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咲き誇るは惡の華1

 国に帰ってすぐに聖王様とレニさんに報告した

 今までのことを事細かに説明した後はやはりヨローナが聖国に住むことを聖王様は許してくださった

 彼女から邪悪はまったく感じられないと言うのもあったし、何より民を守る心を感じたからだそうだ

 それに、元魔人と魔王の二人を面倒見てくれるのでこちらとしても助かりそうだ

 アエトはともかくカレアナはまだまだ子供だしな

 それに、あの子たちはもはや家族と言ってもいいほどに仲がいい。家族は一緒にいるものだ

 とりあえずは聖王様が家を用意してくれたのでそこに住むことになった

 ただまた敵が攻めてきたりしたときなど、有事の際はヨローナが協力、もとい民を守ることを条件に住めるということらしい

 まあ無事彼女たちを受け入れてくれたのはよかった

 ヨローナも平和に暮らせるということで非常に喜んでいるし、早速アエトとカレアナに会いに行ったようだ

 嬉しそうにスキップしながら走っていくヨローナを見て聖王様も微笑んでいる


「ありがとうございます聖王様、ヨローナを受け入れて下さって」

「実質あの子は何もしていないのでしょう? それに、あのように無邪気なあの子たちを見ていたら、とても悪魔や魔人とは思えません。あの子たちが純粋なまま暮らしていけるよう、私達も頑張りましょう」


 レニさんもそう言って微笑んでいた

 ナリヤと顔を見合わせて私も笑う

 その時私達が話していた部屋の扉が叩かれ、一人の聖女が入って来た

 彼女は獣人族の住まう国バルガー王国にて活動中の聖女アス・マルガータで、バルガー王国で行方不明となっていた王女の捜索のため、聖国への入国を求めていると報告に来たようだ


「それでですね、あのですね、私のお友達のセッディ第二王女がですね、非常にお姉さんであるセラル第一王女様を心配なさっていまして、直接この国に来られているのです」

「そうですか、分かりました。こちらとしてもそれは心配ですので捜索のお手伝いをしましょう」

「分かりましたです聖王様! そう伝えてまいりますです!」


 しばらくするとその第二王女様、セッディ王女様とその家臣を連れてアスが戻って来た

 セッディ王女はきりっとした美少女で、気の強そうな感じだ

 金色の少し巻いた髪に金色の目、尾はふさふさしている。動きやすそうなドレスが活発な印象を与えていた

 その少女は開口一番


「余はバルガー王国第二王女セッディである! 頭が高いぞー!」


 と言い放った

 かなり、わがままに育っているのだろうか、いきなり私の膝に座ってふんぞり返った


「あ、あの、セッディ王女、痛いのですが」

「ふん、余に座られること光栄に思うがいい! お前を余の椅子として任命するぞ!」

「ひ、姫、その方は聖女ですぞ。聖女に身分は通用しませぬ」

「そんなの関係ない! 余はやりたいことをやるのだ! それこそ余のアイデンティティ!」


 う、かなり我の強そうな娘だ…。私の苦手なタイプかもしれない


「ともかく! 優しいお姉さまが余の前から黙って消えるはずがないのだ! きっと何かあって…。もしかしたら囚われているのかもしれないのだ! いなくなる直前聖国方面に向かう姿が目撃されているのだ。きっとこの国にいるはずなのだ!」

「でもそれは数年も前の話ですぞ姫。それに聖国は既に探しつくしたではありませぬか!」

「でも、でも、余の勘がここにおると告げているのだ! 絶対この国にいるのだぁ!」

「申し訳ありませぬ聖王殿。姫はこの通り一度言いだすと聞かないたちでして、王もほとほと困り果てているのです。まあ満足すれば終わりますので、ここはどうか一つ、お力添えを」

「分かりました。リィリア、疲れているところ悪いのですが、王女様のことをお願いできますか?」

「それはもちろん…。ですが私でよいのでしょうか?」

「聖女が付いてくれるのならば心強いですぞ! こちらからよろしくお願いしたいです!」

「あ、私は聖女ではないのです。正しくはハイプリエステス見習いでして」

「何と! 余計に心強いではないですか! では、レニ様の後継者と言うことなのですかな?」

「ええ、そうなりますね」


 これからこのわがまま姫様と行動を共にしなければならないのか

 幸いナリヤとライラもついて来てくれるので心強い

 だが、気になるのはその第一王女様のことだ

 セラル第一王女…。セラル…。獣人の王女

 セラルという名前の獣人に聞き覚えがある

 もう少しで思い出せそうなんだが、出てこないのがもどかしい


「それって、ガネルン村の村長の女性ではありませんか?」


 ここで女神様の助け舟が出た

 そうだ、魔物に滅ぼされ、そこで記憶喪失だった女性、それがセラルさんだ

 彼女を助けてくれた前村長は魔物に殺されたそうで、セラルさんが村人に臨まれて次の村長になったのだ

 記憶は戻らず、自分の名前以外は覚えていない彼女

 もしかして、彼女こそが第一王女なのではないだろうか?

 あの時どことなく高貴な雰囲気を纏っていたのは見間違いではなかったのかもしれない


「あの、王女様、一つ私に心当たりがあるのですが」

「本当か!? すぐにそこに連れて行くのだ!」


 ふむ、そこにしか心当たりはないのでそこに行くしかない

 私達は旅支度、と言っても村までそこまでかからないので二日分の支度をして再び旅立った

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