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推しからの愛が強い件  作者: しゃのあーる
あなたとこれから
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逃走へのカウントダウン

一触即発の空気の中、ササッと使った食器をまとめリビングから早々と逃げ出そうとする。


「…ニノさん、逃げんな…」


横にベッタリくっ付いているキミに釘を刺された。

君のような勘のいいガキは嫌いだよ…。

「逃げるとか人聞きが悪いなー」

キミの疑ってますよ!と言わんばかりのジトォ、とした眼を向けられて誰もいない台所の方を見る。

あかりちゃんがニコニコと私を見て笑ってるのも心無しか怖い。

「…そ、そう言えば、さ!あかりちゃん、なんで家まで来たの…?」

逃げれない。と腹を括り、あかりちゃんに話しをすれば「え?」っとニコニコ顔のまま首を傾げられた。


「なんで…?もう、ニノちゃんったら、ライブに来ても直ぐ帰っちゃうんだもん!」

なんかキャラ変わってない?!

もっとこう、お姉さん風で大人の余裕っぽい感じで売ってなかったっけ?!あかりちゃん!!と思いながらも、私もニコニコ笑顔を作りあかりちゃんと同じように首を傾げて見せる。

「そろそろ、私との愛の証が消えちゃうかな?とか私すっごい心配してたのに!新曲も買わないで、言ってくれればサイン付きでプレゼントしてあげるのに!」

あー、愛の証ね。

あのトラウマになってる噛み跡ね。

人の気配がある時に風呂に入れなくなって非常に不便になってるあのトラウマね。

だんだん笑顔が引き攣ってきた。

新曲も買った。

ちゃんと買ったさ。

いつものお姉さん系の衣装路線から、The☆アイドルみたいな衣装に変わって新しいファンもついててちょっと安心してた新曲。


ライブハウスで2人が物販コーナーに来る前に買ってさっさと帰ろうとしていた所を見付かり、あかりちゃんに公衆面前で壁ドンされHoneyファンのSNSでちょっとした話題になってしまったのもつい最近の話だ。

「えっと…あかりちゃん。私は1ファンの1人で居たいんだけど…」

横浜のあの夜、食事会の事がきっかけだとしたら別に気にしないで欲しいと思っているし、その旨は翌日別れる時に伝えた筈なのだが…。

第一、あの残念なイケメンについてはここ最近の中で"良いお客様"だ。

わざわざ都内から週4で店に通ってくれている。

僕はいつだって忙しい!と言っているが暇人なのだろう。

Honeyにもちゃんと仕事を振ってくれるようにも調教済みだ。


「いきなりファンの家に来るとか、そういうのダメだと思うんだよね…。他のファンの人に悪いなー…って思う…」

よし、言いたいこと言ったぞ!偉いぞ私!

自分で自分を褒めながらあかりちゃんの方に目を向ければ、ニコニコしていた表情とは一変、光を無くした目で私を見ていた。

(…あ、地雷踏んだ)

逃げてー、私、全力で逃げてー。と頭の中の私が叫んでいる。


可愛い私の推しはヤンデレ属性です。

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