夢の中の女の子は。
_____目が覚める。
靄がかかったように意識がはっきりとしない。
まるで熟睡した時の寝起きの様な気分だ。
頭がぼーっとしたまま、ここがどこかも分からないので取り敢えず真司は周囲を見渡した。
しかし、視界も靄がかかったようにハッキリとしない為よく見えない。
それでも、最初に目に入ってきたのは目の前の女の子のただ一人だけだった。
女の子は真っ白な無地のワンピースを着て裸足、これといった装飾品なども付けておらずただシンプルな装いだった。
顔はあどけなく歳相応の幼さを感じさせられて愛らしい。
ほっぺたを触るとモチモチしていて柔らかそうだ。
髪はワンピースとこれまた同じ真っ白で長かった。
全体的に白い姿から清潔感が溢れる印象を与えられた。
女の子の姿をただ観察していると、女の子の方から話しかけてきた。
「あなた死んだのね。」
「????」
女の子の言っている意味が真司は分からなかった。
女の子は真司の態度を見てか呆れたように言った。
「もう一度、言うわ。あなたは死んでしまったの。」
「はぁ?俺がか!?何でだよ??」
「あのね。あなたは、今から少し前に、森林公園で不死者に心臓を貫かれたの。」
ううっ・・・。思い・・・出した・・・。
じゃあ、俺は本当にあの時・・・・・・・・・。
真司はその時の惨劇を思い出して口元を押えた。
女の子は、だからあなたの心臓は とでも言うように真司の左胸を指さした。
真司は恐る恐る女の子が指し示した部位の二度目の確認をする。
一度目は風穴が空いていた。
二度目も、・・・・・・ッ!?
そこには傷一つない自分の左胸があった!?
真司が目の前の事に驚いていると、女の子は真司にニコリと微笑んで言った。
「おめでとう!!そして、ごめんなさい。あなたは、先代の罪によって死ねない身体になりました。」
先代の、罪?? 死ねない、身体??
「ふふふっ。あなたは、この先何をされようが死なないわ。身体を切られても、銃で眉間を撃たれても、例え心臓を貫かれてもよ。絶対によ。」
「ま・・・まさか、ふ、不死身ってやつか?」
しかし、それには疑問があった。
「それって、さっきの言葉からすると俺を殺したミイラ男も俺と同じって事だろ?でも、あいつは紅い焔を纏った日本刀で切られて死んでたじゃないか??」
「ミイラ男??あぁ、あの半端者とあなたを一緒にしてはいけないわ。だから、あなたの疑問は半分あたりで半分外れよ。」
「????」
「あのね。ミイラ男もね不死身なの。普通では死ぬ事は無いわ。あの娘の焔が特別なの。でもね、あなたはもっと特別よ。ふふふ」
「つまり、どういうことなんだ?」
「・・・・・・。」
これ以上はこの質問に答えてはくれなさそうなので、真司は質問を変えてみた。
「質問を変えるぞ?先代の罪って何のことなんだよ?」
「ところで、あなたは、あなたのおうちの事情をどこまで知ってるの?」
まさかの質問を質問で返されてしまった。
しかも話題を変えられてだ・・・。
俺は、物心がついた時に両親が他界してから後は両親の友人の家にお世話になっている。
両親の友人が言うには、家が火事になって俺だけが助かったという事らしい。
こうも記憶が曖昧なのは、事故の影響かその時の記憶が無いからだ。
祖父も、祖母も俺が生まれた時にはいなかったので、必然的に家族の記憶など無いに等しい。
それでも、知っているのは俺の一族が・・・・・・・・・。
「俺の一族が、罪人の血筋だと言うことぐらいだ。」
昔、そう父親が苦味を潰した様な顔で呟いたのを聞いた記憶があった。
少ない記憶のなかでもこれはとても印象に残っていた。
こんな物、今でもお伽噺だと思っている。
しかし、彼女は先代の罪がどうのこうの言っていた。
という事は自分の体と何かしら関係があるのだろう。
「そうね。昔々、ある土地に若い男と女が慎ましく愛し合って住んでいました。」
すると女の子は突然物語を話し始めた。
やっと、物語が進む・・・。
(´ε`;)
女の子と真司の会話が噛み合わないのはご了承ください。