力の流れが多い場所へと移動してまずは死した者たちの体の再生を始めた

 頭の潰れた者は首元から、首を切られた者はつけ直し、二人一緒に潰れた者たちは引きはがして骨格と内臓形成を

 それらが恐るべきスピードで行なわれる

 数分後には秘神、混沌を含めて彼ら全ての体が元通り再生を果たした

 その体に保護していた魂を縫い合わせていく


「一人目。あなたはネイトの指針だった人。リィリアとして生きたネイトが尊敬し、敬愛していた人」


 復活したのは聖王と呼ばれる老人

 彼は自分の体を見て驚いている

 実を言うと彼の体は既に不治の病に犯されていた

 それすらもきれいに完治しており、体の調子もここ数十年で一番いいほどだ


「これは一体? 私は殺されたはず、ですが?」

「黙ってて。そこに大人しく座っててね。他の人も元に戻すから」

「は、はい」


 レヴァの気迫に押されて聖王はたじろいでおとなしく下がり、奥に座り込んだ

 そして驚くべき光景を見る

 ぐしゃぐしゃになった死体が、潰れ切った死体が、肉片が、彼女の手によって建設され、縫い合わされ、傷口を綺麗に消されてまっさらな状態でその場に置かれていく

 人形のように魂のない死体たちは、彼女によって魂を再び入れられて息を吹き返した

 それぞれ反応もまちまちだったが、一応に驚きつつも彼女の作業に目を奪われていた


「これで、最後」


 最後に復活させられたのは、リィリアの一番大切な者たち

 

「なんで? 私達確か、殺さ…、うぶっ、うげぇえ、ゲホゲホッ」


 自分と、友人たちが無残に殺されたことを思い出し、ストレスで吐しゃ物をまき散らすナリヤ

 しかしながらもすぐに立ち直って周りを見る

 そこには親しい顔、見知った顔が戸惑いながらもこちらを見ていた


「これって一体どういうことなの? 私達死んだんじゃ? ここが天国?」

「違う。あなたたちは私のネイトが大切にしてた人達。だからあの子が悲しまないよう復活させた。お願い、協力して」

「協力?」


 得体のしれない真っ黒な少女からの突然の頼みに彼らは一様に困惑したが、その思いは一つになっていた

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