声量は人の倍
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遅筆ではありますが、今度とも応援よろしくお願い致します!
AYAMIを見送り、あかりちゃんとの待ち合わせ場所に向かわねばと改札口を再び外に出た所で事件が起きた。
「ニノちゃん…今の…って…」
改札口を出た真正面にいたあかりちゃんと遭遇してしまった。
大きな目が限界まで見開かれている。
やっちまった!と頭を抱えたくなりながらも、いやいや別にやましい事はしてないし!と心を強く持ちなおす。
「…あかりちゃん、どうしたの?」
状況を把握したくて、我ながら白々しくもどうしたの?なんて口にする。
改札口のど真ん中で立ち尽くしている、あかりちゃんの手を引いて通行の妨げにならないように端に避けた。
「…ニノちゃん…今まで浅井社長と会ってたって言ってたのに…なんで、女の子と…」
…もしかして、最初から見られていた?!
顔色を悪くして、一点凝視しながら言われた言葉に背筋がゾゾゾーと寒くなる。
「なんで、手繋いで歩いてるの…?誰、あれ…」
「ちょっと待って!誤解!!手繋いでたとか誤解だから!」
東京駅に着いた途端に人の波に押されて流されていくAYAMIの手を取って歩いていただけだ。
「手は繋いでない!誤解!!」
ムキになって否定してしまい、一点凝視していたあかりちゃんの目がギョロりと動き私を見た。
ジトッと陰湿な視線に「うっ…」と言葉が詰まる。
「別れた後、走って追い掛けて手握ってたじゃない…」
「あれは、迷子になりそうだったから案内しただけ!なんにもやましい事してないし!!」
なんでこんなに必死に弁解してるんだろう…。
嫌な視線に耐えながら身の潔白をしている事が馬鹿らしくなってくるが、いつものあかりちゃんなら発狂せんばかりに問い詰めてくるのに騒ぎ出さないのが逆に怖い。
「私、ニノちゃんに手も握られたことないのに…」
ボソッと言われた言葉に頭いっぱいに『???』とはてなマークが浮かんだ。
いや、手いっぱい握ってる。
あかりちゃんの手を握るまでに何枚CDを買ったと思ってるんだ…。
あの『握手券』という紙ペラ1枚集めるのに必死だと言うのに…。
「…え、いっぱい握ってるじゃん…握手会で…」
もっとCD買えって言うのかよーアコギだなぁ。と思って後頭部をポリポリと掻いていれば、ジト目から信じられないものを見る目付きに変わった。
様子で何となく察した。
地雷踏んだな、こりゃ。
唇をワナワナ震わせて、青白かった顔を今度は真っ赤にして周辺にいた人達全てが振り返るくらいの声量で「ちがーーーーーーう!!!」と怒鳴られた。




