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推しからの愛が強い件  作者: しゃのあーる
あなたに会いたい
19/93

姉と弟

昨今、兄弟もののアニメや漫画が多かったりする。

それは妹を溺愛している兄の話だったり、姉が大好きな弟の話だったり多岐に渡る。

ブラコン、シスコン、そんなのもいいと思う。


キミと買い物に出た日の夕方、久しぶりに母方の祖父母の家に行った。

理由としては私が愛してやまない弟に会うため。

年の離れた弟は今23歳になり、就職し、化石のような国産のスポーツカーを改造し遊んでいる子だ。

祖母は弟にめっぽう甘い。


私の家庭環境は少し特殊で、私が成人、弟が14歳の時に両親が離婚し母親が男を作って出て行ったおかげで一家解散となり家族で住んでいたマンションが無くなった。

当時の私は家に帰らず付き合っていた男の家に転がり込んでいたので、成人していた私は色々な面倒事回避のために新しく自分1人だけの戸籍を作り苗字を父親のものから母親のものへと変えた。

まだ中学生だった弟は生活能力のない父親の元から離れ、母親の祖父母の家に住むようになった。

父親は当時実家で飼っていた猫を連れて1度は父方の祖父母の家に住んでいたが猫が老衰で亡くなったのをキッカケに、彼女を作り今は父方の祖父母の家を出て彼女と同棲している。

母親は男を作って出て行った後、数年間行方をくらまし私が1度病気をして入院騒ぎとなった時に男を連れて地元に戻ってきて『子供達の近くにいたい。やり直したい』と宣い1人暮しを満喫していた私の家の側に引っ越してきた。

私自身は母親と母親の男とは1度、一緒に暮らそう生活には不自由させない。と言われ、大喧嘩をしてからは会っていない。


おっと、長々と私の家庭の話しをしてしまい申し訳ない。


祖父母の家にキミとあがり込み、久しぶりの祖母の手料理を美味しく頂いていれば外出していた弟が帰ってきた。

爆音のマフラーに代わっている車の音は家の中にいても聞こえてくる。

「キミ、行くぞ…」

「あいあいサー!」

祖母お手製の炊き込みご飯を口いっぱいに頬張っているキミに声を掛ければ、私達の姉弟関係を知っているキミが席を立った。

バタン、と車のドアを閉める音が聞こえた。

私とキミは茶の間の扉の両脇に立ちその時を待つ。

玄関からギシギシと古い民家の廊下を鳴らし「ただいまー」と弟の間抜けな声がして茶の間の扉が開いた。

「「おっかえりー!!」」

「げっ!!?」

茶の間に入った瞬間にキミは退路を断つように扉を通せんぼし、私は弟の首根っこを掴み膝裏に蹴りを入れ倒れ込ませてから馬乗りになる。

一部始終を酒を飲みながら見ていた祖父は「おー、相変わらず見事だな」と笑っていた。

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