ダメなやつ
あかりちゃんの手を取り歩かせて外に出れば少し先を歩いていたキミと蘭ちゃんが「うぇーい!!」と肩を組み奇声を発していた。
夜中なのにご近所の皆さんごめんなさい…。
手を繋いでいない方の手で目を擦り、ムニャムニャいいながら歩いてくれてるあかりちゃんマジ天使。
「キミー。どこ行くんだよ!タクシーあっち!!」
ダイニングバーを出てすぐにあったタクシー乗り場をスルーして中華街のメインストリートに向かっていくキミを呼び止める為に声を上げた。
「蘭と部屋でまだ飲むー!」
「おう!飲むぅー!」
返ってきた言葉に絶句。
本当にお持ち帰りする気だコイツ…。
いや、2人にやましい意味はきっとなくて、連れ立って歩いてるのが楽しいだけなんだろうな。
ベロベロに酔っ払ってる蘭ちゃんはいずれにせよ、まだまだ序の口のキミまで悪ノリしているからタチが悪い。
あかりちゃんをこの状態で1人タクシーに乗せる訳にも行かず、ましてや、キミにあかりちゃんのバックを人質に取られてる時点で取れる選択肢は少なく…
「ごめんね、あかりちゃん。ちょっとしんどいかもだけどついてきてね」
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…
ファンとしてやっちゃいけないやつ。
というか、人間として女の子酔い潰して持ち帰るとかやっちゃいけないやつだろう!
これ!!!
グルグルまわる思考にハァーーーッと長い溜息が出る。
「…むぅ…?」
いくら目を擦っても目が開いていないあかりちゃんが、目を閉じたままこちらの方を向き首を傾げて見てきた。
可愛いなぁ、もう…。