僕の顔をお食べ
*あかり視点*
着いたレストランはライトアップされ、不夜城の様な装いで、その絢爛豪華な輝きは威圧しているようにさえ感じる。
蘭と顔を見合わせて、確認する様にお互いに頷き合えば中に入った。
「やぁやぁやぁ!よく来たね!君達!」
どんな人が中で待っているのだろうとドキドキしながら個室の中に入れば、すれ違ったら2度見してしまいそうな程のイケメンが、テンションどうした?と聞きたくなるようなハイテンションで私達を迎え入れてくれた。
「…はじめまして、涼音あかりです」
「はじめましてー!あいはら蘭です!」
自己紹介をすれば、うんうん。とイケメンプロデューサーは頷きニッコリと笑ってくれていた。
そこから彼の狙いが"蘭と私"から"私"になるのは然程時間が掛からなかった。
私の肩を抱き、声高らかに運ばれてくる料理の説明をしている。
彼への嫌悪感で話しは1つも頭に入ってこない。
その様子を見て蘭が何度か私から引き離そうとしてくれたが、彼にことごとく無視され不発に終わっていた。
夢中で話し続ける彼に気付かれないように蘭がゴメン…。と合図を送ってきた。
(私の処女もここまでかぁ…)
24年、守り続けていたものが見ず知らず男かぁ。嫌だな。
憂鬱な気分なりながら横で話し続けている男をチラリと見る。
(全然好みじゃない……。)
私の好みはそう…あの国民的幼児番組のあんぱんのヒーロー。
愛と勇気だけが友達さー。という孤独のヒーロー。
国民の認知度はほぼ100%の彼だ。
蘭に1度本気で語ったことがあったけどその時の表情は忘れられない。
自らの人気に驕らず、多くは語らず、ピンチの時にどこからともなく駆け付けてきて、時に施しを与えて悪役を成敗する。
(やっぱり、ああいう出来た人じゃなきゃ…)
愛しの彼に思いを馳せ、もう一度、横を見る。
隣のイケメンは愛しの彼とは似ても似つかない。
(フォルムが似てれば、まだ多少良かったのかもしれないな…。)




