初夜
「ニノちゃん、私の可愛い、ニノちゃん…」
握られている手にスリスリと頬を寄せてクスクスと笑っているあかりちゃん。
先程まで握っていた力とは打って変わって壊れ物を扱うかのように優しい指先だ。
「…あかりちゃん」
さっきまでの押せ押せな雰囲気からの繊細なこの手つきはギャップのせいで正直クる。
しばらく、こういう大人の遊びから離れていた私にはなかなか毒だ。
普通に握られていた手はスルりと指先を絡め合うように重ね直す。
「シャワー浴びてないけど」
ソファにほぼ寝そべっているような私に上から覆い被さるようにいるあかりちゃん。
顔の横に垂れる長い彼女の甘い髪の香りがする。
香水じゃなくてボディミストの若い匂い。
「じゃあ、一緒に入ろうよ」
鼻先をくつけてニッコリと笑い返された言葉に頷く。
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*****
朝になり、腕の中で眠るあかりちゃんの姿にやっちまった…という若干の後悔と愛しさを覚える。
人間って単純なもんで、関係が深くなればなし崩し的な部分があってもまぁ何となくOKにして相手を受け入れちゃうんだから。
「んぅ…」
可愛らしい顔立ちのあかりちゃんの寝顔をジーッと見ていれば、眉間に皺を寄せモゾモゾと動き目を覚ましたあかりちゃんと目が合う。
「おはよ」
あかりちゃんが好きだと前に言っていた声を作り、自分最大限のキラキラエフェクトを出すように意識して朝の挨拶。
「…っ!!」
ボンッと音が聞こえそうな勢いであかりちゃんの顔が真っ赤に染った。
そしてベッドから転がり落ちるように降り、逃げるようにバスルームへと行かれた。
急な態度の変化にちょっと、ほんのちょっとだけ心に隙間風が吹いて不貞寝しようかと布団に再び潜り込む。
布団に潜ってウトウトとして気持ち良い眠りになってきた所にあかりちゃんがバスルームから出てきてこっちにやって来た。
バフッと布団の上から抱きつかれて、グェッとカエルの潰れたような声が出てしまう。
「おはよう!ニノちゃん!」
布団から顔を出せば、化粧まではしてなくてもある程度の身支度を済ませてニコニコと笑うあかりちゃんの姿があった。
はーん、なるほどな。
女子力高いやつだ。
好きな人には常に綺麗な自分を見てて欲しいってやつですな。
え?私?
私、そんな初心なこととうに捨ててきちゃってるんだなぁー。
…笑えないわ。
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