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推しからの愛が強い件  作者: しゃのあーる
あなたとこれから
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未知の味

「お嬢様方♪振ってくれるとメイドちゃんが喜んじゃう光る猫じゃらしはいかがですかにゃ?」


注文し終えてアニソンの流れる店内でAYAMIと他愛もない話をしていれば、手持ちカゴにみっちりと詰まったサイリウムを売りに来るメイドちゃん。

よくわかっていなさそうなAYAMIを置いといてサイリウムを2本購入。

ほい、と1本渡せばAYAMIが私の顔とサイリウムを交互に見た。


「自分で振ったことってないでしょ?」

ニヤニヤとAYAMIに笑いかければ、整ったAYAMIが唇を不満げに尖らせる。

「私だって、サイリウムくらい振ったこと…ないです…」

負けず嫌いなのか言い返そうとしてきたが、どんどん自信なさげに言葉はしりつぼみになっていく。

うるうるリップが塗られている唇がツンとしているのが可愛くて意地悪したくなる。


「ソロになってから…今度のライブが初なのでサイリウム振ってもらえるか心配です…」

聞いていれば、半年くらい前まで地下アイドルグループに所属していたらしいが諸々の事情でそのアイドルグループは解散。

ソロでネット配信を中心に活動してきたという。

「大丈夫、誰も振らなくても私が振ります」

俯き相変わらず唇を尖らせていたAYAMIが少し驚いたように私を見る。

「何色がいい?」

彼女の丸い瞳の中に私が映り込む。

イメージカラーでいえば白っぽいけど、緑とか青も良さそう。

ヘラっと笑いかければAYAMIは俯いてしまい、ぽそぽそと何かを言っていた。


「お嬢様方、お待たせ致しました~!」


少し微妙になってしまった空気を変えてくれるように食事を運んできてくれたメイドちゃん。

オムライスにその子が得意だという猫のイラストを書いてもらい、3人でチェキを撮った。


「わぁ!すごい!可愛いです!」

AYAMIは自分の前に置かれたユニコーンパフェを見て、その見た目の可愛さに感激していた。

メニューに載っていた写真と寸分違わないパステルピンクとパステルパープルのアイスに、グラノーラと苺ソース。

アイスの周りを囲むたくさんのホイップクリーム。

甘い物はひと口食べれば十分派な私は見るだけで胸焼けする代物だ。

「いただきます!」

一通り写真を撮った後に、AYAMIがニコニコと楽しそうに柄の長いスプーンでパフェのアイスを掬う。


パクパクと何口か食べ進めAYAMIの動きが止まり、ザクザクと底の苺ソースを掻き出そうとしている。

その顔からは先程のニコニコ顔から一変し、不思議そうな表情を浮かべパフェを見ていた。

「どうしたの?」

「え?!…あ、いや、なんか不思議な味で…」

濁しながら答えたAYAMIだったが、底の方からグラノーラと苺ソースを掻き出し口に含んだ瞬間に表情は困惑といった感じになった。

「これ…何味かわかります?」

差し出されたホイップクリームとアイスがバランスよく乗ったスプーンとAYAMIの顔を交互に見る。

何味?甘い苺味以外に何味とかあんの?と疑問に思いつつ、そのスプーンに乗ったパフェをいただく。


「………」

「どうですか…?」


なんだろう…。

パフェ食べてるのに謎の爽快感。

口の中が歯磨き粉の味がする。

覚悟していたよりも全然甘くない。

「なにこれ…」

AYAMIの手元にあるパフェをよく見るとその味の正体が何となくわかった。

原因は多分、全体的にアクセントカラー的な感じに散りばめられている青と透明なザラメみたいな粉だ。

「なんか、すごいクセが強くて…苺も苺の味しないんです…」

困り顔のAYAMIが更に苺ソースの部分を掬って差し出してくれた。

恐る恐る口にソレを含めば、苺ソースよりも強いミント味に頭がクラクラする。

甘くない……けど、なんだろう、ミント味強めの歯磨き粉で口の中を洗いすぎた時みたいな、でもパフェ特有のアイスの冷たさとホイップクリームのねっとり感は維持してる…そんなちょっと不愉快な口の中だ。

「AYAMIさん。これはハッキリ不味いって言っていいと思う…」

ミン党の人がいたらゴメン。

でも、人類には少し早いパフェだったと私は思う。

口直しに、っとオムライスを彼女にあげたらペロリと全部たいらげていたのが何よりの証拠だろう。

☆ユニコーンパフェ、実物が見たい人がいたら推し愛Twitterまで(p*`・ω・´*)q

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