知らない天井
*あかり視点*
なんて慈愛に満ちた目をしてるの、あの人。
今日、控え室で会った時もそう…。
不安でいっぱいだった私の前に彼女は颯爽と現れて、私の欲しい言葉をくれた。
(まるで彼みたいじゃない!)
そういえば、ライブハウスに彼女が来る時、たまに彼みたいにまん丸の顔をしている時がある!
顔のフォルムも似せてくるなんて…。
(…やだ…大好き…)
デザートの杏仁豆腐を食べていた彼女と目が合う。
ニッコリと笑いかけてくれるように目を細められた。
ドキドキが止まらない。
ポーッと彼女の仕草や笑い方を見ていれば、いつの間にか食事会はお開きになっていた。
「いやぁ!仕事に繋がって良かった良かったー!」
今日はお疲れ様でした会、と称して入ったダイニングバーで彼女はビールジョッキ片手にガハハ、と笑っていた。
さっきの可愛い庇護欲をそそるような感じの雰囲気は全くない。
金髪の子は最初の印象ほど態度は悪くないし話しやすい。
(女子会…ってやつなのかな?)
普段お酒を飲まない私はカクテルを注文して飲んでいた。
蘭も珍しくお酒を飲んでいる。
「ねぇねぇ、ニノさん好きなシャンパンあるから開けちゃおうよ」
「お、いいね。お祝いだぁ!」
金髪の子がシャンパンを開けよう、持ちかけていれば二つ返事で返すニノちゃん。
やったー、と言いながら店員さんに注文する金髪の子を眺めていれば、早速運ばれてきたシャンパンに2人が、お~。と声を上げていた。
ポン、と乾いた音を立て抜けたコルクに私もテンションがあがる。
人数分のシャンパングラスに注がれるキラキラシュワシュワな液体。
「「「「かんぱ~い!!」」」」
何度目かの乾杯をすれば、一気に煽ってグラスを開けた2人を見て、私もそれに習った。
シャンメリーしか飲んだことがない私は見た目の綺麗さよりも喉を通るアルコールのきつさにビックリ。
味なんか正直わかんない。
「あかりちゃん良い飲みっぷりー!」
「もう一杯いっちゃってー!」
2人が褒めてくれて再び注がれたシャンパン。
次に目が覚めた時には、知らないホテルの一室だった。