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聖天の魔女 再生の英雄


今度から後書きに出てきたキャラについて書いていこうそうしよう。この話は何話かに分割しますね、長くなりそうなので。あと新キャラが出るよ!



無知とは罪である、誰が言った言葉だろうか。全くもってその通りであると私は思う。あの頃の私は純粋(無知)であった。ただ私は皆を救いたいだけだった。







生き方に文句なんて一つもない。そうすれば皆を救えたから。顔に笑みを浮かべ魔法を使う、たったそれだけのこと。






焼け落ちる家屋をぼーっと眺める。







私は怖かった。優しかったおじさん達が、いつも笑っていたおばさん達が、慕ってくれていた子ども達が、仲の良かった友達が、皆が私に憎悪の視線を向けてくることが。







けれど現実はそうではなかった。物言わぬ肉袋と化した皆が向けてくるのは無機質な、魂の無い眼だった。





私は無知(純粋)であった。私は救いたかったのではない。本当は認めて欲しかった、褒めて欲しかっただけ。たったそれだけのこと。





この黒く染まった肌を、色の抜け落ちた白髪を、無知蒙昧である私は分かりやすい罪の証としてこれらを受け入れる。聖女から魔女へと変わった私にはこの見た目はちょうどいいだろう。




私を救う人物など、誰もいない。燃え盛る集落を背に歩み始めた。






ーーーーー

ーーー






「チッ… 着いちまったか…」



首都から北へ少し歩いた所にある小さな森。こちらは深淵の森と比べ危険度は殆どない。この森の奥には廃教会が建っている。そしてそこに件の人物がいるのだ。



「ボロボロな建物だね…」



「そうだな。年代はわからないがかなり前から建っているらしい。手入れなどする人物もいないからな、ボロボロになるのは当然だ」



「手入れする気がないんだろ、あの変人は…」



「どうしたの…?怒ってるの?」



「別に… ただあいつのことが苦手なだけだ… さっさと終わらせようぜ」



「ここでずっと立っているわけにもいかないからな。邪魔するとしよう」



今にも壊れそうな大きな扉を開く。穴の空いた天井から教会の祭壇へと光が射す。そしてその中心に1人の女性が祈りを捧げていた。



「きれい……」



ミウがその光景を見て呟く。確かにその通りだろう。光により白く美しい髪がより美しく、その髪とは反対の黒い肌が、エルフ特有の尖った耳が、今のミステリアスな雰囲気によく合っている、が…




「ん?んん?んんん?この匂いと魔力はぁ〜… もしかしてゼッ君とにゃんころもち…と、誰?」




祈りを辞めこちらを見る彼女。その美貌に対して発言が残念な彼女、彼女こそが今日出会いたかった人物である。




「アニタ… その呼び名はどうにかならないのか…」



「俺をにゃんころもちって呼ぶなッ!」



「にゃははは!!それは無理なお願いだにゃ〜 にゃんころ」



「こォんの野郎…」



「野郎じゃないですよ〜だ。ところで今日は何の用事?ところでその子は?…もしかしてゼッ君の娘かにゃ〜!」



「ああ、そうだ」



「え゛っ゛… ちょいこっち来てにゃんころ… どういうこと…?」



「チッ… ゼニスが拾った亜人、竜人のガキだ」



「ほ、ほんとなんだ… そこの幼女!貴女のお名前は?」



「ミウ!」



「う〜ん元気でよろしい!私の名前はアニタ、お姉さんとでも呼んでくれたまえよ!」



「アニタお姉さん!」



「うんうん、よろしい!」



「ケッ… 何がお姉さんだ。この中で年が1番「黙らっしゃい!にゃん畜生!」あだだだ!!!ギブ!ギブ!」





「あー…アニタ。今日は用事があって来た」



「ほいほい、それでその用事は何じゃらほい」



「ミウについてだ」




事のあらましを話す。ミウについて、ミウが戦う為の力を欲している事を。




「なるほどね〜 女の子だし豊富な魔力を使った方が危険が少なくていいよね。だから魔道具研究家の私の元に来たと」



「ああ、そういうことだ」



「ミウちゃんの魔力は凄いね」




アニタは魔力を視ることが出来る。それにより私達が来たことに気づいたのだ。匂いについては…わからない。




「けどその強さが仇になってるかな。竜の魔力はちょっと特殊でね、普通の魔道具なんかは劣化が早くなるし… それに武器となると魔力を込めることになるから… すぐ壊れちゃうかな」



