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推しからの愛が強い件  作者: しゃのあーる
あなたとそれから
8/93

白猫のダンス

揃いのオレンジや黄色のパッションカラーのTシャツにホットパンツ。

すらりと瑞々しい生脚の先には思い思いのハイカットスニーカー。

アラサーの私にはない新鮮な果実みたいな若々しいステージ上の彼女たち。

ざっと見た感じの年齢は15歳前後だろうか。

どちらかと言えば、歌を聞かせるというよりかは激しい動きの多いダンスで会場を盛り上げるようなノリノリ系ユニットな感じ。

テンポのいい彼女たちのステージに会場のテンションは自然と上がった。


その後、何曲か歌い踊った彼女たちが会場を盛り上げ舞台袖へと捌けていけば前列にいた彼女たちのファンであろう人達も捌けて前が開き場所を詰める。

また近くなったステージに出てきたのはSNSでダンスに定評のあるソロアイドルの舞ちゃん。

ダンス練習風景などをSNSにアップしていて、そのダンスはクラシックバレエとコンテンポラリーダンスが合わさったような独特なものだ。

まだアイドルの事も、ダンスの事も詳しくない私だが今日会えるのを楽しみにしていた子の1人。


ゆっくりとステージ上の照明が絞られ、中央にいる舞ちゃんが強い光を浴びる。

今日の舞ちゃんの衣装は真っ白なワンピースに頭には大きな猫耳。

下を向いていた舞ちゃんがキッと気の強そうな顔をあげたと同時に音楽が始まった。

音楽はドラマでも聞いた事あるクラシック音楽をジャズ風にアレンジしたものだ。

歌わないアイドル。

なんだそれ。と思っていたがステージが始まってしまえばその空気に呑まれ食い入るように舞ちゃんのダンスを見ていた。

「すごっ…」

圧巻のダンスに私は口が開きっぱなしにならないように必死に口元を引き締める。

少し長め丈だったワンピースの丈も舞ちゃんが回る度にふわふわと空気を孕んで膨らみ広がって面白い動きをみせた。


1曲だけ踊りきりペコリと頭を下げれば一言も喋ることなく早々と舞ちゃんは捌けていった。

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