3
雨が降りしきる世界は普段の世界とは異質なもののように感じる。――などと、最近ホラーゲームの実況動画にハマっていたせいか気取った思考に耽ってしまう。
その為か、いつもは気にも留めない空間がふと気になった。
雑踏ビルの間、やけに薄暗い路地。室外機が先に進む者を拒むかのように空間を塞ぎ、足下にはポイ捨てされたゴミやら何やらが転がっている。
その狭いスペースには雨風がさほど入り込まないようで、この雨の中でも影響を受けていない。その不思議なスペースには非日常感、異質さがあるように感じられた。
ただそれだけだったら少し気を引かれた程度だったろうが、足を止めて路地を窺っていたそのタイミングで、大通りも静まりかえっていた。
車通りもなく、歩道にも人の気配などまったくない。
そのせいか、心のうちに平生では思いもつかない考えが頭をもたげる。
この路地を行けば、そこにはどんな世界があるのだろう?
その疑問に対する予測として、和風な装いの厳かな建物やあるいは寂れた洋館が頭をよぎった。完全にホラゲー脳になっていた。
苦笑いを堪えながら、傘を畳みつつ体を路地に滑り込ませていく。
今思えば正気でない。子供じみた冒険心だけが、俺を衝き動かしていた。