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咲き誇るは惡の華12

 コルティさんとフェイさんは仲のいい姉弟で、少し暴走気味のコルティさんをフェイさんがなだめる姿は微笑ましいものがある

 それにしてもエルフはすごいな

 常に精霊が周りについていてこちらまでその力の流れによって体の調子が良くなってくる

 精霊は普通人の目には見えないが、私達聖国の人間や、エルフなど自然に敬意を払える者の前には姿を現してくれるらしい

 時折私の周りにも来て手を握ったり服の裾を引っ張たりと、ちょっとした可愛らしい悪戯をしてくる

 その光景にも癒されるな

 

「ふーむ、特に魔力の乱れなども見つからないし、精霊さんも騒いでいないみたいね。この辺りにはその人影は来ていないようよ」

「そうですか、では次の場所への案内をお願いします」

「分かったわ。それにしてもリィリアちゃん、よく似合ってるわぁ」

「あ、あはは」


 コルティさんがくれた服はデザインも可愛らしいし、何より動きやすい

 私も嬉しいのだが、今までパンツの見えそうなほどミニのスカートなどはいたことが無いので若干戸惑っている

 そう言えばナリヤはこのくらいのスカートをよく履いているな

 少し前も履いていたし…。あれでは戦闘中見えそうでひやひやするが、ナリヤは動きやすさ重視だと言っていた

 うーむ、そう考えるとこの方が理にかなっているのかもしれない

 

「ハイ次はここよ。ファルメシアの泉って言ってね。精霊さんたちの憩いの場…。何かしらこの穴は」


 コルティさんが案内してくれたのは美しい泉で、精霊たちが飛び回って非常に心休まる場所だ

 だがその泉の横に、ぽっかりと穴が開いていた


「ふむふむ、なるほど、え? そう、東に…。ではこの国に? 分からない? そう、ですか」


 何やらコルティさんが精霊と話し込んでいる

 私では精霊の言葉は分からないが、彼女のような森エルフは精霊の言葉を生まれたころから知っているらしい

 そう言えばエルフと言うのは妖精の一種だと聞いたことがある

 妖精は精霊との親和性も高い

 エルフもそうなのだろうな。羨ましい


「えっとね、精霊さんたちが言うにはここに二年ほど前一人の少女が落ちて来たらしいの。その時その子は特に精霊に危害を加えるでもなく東の方へゆっくり歩いて行ったそうよ」

「東ですか。そちらには何がありますか?」

「そうねぇ、少し進むとダークエルフの住むセリエリアの森、闇の精霊の多い場所ね。それからさらに先に行くとドーラント王国かしら。人間族の国だけど、エルフやダークエルフも住んでるから、どちらかというとエルフ系統の種族が多いわね。ハーフエルフも多いわ」

「なるほど、では私達はそちらに向かってみます」

「あら、私達も行くわよ? あっちのダークエルフには友達もいるから、話も付けてあげるわ」

「え、でも、そこまでしてもらうわけには」

「いいのいいの、リィリアちゃんの可愛さをダークエルフたちにも見せたいし」


 ダークエルフはなぜか女性だけしか生まれず、子孫を残すにはどうしても人間などの他種族と混ざる必要があるのだが、生まれる子は必ずダークエルフになると言う

 珍しい闇の精霊との親和性が高いので、攻撃魔法に優れている

 確かに、聖国にいるダークエルフも女性しか見ていないな


 私達はそのままダークエルフの住むセリエリアの森へ向かった


「あ、ちょっと私達、クレハルド様に報告だけしてくるわ。この道を真っ直ぐ行けばいいから、先に行ってて。一応伝書鳥に手紙をつけて送っておいたから、すぐに分かってもらえるはずよ」

「はい、ではあちらで待っていますね」


 私とレニさんは一旦二人と別れ、道を真っ直ぐ歩き始めた

 この時私がもっと回りに気を張っていれば、あのような悲劇は防げていたかもしれない


 道を歩いてしばらくのことだった

 急激に何かの力が膨れ上がる気配がして、突如目の前に一つ目の少女が現れた

 モノアイ族? サイクロプスにしては小さすぎる

 そんなことを思っていたからか反応が遅れ、気づくと私を守るように前に出ていたレニさんが、その少女一瞬にして消し飛ばされ、婚約指輪のついた指の一部だけが地面にポトリと落ちた

 そしてレニさんを消したその力は、私の右腕をも消し飛ばしており、傷口から大量の血が溢れ出る


「レニ、さん?」


 分かっている。恐らく彼女は分が死んだということもわからないまま死んだのだ

 体を消し飛ばされたのだ、助かるはずがない

 黒い、黒い黒い黒い黒い黒い気持ち気持ちががが私私私を塗り

 視界が、暗い

 頭が痛い

 塗りつぶされる。私が

 私が何かに変わる

 暗い視界の中一つ目の少女の目が驚愕に見開かれ、私の手でその命が刈り取られるのが分かった

 あれ? 私は、なぜこんな

 何もかもが分からなくなる

 誰かの声が聞こえるが、遠い

 意識が閉じ込められていく

 その心地よさに体を委ね、完全に意識が途絶えた

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