「そうか… だがアニタは普通ではないだろう」



「そぉ〜の通り!何てったって私は天才だからね!そのくらい問題ないのさ!」



「おー!!アニタお姉さんすごい!!」



「ふははは!!!そうであろう!そうであろう!もっと褒め称えたまえ!」



「ハッ… せっかくの才能がその腐った性格で「うるへぇ!オラァ!マタタビ爆弾を喰らえッ!」ぬぉぉぉぉ!!」




テオは猫人特有の反射神経と瞬発力で爆弾を躱し教会の外へと逃げてしまった。この武器は猫人に対して滅法強いらしい。



「最近ね〜ある武器のレプリカを作ったんだよね〜」



「その武器とは…」



「これだよ」



そう言い懐から四角く細長くて小さい箱を出す。



「ほら、ミウちゃん。持ってみて、魔力を流してごらん」



「う、うん」



ミウの魔力が箱に流れ込む。すると箱は開かれ何十枚もの紙が外に飛び出し光始めた。



「わぁ!!」



「アニタ…これはいったい」



「それはね、遠い昔の異世界からの英雄が使った武器の一つだよ」



光は収まり紙の束は箱の中に戻っていく。



「それはわかった。しかしどう使うんだ…」



「ダイジョーブ!簡単だからね。なんか適当に1枚出してみてよ」



「うぇ!う、うん」



箱から1枚の紙を出す。その紙には火の玉が描かれている。



「それでこう…なんというか… うーん、頭の中で発動!って感じのイメージをしてみて」



「は、はちゅどう!」



想像でいいと言われたのに声に出し、尚且つ噛むという高度なミス。ミウの顔が真っ赤に染まってゆく。しかしその顔が急に青くなっていった。何故ならばカードから実際に火球が出てきたからだ。



「ふぇっ…」



「そう、これは魔法を込めたカードなんだ。カードにすることで詠唱の必要もない。魔力は1度込めれば維持され続けるから魔力が無くなっても発動出来る。そして込める魔力で魔法の強さが変わる。簡単でしょ」



「これはなかなか…」



「異世界の英雄達は皆魔力とか凄かったらしいからね、竜人の魔力でもこれなら壊れないはずだよ」



「なるほど、しかし作るのは大変だったのではないか?」



「正直博物館にある現物だけだったら分からなかったよ。魔力の流れだけ見てもわからないことだらけだし… でも現物を知ってる人から話を聞けたからね」



「現物を… あぁ、なるほど…アイツか」



「その武器に関しては完全な模倣は出来なかった、けどこれから真に近づける。その為には使い心地を知る必要があるんだ。だから是非とも使ってほしい」



「わかった」



「うん、あとはゼッ君にだけ話すけど… 今アイツが来てるんだ…」



「ああ」



「手がかりは未だに見つけられてないらしい… だからアイツと少し話しをしてあげて」



「任せておけ。ミウ、少しアニタと話しをしていてくれ。ガールズトークというやつだ。私はテオを探してくる」



「うん…」



「なに、心配することはない。こいつは博識だからな、色々な話しを聞けて面白いと思うぞ」



「わかった」



教会の外に出て少し進んだ野原にテオはいた。



「テオ、ここにいたのか」



「ん、まあな。やっぱ森生まれだから自然が落ち着くんだわ。それにしてもあいつの性格はどうにかならんもんか… 毎度毎度疲れるんだよ… なあ、ゼニスも……どうした?」



「テオ、少し下がっていろ」



「何が… いや、これは何の生き物だ…まるでわからねぇ…この匂いはなんなんだよ!まるで、こう、死の匂いというか… わかんねぇ!」



「来るぞ」



柄に手をかけ素早く抜刀をする。瞬間、広がる衝撃。ぶつかり合ったのは剣と手。目視出来ぬ距離から一足で詰めて来たローブの男。彼は私の剣を手で受け止めたようだ。



「なッ…!!ゼニスの剣を受け止めやがった…」



「テオ、お前は教会に戻れ。心配はいらない、どうにかなる」



「あ、ああ!無事に帰って来いよ」



来た道を戻るテオ。テオの姿が見えなくなると互いに後ろに下がり距離を取る。



「待ってくれるとは優しいな」



「……」



「まあいい。お前が望むなら満足するまでやりあおうか」



互いに構え合う。穏やかな森に不似合いな濃密な殺気が溢れかえった。






キャラの殆どが匂いでキャラを判別してる件について…

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