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推しからの愛が強い件  作者: しゃのあーる
あなたとこれから
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へたれ調教

どうしてこうなった。

誰か説明してくれ。

いや、説明求められそうなのは私なんだけども…。


結局、あかりちゃんの力比べに負けて「電車ないんじゃお泊まりだよね?」と押し切られ手を引かれるがまま連れてこられたのはラブホテル。


煌びやかな外装のそこに目を丸くしてるうちに部屋へと押し込まれた。


バリ風のリゾート感漂う内装に似つかわしくないバラエティ番組の笑い声。

くそ、やっぱり1時間時計をずらされてる…。

文句のひとつでも言おうとしたけど、あかりちゃんにしれっと「時計ズレちゃったのかな?壊れちゃった?」とそのまま破壊せん勢いで奪い取られそうになったのでやめた。

誕生日に良く貢いでくれるお客様にプレゼントしてもらった諭吉さん何十人かくらいの値段がする時計だ、壊されたらニノさん泣いちゃう…。


少し硬いソファに座り、鼻歌交じりにサービスのインスタントコーヒーを作ってくれているあかりちゃんの背中を眺める。

どうしてこうなった。


「はい!どーぞ!」


人類補完計画を立ててた某氏になりきって顎の下で両手を組んでキリッとしていたが差し出されたコーヒーを受け取る。

最近のインスタントコーヒーって美味しいよね。

技術の進歩って素晴らしい。

粉入れタイプのものも楽で良いけど、1個づつの使い切りになっているタイプも香りが良くて好きだ。

やっぱり家にコーヒーメーカーは必要だよなぁ、うんうん。買おう。


コーヒーを上機嫌に啜っていれば、自分用に紅茶を入れて持ってきたあかりちゃんが隣に座った。

場所効果もあって狭い2人掛けソファの密着度にドキドキする。

「ニノちゃんと夜2人きり、ってあの夜以来だよね」

こてん、と肩に乗せられたあかりちゃんの頭にビクッと背筋が伸びた。

このドキドキムードは本当に心臓に悪い。


そして、あの横浜での夜をあかりちゃんはすごく尊く素敵だったと美化してるようだが私にはトラウマにしかなってない。


「あ、あのこういうのって、もっと、お互いを知ってからじゃないと…」

自分史上最高に真っ直ぐな背筋で、あかりちゃんを正しい道に戻そうと意見すればスッと握られた手を力の限り握られる。

「もう!ニノちゃんったら照れ屋さん!」

「痛い、痛い、もう余計なこと言いません」

きゃは!っと可愛く笑うあかりちゃんに握られた手。

ギリギリと手の骨が軋んで自然涙目になる。


どうしてこうなった…。

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