朝からダメな人達
訳の分からんことを言っているキミと、ヘラヘラと笑っている蘭ちゃんのおかげでズキズキと頭が痛くなってくる。
「…キミは早く着替えなさい。蘭ちゃんは私の服着れるかな…」
ハァーッと盛大に溜息を吐いてから、蘭ちゃんに貸す服をカバンから取る。
身長は蘭ちゃんの方が10センチくらい高いが、細身だから私の服でも大丈夫だろう。
ロングスカートと寝間着用にと持ってきていた黒無地の大きめのTシャツを渡す。
上のTシャツは汚れてない!と言う蘭ちゃんだったが、それを着てビールかけをやってたのは一目瞭然な程に所々ビールの飛沫が乾いた跡があり、ビールの酸化した臭いがしていた。
着替えるだけでワァワァと騒いでいるキミと蘭ちゃんを眺めながらも、私も着替えようとバスローブを脱ぐ。
一晩時間を置いた昨日の噛み跡は赤紫、青、黄色オレンジ色にと色とりどりに変色していた。
「はあっ?!ニノさん!!なにそれ!!?」
キミがブラジャーを付けている私を見て飛び付いてきた。
噛み跡をまじまじと見られ、ガクガクと肩を揺さぶられる。
「仕事どうすんの?!ドレス着れないじゃん!!」
一応心配してくれてるらしいキミの手は肩を揺する手をとめない。
「スーツあるし、大丈夫だろ」
「そんなのダメーー!!仕事中、ニノさんのおっぱい見れないなんて…!!」
なんで、仕事着をこいつに指図されにゃならんのか…。
流石にウザったくなって、離せ。と肩を揺する手を払えば更にキーキー、ヒステリックに喚くキミ。
「朝食行くんだろ。早くしなよ。」
喚き散らしていたせいで着替えるのが1番遅くなったキミが何を思ったのか、愛用のスエットに着替えてしまう。
今日も少し観光してから帰る予定だからスエットになられては非常に困る。
「ダメ!まだスエットダメ!!」
無理矢理脱がせて、"普通の服"を着せる。
その間もずーっと何かブツブツ文句を言っていた。
小さい子供のように着替えをさせられているキミの姿を唖然とあかりちゃんと蘭ちゃんが見ていた。




