それって死んだ魚の目
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*あかり視点*
あの、あんぱんのヒーローの必殺技をここで披露したらどんなに爽快だろう。
料理はどんどん運ばれてくるけれど、隣に座っている男の話は止まらず相槌を打っているせいでゆっくり味わう事なんて出来ない。
(せっかく…横浜に来たのにミュージアム行けなかった…)
全国に数ヶ所ある、あの彼の聖地。
限定グッズに、歌って踊れるショー。
嗚呼、出来ることなら今すぐにでも彼に会いに行きたい…。
ニコニコと笑っている顔も引き攣ってきた。
カタッと個室と仕切っているパーテーションが揺れ、中に入ってきた蘭が気まずそうにしている。
(…えっ…)
蘭の後ろから押し退けるように出てきた珍入者にお箸を落としそうになった。
ドカッと私とは男を挟んで反対側に座った私達のファンのニノちゃん。
ライブハウスでお話しする時のおどおどした感じではなく、すっごく可愛いアニメ声でハキハキと話している。
(なんで?!なんで、こんな所に?!てゆうか、その人と知り合いなの?!)
どうしたらいいかわからず、卓の1番距離を置いた場所に座った蘭は裏方に徹すると言いたげに処理されずに並んでいる料理を取り分け始めていた。
「ニノさんの邪魔すんなら退け、ボケが。」
コソッと耳に息をかけながら言われた言葉。
彼女の連れで、今日控え室にも来ていた金髪の子だ。
(ボケ?!いきなり、ボケって言っきたの?!この人!!!)
大声で叫び出したいのをグッと堪え、蘭の方をチラリと見れば従ってくれ。と言わんばかりに自分の方に手招きをしていた。
肩に回されていた男の腕は既にニノちゃんががっしりと握っている。
「…なんなの…?」
「わかんないけど…助けてくれるかもって…」
金髪の子と席を交換してからあれよあれよと空いていくグラスを下げながら、料理を取り分けている蘭に耳打ちすれば、蘭自身も首を傾げていた。
デレデレと鼻の下を気持ち悪く伸ばしている男はもうこちらの存在など視界に入っていないようだ。
「…うおおおおおおおぉぉっ」
突然の雄叫びに驚き声の方を見れば、ニノちゃんのおっぱいをおしぼりでつつきまくる男。
ニノちゃんと目が合った。
ボクの顔をお食べ、と顔の一部をお腹を空かせている人に分け与えた時のあんぱんの彼の目と似ていた。