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蠢くは悪の意思31

 驚いた。まさかかの悪魔と件の魔王が一緒に行動してた上に、他の悪魔から逃げていただなんて

 それにこの二人、どうにも悪い子に見えないし、素直だし、魔王は可愛いし…

 話しを聞けば聞くほど守ってあげたくなるような…。魔王はそんな子だった

 魔力は見るからに高いし、魔法もある程度使えるみたいね

 ただ、可愛そうなことにもう一人だけ残った、エスターとかいう悪魔に恐怖を植え付けられたせいで常に震えてる

 だからまずはリィリアがその恐怖を取り除いてあげることから始まった

 リィリアは“忘却”って言う神力を使えるらしいわ

 ホントこの子って万能よね…。女神様に祝福されてるんじゃないかしら

 もしそうなら、私なんかが聖国の勇者でよかったのかな?


「よし、恐怖は全て取り除けました。どうですかカレアナちゃん」

「ん、あ、あれ? みんなのことが普通に見える。お姉ちゃんも!」

「どうやら成功みたいね。さすがリィリアだわ」

「もしまだ何か変なら言って下さい」

「うん! ありがとう!」

「それでヨローナさん、あなたは悪魔、なんですよね? 本当に、悪魔なんですか?」

「え、ええ、確かに私は悪魔だけど、もともとは人間だったの」


 驚いた。本当に悪魔には人間を悪魔に変えてしまう力があるってことになるじゃない

 ヨローナさんは見た目は15~16歳くらいで優しい顔をした美少女。人間として死んだ時がそのくらいの年齢で、悪魔に魂を売って願いを叶えてもらったそうだ

 その願いも、純粋なものだった

 彼女が人間の頃、両親とたくさんの兄、姉、弟、妹たちと暮らしていて、その丁度真ん中だったらしい

 両親、兄姉の言うことはよく聞き、弟妹たちの面倒を見るのが好きだった

 でも、突然の世界大恐慌というものに襲われて暮らすに暮らせない状況になった

 誰かを口減らしするしかないという両親の話を偶然にも聞いてしまった彼女は、たまたま落ちていた悪魔召喚の本によって悪魔を召喚

 自分の魂をささげる代わりに家族みんなを幸せにしてほしいと願った

 それにより家族は飢えることなく、次第に経済的にも楽になったおかげでヨローナの願いはちゃんとかなった

 そのかわりに、ヨローナは悪魔に魂を抜かれて死んだ

 その後魔界に連れていかれた彼女は爵位を持つ悪魔という力ある悪魔たちにその魂の純粋さを気に入られ、魔を注ぎ込まれて悪魔へと転生したそうなの

 悪魔になりたくてなったわけじゃないのね

 普通は悪魔に転生するとそれまでの記憶は消えちゃうんだけど、ヨローナさんはなぜかそうはならなかった

 だから、人間を殺すことも不幸にすることもできない彼女は他の悪魔からいつもひどい仕打ちを受けてたみたい

 彼女が話を終えると一同黙り込んでしまった

 

「どうでしょうリィリア、敵対する気も誰かに危害を加える気配もないですし、この子たちはこのままあなたが保護観察すると言うのは」

「わ、私が、ですか?」

「ええ、適材適所だと思うのですが? アエトのこともありましたし」

「分かりました。彼女たちは私が責任を持って監視します」

「じゃ、じゃあ!」

「ええ、あなた達二人にはこのリィリアについていてもらいますが、おおむね自由に過ごしてもらって構いませんよ。アエトと同じように」

「あ、あの、ありがとう、ございます」


 感極まっているのか、ヨローナさんは涙を目に浮かべてお礼を述べていた

 ひとまず、悪魔と魔王の亡命事件は幕を下ろしたけど、最後の問題が残ってる

 ヨローナさんが言うには悪魔はもう一体残っているらしい

 それも今まで戦った二人の悪魔とは比べ物にならないほどの力を持った中位の悪魔が…

 それはこの世界始まって二度目の大災厄みたいで、聖国は世界各国にそれにまつわる声明を発表

 もしその悪魔を見つけた場合無理に戦ったりせず必ず聖国に連絡してから逃げるよう通告が行った

 子供と大人の姿を使い分けれるので子供と甘く見ないことという注意も同時に出されたらしい


「ではその悪魔さえ倒せば脅威は去るのですね?」

「だと、思う。でも、もしこの世界を覆ってるっていう結界が弱まってるとしたら、それは悪魔が自由に来れるようになってるってことなんじゃないかしら…。リィリア、貴方が殺した二人の悪魔、彼女たちは完全には死んでいないから、戻ってきて復讐するかも。悪魔って言うのはね、心? いえ、精神かしら…。魂と言ってもいい。とにかくそれが破壊されない限り死なないの。肉体を破壊しても魔界に戻るだけ」

「なるほど、胸に留めて警戒しておきます」


 そっか、悪魔ってしぶといのね。でも魂を破壊しなきゃ死なないなんて、そんなのどうやって倒せばいいのよ

 少し不安を覚えながらも私は勇者としての役目を果たすためにエスターを探す旅に出ることにした

 聖女であるエリミーナ先輩には危ないのでこの国に残ってもらい、代わりに悪魔と戦える私とリィリア、そしてヨローナさんと一緒に行くことに

 カレアナはアエトが見てると言ったらヨローナさんは安心したみたい

 本当にヨローナさんはこの二人を自分の妹のように思っているのね

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