美味しいオムライス
「あ、そうだ。これと、これ。あとこれください」
「はーい」
蘭ちゃんと他愛のない話をしながら物販の新作を数点購入。
相変わらずあかりちゃんはトリップ状態だ。
支払いを済ませて、じゃあねー。と蘭ちゃんに手を振り、車で待っているらしい残念なイケメン社長の元へと戻る。
これから日本橋の洋食屋さんでちょっと遅めのランチだ。
一時期テレビによく出ていた色黒のシェフがいるあの老舗洋食店。
田舎民である私にとって、都内の名が知れ渡っているお店にいけるのはなかなか嬉しい。
残念なイケメンに連れられて洋食屋さんに行き食事をしていれば、急に面会しなければならない案件が出来てしまったから悪いんだが付き合って欲しい。と残念なイケメンにお願いされた。
そんな仕事みたいな場所に私みたいな部外者が行くのもどうかと思うから帰りたいんだが…。とやんわりと断ったが大丈夫と念押しされ、好きなブランドのバックのずっと欲しかった限定品を買ってやる。とご褒美をチラつかされれば首を高速に縦振りしていた。
人間ってキャッシュだよねー。
オムライスは美味かったし、欲しかったバックは手に入るし、言うことなしじゃん。とウキウキで、車に乗り込めばさっきから鳴り続けている携帯の画面を見る。
着信のお知らせ:♡あかり♡
着信のお知らせ:♡あかり♡
着信のお知らせ:♡あかり♡
メッセージ:あかりちゃん
なんで。電話出ないの?
着信のお知らせ:♡あかり♡
着信のお知らせ:♡あかり♡
着信のお知らせ:♡あかり♡
メッセージ:あかりちゃん
どこにいるの?もう帰っちゃった?
着信のお知らせ:♡あかり♡
着信のお知らせ:♡あかり♡
ホラーか!!!
というか、ちょっと待て。
どうしてもってせがまれてメッセージアプリは交換した。けど!!
電話番号の交換した覚えないんだけど…。
明らかに登録の名前、あかりちゃん自分でやったよね?
私、携帯に2重ロックかかってるんだけど…。
また鳴り出した携帯をそっとバックに戻し、残念なイケメンの横顔を見る。
黙っていれば本当に綺麗なお顔。
推しがヤンデレ化してる現実には丁度いい味変更な見栄えだ。
イケメンは存在だけで癒しになる。
「ん?なんだい?僕の事をそんなに見つめて!もしかして、僕に恋が芽生えてしまったのかい?!」
前言撤回だ。
ウザったいものはウザったい。




